2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
世界分散投資を考える時、投資先の国の文化や風習を知ることは投資を楽しく身近なものにしてくれます。マネックス証券のオフィスの近くにある「ダバ・インディア」という南インド料理のお店で勉強会がありました。11月30日HSBCインドオープンが販売開始となり、初日だけで1億4千万円近いお申込がありました。これはHSBCチャイナオープンを上回るペースです。
●カレーを食べながら考えるインドの多様性
「インドの最新情報と投資信託ではじめるインド株式投資」というタイトルの勉強会は、マネックス証券がレストランで開催するはじめての試みでした(インド料理を食べながらインド株投資を勉強する会は日本初かもしれません)。
HSBCアセットマネジメントの早高さんの説明でインド経済や投資環境についてくわしい説明がありました。参加者からの質問にはカースト制度、パキスタンとの政治問題、PERなどからの割安度など高度な質問も飛び出し充実した勉強会になりました。楽しくアットホームな雰囲気でした。
●上海カニを食べながら感じる中国の景気過熱
その前の週には連休を利用して上海に行きました。お目当ては上海カニです。日本のカニとはまた違った美味しさがあって秋から冬がシーズンです。上海市内は好景気で活気にあふれています。初乗り10元(140円くらい)のタクシーもなかなかつかまりません。自動車が急速に普及し、高級車も珍しくありません。今は不動産投資が個人の間でブームのようです。現地の人に聞くと「上海の市内の不動産の値段は絶対に下がらない。投資のチャンスだ。」と口々に言います。2件目の物件に投資をしている人もいるようです。1980年代後半の日本を思い出しました。
●ボラティリティ(変動性)の高いマーケット
インド株も中国株も変動性の大きな市場です。例えばインド株のインデックスは1999年は83.9%でしたが、2000年は▲30.1%、2001年が▲17.9%で2003年は81.6%と大きく変動しています。
中国株もHSBCチャイナオープンの基準価額は設定来では59.1%上昇していますが、今年前半の金融引締め観測が台頭した時には数ヶ月で20%以上下落する局面もありました。
中長期的に経済成長と共に株式市場の成長が期待できるとしても短期的にはイベントリスクが存在するということです。
●運用成績のボラティリティも高い
このようなマーケットでは運用する人によって運用成績は大きく変わります。自分で運用したいと言う方もいるかもしれませんが、インド株は現地のインド人、中国株は現地の中国人の専門家に運用してもらうのが良いと思います。
ただし現地人なら誰でも良いわけではありません。ファンドのセレクションが重要になってくるのです。中国株投信同様、過去の運用実績が無いのにいきなりインド株投信を立ち上げるような「理念無き投信会社」が今後登場しそうですが、成果をあげられるものではありません。過去の実績と運用状況をチェックする必要があります。
さらにインド株投資については海外から直接投資を行うHSBCインドオープンのようなファンドもあれば第3国にペーパーカンパニーを設定しそこから投資をしているものもあるようです。仕組み上の問題からファンドの一部をインド株式以外で運用しているようなファンドでは思ったような投資成果が得られない可能性があります。
●エマージングマーケットへの投資
インド、中国といった今後の成長が期待できるがボラティリティが高い市場への投資はどうしたら良いでしょうか。
投資機会があるのですから資産の一部を配分するのは理にかなっていると思います。しかしタイミングを間違えると大きなマイナスになる可能性もあります。投資対象の分散と時間の分散の2つの分散が重要になるわけです。
投資対象の分散はファンドの活用で解決できます。手数料がやや高いという問題はありますが、自分で投資をするコストとそれによって期待できるリターンから考えれば割高とも言えません。
時間の分散は毎月1万円からの積立を使ったドルコスト平均法の活用が基本です。例えば毎月5日はHSBCインドオープン、毎月20日はHSBCチャイナオープンというようにすれば、毎年12万円づつインドと中国に投資していくことになります(これは私がやっている方法です)。
食事や文化を知ることによって投資を豊かにする。将来ピロシキ勉強会やシュラスコ勉強会もできると楽しいですね。
今回の話のまとめ---------
●文化を知ることでその国への投資に対する抵抗が薄れるメリットがある●エマージングマーケットは投資魅力も高いがリスクも高い
●ファンドの積立で銘柄分散と時間の分散を同時実現させよう
ではまた来週・・・。
(マネックス証券 内藤 忍)
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