「経営者・有識者」の予想は信用できるか(1)

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

「経営者・有識者」の予想は信用できるか(1)

2005年最初の「資産設計への道」です。本年も皆様に読みやすく役に立つ情報提供を心がけたいと思います。ご愛読よろしくお願いいたします。

さて、毎年日経新聞で正月に「経営者・有識者40人に聞く」という特集が組まれます。昨年のこのコーナーでは2年前の新聞記事を使って見通しが結果どうなったかを検証してみました。

<参考>2004年1月9日コラム 年初の予想からわかること
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/004537.html

今回も第一勧業アセットマネジメントの池田さんにご協力いただき、1年前(2004年1月3日)の新聞記事を集めて調べてみました。まずは主要企業の経営者20名が回答している株価関係をみていきましょう。

●日経平均
まず日経平均です。高値予想は13,000円が一番多く、20人中16人の予想が12,000円〜13,000円の間にありました。高値をつける時期は年前半とした人は皆無。年央から年末にかけて上昇を予想した人がほとんどでした。逆に安値の予想は全員が9,000円〜1万円の間でしかも実現時期の予想は1〜3月に集中していました。

実際の日経平均の動きは2003年末が10,676.64円、そして1年後の昨年末が11,488.76円でした。安値と高値は、安値が2月につけた10,299.43円、高値は4月の12,195.66円となりました。

2004年は狭いレンジの中での動きになったことから、予想と実際の株価の乖離はそれほど大きなものにはなりませんでした。しかし高値安値については前半安く後半高いという予想とは少し違った動きになりました。

●有望銘柄
では次に「有望」銘柄ランキング上位の1年間の株価の動きはどうだったのでしょうか。これも同じように2003年末と2004年末の株価を比較し騰落率を計算してみました。

トヨタ自動車(7203)3,620円→4,170円(+15.1%)
シャープ(6753)1,691円→1,673円(▲1.1%)
松下電器産業(6752)1,482円→1,626円(+9.7%)
キヤノン(7751)4,990円→5,530円(+10.8%)
武田薬品工業(4502)4,250円→5,160円(+21.4%)
信越化学工業(4063)4,380円→4,200円(▲4.1%)
新日鉄(5401)230円→251円(+9.1%)
ホンダ(7267)4,760円→5,310円(+11.5%)
KDDI(9433)614,000円→552,000円(▲10.1%)
JFEホールディングス(5411)2,925円→2,925円(±0%)
コマツ(6301)680円→717円(+5.4%)

同じ期間のTOPIXの騰落1,043.69ポイント→1,149.63(+10.1%)ですから有望銘柄に投資することは必ずしも「有望」だったとはいえないようです。
●永遠の有望銘柄?
ちなみに2003年1月時点の有望銘柄は次のようになっていました。
トヨタ自動車(7203)
武田薬品(4502)
信越化学(4063)
ソニー(6758)
キヤノン(7751)
NTTドコモ(9437)
ホンダ(7267)
花王(4452)
日産自動車(7201)
ローム(6963)
シャープ(6753)

これら2年前の有望銘柄についての結果も1年前と同様、市場全体の動きに比べ必ずしも優れたものとは言えません(2004年1月9日のコラムをご覧ください)。
しかも1年前と2年前で銘柄がかなり重なっていることがわかります。トヨタ自動車は3年連続のトップになっていました。有望銘柄というのは変わらないものなのでしょうか。

●予想が作られる過程
相場を予想すること自体難しいものですが、それがどのような過程で作られたかを考えてみると予想データの正しい使い方が見えてきます。

同じ紙面に為替レートに関しての予想も掲載されていました。来週はこちらも合わせて検証してみたいと思います。(つづく)

今回の話のまとめ---------
●投資の世界は予想だけではなく検証することが重要
●過去の検証では経営者・有識者が選んだ有望銘柄が有望とは言えない
●相場の予想はそれが作られた過程を考えると使い方が見えてくる

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