2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
3月4日のこのコラムに書いたとおり、3月1日から「自分のお金」で「自分で判断した個別銘柄」に基づき「バリュー投資」を開始しました。これを始めたことで3つの収穫を得ることができました。
リターン、バリュー株運用の可能性、自分のお金で投資をする意味、です。
●リターン
わずか3週間足らずの話です。しかも11銘柄に投資してみただけです。とは言え結果は予想を大きく上回りました。18日の午後1時過ぎ時点の概算ですが、11銘柄加重平均の上昇率は13.41%となりました。最大上昇銘柄は136円で購入した東証2部の業種分類、ガラス・土石製品の銘柄で135.2%の上昇。
同じ時期のTOPIX上昇率が2.35%ですから11%以上のアウトパフォームです。(小型株効果などもあり、単純比較できません。参考比較です)
●バリュー株運用の可能性
バリュー銘柄とはPERやPBRが低い、あるいは配当利回りが高いものを一般に差します。高い低いをどうやって判断するのか、あるいは様々な指標の中からどの指標を重視するのか、などによって何をバリュー株をするのかは変わってくると思います。
今回の手法はマネックスの勉強会を開催していただいたバリューサーチ投資顧問の考え方をベースに銘柄選択を行いました。拙書「資産設計塾」でもP.214から手法の詳しい説明を掲載しています。
http://www.value-search.co.jp/
PER、PBR、配当利回り、そして過去の株価上昇率を25%づつの比率でウエイト付けし、割安と判断されたものから1業種1社づつ機械的に選択しました。このような方法で選ばれた銘柄は株価の下落リスクは低いのではないかと判断したわけです(信用リスクは高い銘柄になる傾向はあると思いますが)。
同じ方法で常にリターンが得られるとは思いませんが、例えば株式を購入する前に自分の購入する銘柄のPER、PBRくらいは最低でも確認してみてはどうでしょうか。銘柄選択のヒントが得られると思います。
マネックス証券のログイン後の投資情報画面にはスクリーニング機能があります。例えばPBRが1.0倍未満、PERが15倍未満といった基準でスクリーニングしてみると割安な銘柄が抽出されます。業界他社との比較を行えば、割安割高についての定量的な評価が可能です。
●雑誌の推奨銘柄が当たらない理由
このようなバリュー株のスクリーニングを行うとあることに気がつきます。それは割安株には無名の銘柄が多いということです。誰もが知っている銘柄は買う人が多くその分割高になっています。割安に放置されているということはプロのアナリストも対象にしていない、個人投資家にも知られていないから、とも言えるのです。
マネー雑誌の推奨銘柄を見ていると誰もが知っている銘柄ばかりが掲載されています。読者にわかりやすい、外れた時の言い訳がしやすい、といった理由からなのでしょうが、人が気がつかない銘柄を自分で探さなければ超過リターンは得られません。
●自分のお金で投資をする意味
投資は自分のお金でやらないと身につかないということも学びました。購入した銘柄はポートフォリオとしてヤフーファイナンスで管理をしています。インデックスとの競争をすることで個別株価の動きに対する感覚を体感することができます。
自分のお金で投資をすることとシミュレーションで株式ゲームをすることの間には大きな違いがあるのです。自己資金を投入し株価1円の重みを感じられるようになることが資産設計に必要な経験なのです。
●まず10万円ではじめてみる
バリュー投資をすることは誰にでもすすめられることではありません。個別銘柄選択ですからアクティブ運用としてのリスクも存在します。
ペイオフ解禁を控え、自分で投資を始めようとする人が増えています。そんなこれからはじめる方には失敗を最小限に留める方法で一日も早く「自分のお金で投資してみる」経験をすることを強くおすすめしたいと思います。10万円用意すれば、銘柄選択しなくても分散投資を始めることができます。
実際に買付をやった瞬間、自分が川のこちら側から向こう側に渡ったこと(ジャンプ)を実感できるでしょう。こちら側にいるだけでは評論家、向こう側渡ってはじめて個人投資家になれるのです。
今回の話のまとめ---------
●バリュー投資にはインデックスを上回る可能性がある
●人の意見を鵜呑みにしてはリターンはあがらない
●自分のお金で投資をすると個人投資家に「ジャンプ」することができる-----
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