2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
2000本以上あると言われる投資信託の中からどのファンドを選択したら良いのか。投資信託で運用を考えるとき最初に悩む問題です。マネックス証券では1999年に営業を開始したときから3つの選択基準を考え、販売するファンド数を絞り込む「セレクトショップ形式」で選びやすい商品ラインアップを心がけてきました。
3つの選択基準とは哲学、実績、手数料です。
https://www.monex.co.jp/static/MONEX/FND/FND_FundGuide03_Disp.html
この中で実績、手数料はそれほど難しいものではありません。実績は運用レポートを見れば設定来のリターンやリスクを知ることができます。手数料も販売手数料、信託報酬共にWebでチェックして比較できます。
では哲学とはどうやって知ることができるのでしょうか。
●哲学とは
運用会社の哲学とは会社の経営理念にも通じるものであると思います。人の資産を運用するという責任ある仕事をする訳ですからナゼその会社に資産運用を任せられるか、という理由が必要であると思います。
運用哲学は運用会社によって異なります(逆に同じ哲学の会社であればいずれ淘汰されていくでしょう)。それはどうやって調べればよいのでしょうか。
●強みに特化している運用会社
運用会社にも得意不得意があります。株は得意だが債券はやっていない、インデックス運用は得意だがアクティブ運用はやらない・・・様々です。付加価値を産むのが企業の存在価値であるとすればそれぞれの運用会社には他社とは違う何かが無いと生き残れないはずです。
いくつかの運用会社について具体的に見ていきましょう。
●バンガード − 低コスト高品質を徹底するインデックス運用のリーダーhttp://www.vanguardjapan.co.jp/about/about01.html
バンガードはインデックスファンドを中心に低コスト高品質の商品提供を行っている運用会社です。その根底には分散投資が低コストでできるという優位性から投資家の運用の中心はインデックス運用にすべきであるという考え方があります。バンガードはアクティブファンドの取り扱いも行っていますが、運用は外部の運用会社に任せそのモニタリングだけを行っています。
リスクコントロール、一貫した投資手法、コストに対する細心の注意、によって優れた投資パフォーマンスを生み顧客の支持を集めています。
低コストであるということは逆に言えば販売会社が儲からない商品ということになります。現時点では日本での販売はマネックス証券だけになっています。
●フィデリティ − 徹底した企業調査によるボトムアップ運用への信念
http://www.fidelity.co.jp/fij/about/philosophy.html
ピーター・リンチというマゼランファンドを運用していた伝説のファンドマネージャーで有名な運用会社です。フィデリティの伝統はボトム・アップ・アプローチという調査・分析手法です。これは個別企業調査を徹底して行うことにより、企業の将来の成長性や財務内容等を分析し、その結果をもとに運用する典型的なアクティブ運用の手法です。
●HSBCグループ − グローバルとローカルのベストミックス
http://www.hsbc.co.jp/jp/japanese/corp/assetmgmt/amjp_j.htm
マネックスで販売しているチャイナオープンやインドオープンはHSBCグループの商品です。HSBCの運用手法はグローバルな視点から投資対象となる地域の経済状況を分析し、これに基づいた資産配分を行ないます。その上で世界各地域でローカルな企業分析をし、銘柄選定を行います。つまりグローバルなネットワークによって投資先の相対的な魅力を分析し、実際の銘柄選択では現地に密着した分析を行うという方法です。
HSBCもアクティブ運用によって高いリターンを実現できるという理念を持っています。
●理念無き運用会社は結果を出せない
運用会社も利益を上げなければ会社として存続できませんから、顧客ニーズに合った商品提供は必要です。しかし、自分に強みの無い運用をはじめても長期的な結果は期待できません。
中国株がブームだからと言って中国にリサーチ拠点も持たない運用会社の日本人ファンドマネージャーがいきなり運用を行っても、強みがないわけですから長期的には結果は出せないでしょう。
●個人投資家の意識改革を
ブームに乗って毎月分配型の商品を設定したり、販売会社のニーズに合わせた元本確保型商品を作ったり、売れれば良い、儲かれば良いという「理念無き運用会社」がなくならないのはナゼでしょうか。
それは個人投資家が運用の中身の確認もせずにそのような商品を買ってしまうからです。きちんとした選択を投資家がはじめれば、理念無き運用会社には資金が集まらなくなり存在できなくなります。個人投資家がもっと勉強して運用会社と対峙することが必要なのです。
これから慌ててファンドマネージャーを募集してインド株ファンドを設定するような運用会社があったら、その会社の理念を確認してみましょう。商品選択に何が必要なのかが見えてくると思います。
今回の話のまとめ---------
●投資信託の3つの選択基準は哲学、実績、手数料
●理念があればその理念に沿った強みに特化した運用をすべき
●個人投資家が意識改革すれば運用会社も変わる
来週はお休みです。良い休日をお過ごしください。
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