消えたETF

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

消えたETF

東証のホームページを見るとETFの一覧を探すことができます。現在13本が上場されていますが、9月に見たときより1本数が減っています。
http://www.tse.or.jp/cash/etf/meigara.html
消えたETFがあるのですが、それはどこに行ってしまったのでしょうか。
●ETFとは
ETFを知らない人のためにまずは商品を簡単に説明しておきましょう。ETFとは正式名称は株価指数連動型投資信託受益証券。証券取引所に上場されているインデックスに連動する投資信託です。海外では1990年にカナダのトロント証券取引所に上場されたのが最初で、米国でも低コストとわかりやすい商品性から急成長しました。

日本では3年前から東証に登場し人気を集めています。ETFはインデックスファンドでありながら株式と同じように取引する商品です。取引も株式画面から銘柄を選んで行います。現状日経平均連動型やTOPIX連動型であれば最低11万円くらいから投資ができる商品です。

●ETFに求められる品質
東証は投資家の利益を守るためにETFの上場基準を定めています。そのポイントは十分な流動性と株価指数への連動性の確保の2つです。

流動性とは充分な売り手と買い手が存在し適正な価格で売買が可能であるということです。連動性とはインデックスの変動にファンドがどこまで同じように動くかというインデックスファンドとしての品質の問題です。

具体的な基準として、流動性については、上場口数が1万売買単位以上を求めています。また、上場後1年以内に1000人以上の分布となることを求めています。また、月平均売買高は10売買単位以上が必要です。

指数との連動性については、信託財産に株価指数の時価総額構成比率の95%以上を構成する銘柄を組入れるほか、株価指数と純資産額との相関係数が0.9以上となることを求めています。

●消えたETF
消えたETFとはiシェアーズTOPIX(銘柄コード1307)のことです。2004年9月10日(金)が上場廃止日となり東京証券取引所から消えてしまいました。その理由は東証の上場基準を満たさなくなってしまったからです。

iシェアーズTOPIXはETFに関する有価証券上場規程の特例第11条第2項第7号で定められた受益者数が100人未満の場合において、1年以内に100人以上とならないときは上場廃止になるという条件に当てはまったことが上場廃止の原因です。

東京証券取引所では上場していた銘柄のうち、上場基準を満たさないものが出た場合、猶予期間というものを設定し、一定期間以内に基準を満たせば上場を継続できるようにしています。しかしそれでも基準を満たせないと上場廃止になってしまう訳です。

上場廃止が決定すると1ヶ月間は整理ポストに入ります。この間も通常どおりの売買は可能です。上場廃止時にETFを保有していた場合、上場廃止後でも指定参加者等に買取請求ができます。
http://www.ishares.co.jp/letter2.pdf

●ETFの選び方
流動性や連動性が無いETFを購入すると、売買する時に良い価格で取引できなかったり、インデックスにきちんと連動した運用成果が得られなくなります。さらに上場廃止になってしまうと運用を継続できなくなり、新たな投資を行うコストが発生します。ETFのクオリティについて購入する前に確認が必要です。
流動性の基準の1つである受益者数については東証のホームページで一覧表を見ることができます。こちらを確認しておきましょう。
http://www.tse.or.jp/cash/etf/juekishasu.pdf

またETFの銘柄毎の出来高は株式と同じようにマネックスのホームページで毎日のデータが調べられます。ログイン後の市況ニュースの株価から銘柄コードで検索し時系列株価を見ると出来高(1日の約定数)を見ることができます。
また連動性に関しては東証のホームページの適時開示情報閲覧サービスで毎日ファンド毎の乖離率が開示されています。
http://www.tse.or.jp/disclosure/index.html

●ETFは選べば使えるはず
2年前のこのコーナーでも書いたようにETFはインデックス運用を行う上でとても重要な商品です。
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/002332.html
日経225ノーロードオープンのような1万円から買付ができ手数料のかからない投資信託と使い分けることによってコストを抑えた運用に活用しましょう。
今回の話のまとめ---------
●ETFは日本株のインデックス運用には欠かせない商品
●TOPIX型、日経225型の商品は複数の中からの選択基準が重要
●購入する前に流動性と連動性、そしてコストについて確認しよう

ではまた来週・・・。

(マネックス証券 内藤 忍)

マネックスからのご留意事項

「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧