2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
マネックス証券は2005年オルタナティブ投資元年を宣言し、セミナーや新しい商品の開発を進めています。
昨年11月にパイロット・ファンドとしてマネックス・キャピタル・パートナーズI(MCPI)を営業者とするマネックス ファンド・オブ・ファンズIの運用が開始されました。徐々に投資先のファンドも絞り込まれ、実際に資金を入れて運用を開始した投資先も出てきました。
最近日経新聞などでもようやくオルタナティブ投資に注目が集まりはじめているのを感じます。
●オルタナティブ投資の分類
オルタナティブ投資といってもいくつかの種類があります。昨晩メール登録者に配信されたマネックス<オルタナティブ>メールの中にわかりやすく分類されていました。
マネックス<オルタナティブ>メールの登録はこちら
http://www.monex.co.jp/visitor/mcpi/alternative_mail/index.html
本日(2月4日)の日経新聞にはオルタナティブ投資の記事が3つも掲載してあって驚きました。このコラムのために用意していただいたようなタイミングの良さです。お手元にある方はそれも参考にしてみてください。
1.ベンチャー・キャピタル
これから成長する可能性のある企業に資金を提供し、企業の成長をサポートしながらリターンを得ようとするものです。将来性のある企業を目利きする能力が必要になる投資です。うまくいけば莫大なリターンですが、事業が失敗すれば投資資金は回収できなくなります。
2.再生系ファンド
これは最近話題になっています。経営が思わしくない企業に資金と経営資源を投入し、建て直しをして企業価値を高めて投資を回収するファンドです。日本で有名な企業再生例としては新生銀行があります。本日の日経新聞の1面左側「ファンド資本主義」で関連記事を読むことができます。
3.ヘッジ・ファンド
為替取引でイギリス中央銀行と対決し莫大な利益を上げたジョージ・ソロスが有名ですが、市場の歪みや情報の格差を使って絶対リターンを追求するファンドのことです。運用の手法や投資対象、どのようなリスクを取るのか、などによってさらに細かく分類されます。本日の日経新聞7面「銀行復活の条件」関連記事が掲載されていて参考になります。
それ以外にも不動産や不良債権を買い取って価値を高めて売却するファンドもあります。さらにこれも本日の日経新聞1面に報道されていますが、西武鉄道買収を提案している通称「村上ファンド」(M&Aコンサルティング)のようなコーポレートガバナンスの実現によって株主価値の向上を目指すファンド、など分類すればキリがありません。
●伝統的投資との違い
株式・債券といった伝統的投資とオルタナティブ投資の投資対象としての違いはどこにあるのでしょうか。以前にファンドマネージャーをやっていた経験からすれば、大きな違いは効率性と流動性にあると思っています。
●非効率なマーケット
株式や債券であれば情報端末を使えば誰でも情報を得ることができます。個人投資家と機関投資家の情報格差もネットの普及でほとんど無くなりました。
ところがオルタナティブ投資の場合、情報伝達は極めて非効率です。実績のあるファンドになればなるほど特定の投資家だけで資金が集まってしまい投資に参加するのが難しくなります。米国の人気ファンドになると米国内だけで投資金額が充分集められるので日本の投資家まで話が来ない、といったケースも珍しくありません。
したがって、情報を仕入れることができるルートをどれだけ持っているかが良い投資機会を見つけ出せるかの肝になるのです。つまり人的なネットワークです。
●流動性の低さ
もう1つは市場性の取引に比べ流動性が低いことです。オルタナティブ投資の中でヘッジファンドは比較的売買しやすい商品ですが、それでも通常は購入後しばらくは解約不可、解約する時は1ヶ月前に通知といった制約があります。
またベンチャー・キャピタルや再生系ファンドのようなものではファンドの組成期間が決まっており、それ以外の時期では購入しようと思ってもできません。投資してから数年間は資金は回収できず5年10年といった投資期間でリターンを狙っていきます。
株や債券のように市場でいつでも売買できない特殊な商品なのです。したがって投資資金も長期の投資に対応できるものに限定されます。
●実際の投資判断
マネックス ファンド・オブ・ファンズIの運用は投資委員会で議論されます。3月12日のオルタナティブ投資セミナーにも登場する、中島、谷家、渋澤の投資委員会委員が毎週月曜日の朝7時15分からオフィスに集まります。私も代表取締役として毎回オブザーバー参加をしていますが、投資委員会メンバーが持つ情報を持ち寄り、案件を選択していく熱いミーティングです。
オルタナティブ投資の投資判断は最終的には「誰がやるか」に尽きるというのが投資委員会での目利きのポイントになっています。そしてそのような人を見つけられるかどうか、がファンドのリターンを決める最大要因になると思っています。
伝統的投資とは異なる目利きの才能が問われる投資です。
今回の話のまとめ---------
●オルタナティブ投資といってもいくつかの種類に分類される
●伝統的な投資とは異なり情報の効率性、資金の流動性が低い投資
●人的なネットワークと「誰がやるか」が投資の結果を決める
ではまた来週・・・。
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