なぜか間違えてしまう資産設計の方法

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

なぜか間違えてしまう資産設計の方法

資産設計は感情のゲームではなく勘定のゲームです。気分やひらめきで投資するのではなく、理屈と計算によってリターンを狙うものです。ところが、実際にそのような合理的な投資をしている人は少ないようです。人間とはやはり感情的な存在だからでしょうか。

今回はそんな資産設計の失敗例をまとめて紹介してみようと思います。

<誤り1>リスクを取らないのがリスクであることに気がつかない
投資をしていない人の多くは、株や外貨に投資をすることが危険だと思っています。しかし外貨資産を保有しなければ円安になったときのミスマッチリスクが存在しますし、将来のインフレを考えれば元本保証の預貯金だけを保有してリスクを取らない方が、リスクが高いと言えるでしょう。
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/005172.html

<誤り2>利食いは早く、損切りは遅くなってしまう
人間の心理として利益は確定したい、損は確定したくないという気持ちがあります。結果として儲かっている時は早く確定してしまい、損が出ている時にはなかなか損切りができなくなります。しかしこれをやっていると投資で儲けることはできません。
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/004270.html

<誤り3>投資は手段ではなく目的と勘違いする
先週も書きましたが、投資は人生の夢・目的を達成するために必要な資金を得るための手段に過ぎません。投資自体に喜びを見出してしまう「手段と目的をはきちがえた人」になってはいけません。
(投資が趣味というのであれば別ですが)
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/005642.html

<誤り4>アセット・アロケーションより銘柄選択とタイミングに時間を割く投資のリターンを決定する3つの要素はアセット・アロケーション、銘柄選択、そして投資タイミングです。しかしその中のアセット・アロケーションでリターンの80%が決まってしまうというのが米国での検証結果です。銘柄選びやいつ買うかを考える前にやるべきことは「資産配分」です。
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/004798.html

<誤り5>株のリスクは取りすぎ、外貨のリスク取らなさすぎ
株式投資をしている人はリスクを取りすぎる傾向にあります。特に個別銘柄に投資をする人は値動きの激しい銘柄に集中投資する傾向があり、よりリスクが大きいといえます。結果として運用を長期で続けられない「ゲームオーバーリスク」を取っているのです。

一方外貨投資は円高になることが怖い、と投資比率が低くなりがちな人が多いようです。つまり株式とは逆にリスクをもっと取れるということです。

株と外貨という2つの投資の大きなリスクをバランスさせることによって効率的なリスク配分が可能になると言えるのです。
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/005191.html

<誤り6>株式手数料の1000円にはこだわるが株価の1円にこだわらない株式手数料が安い証券会社にこだわる人がいます。もちろん安い方が取引コストを下げることができ、結果としてリターンを向上させます。しかし1000株が1単元の株であれば1円の価格変動が1000円です。コストが大幅に異なれば別ですが、手数料に神経質になる前にシステムの安定性、情報やサービスのレベル、画面の見やすさ、管理のしやすさなども検討し、1円でも安く買って高く売れるよう取引の工夫をしましょう。

<誤り7>早くはじめることが良いとわかっていてもはじめない
せっかく勉強して正しい知識を得たのに相変わらず「個人投資家」ではなくいつまでも「資産設計評論家」のままでいる人がいます。投資は勉強しても実行しないとリターンにはなりません。

そして投資でリターンを実現するには時間が必要です。1年で2倍にすることは困難でも、10年で2倍にすることは無理な話ではないことからもおわかりいただけると思います。

●失敗を減らせば、投資のリターンは確実に改善する
さて皆さんはいくつ当てはまりましたか?投資は勉強しても絶対に儲かるとは限りませんが、勉強をすればするほど失敗の数を減らしていくことは確実です。今回例にあげたような誤りもこれから繰り返さないように工夫をすれば、その分リターンは改善するはずです。

投資は才能ではなく技術である、というのが私の持論です。運や勘による思い付きで取引して儲けられる人は例外です。資産設計とは失敗を減らし成功の可能性が高い手法を繰り返していく、知的でロジカルな作業なのです。

今回の話のまとめ---------
●投資の失敗の理由の多くは感情的要因
●失敗を減らすことは確実に投資リターンの改善につながる
●資産設計は地道で知的でロジカルな作業である

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