危険な商品とは?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

危険な商品とは?

マネックスFXという商品があります。為替の取引ですが、お客様からお預かりした現金を担保とし、外国為替の売買を行ないます。豪ドルなら最低5,000円の預け入れで取引が可能です。

http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G1600/fx/index.htm

かつて、マネックス証券時代に勉強会でこの商品を説明したところ、こんな危険な商品を投資信託などと同等に並べて説明するのはいかがなものか、との指摘をファイナンシャルプランナーの方から受けました。

果たしてマネックスFXは危険な商品なのでしょうか。

●商品の仕組み
マネックスFXは買いからも売りからも取引できる、ほぼ24時間リアルタイムで為替レートが変動する、通貨は米ドル・円からユーロ・米ドルまで全部で8種類、といった特長のある為替の保証金取引です。

この商品の最大の魅力は為替の手数料の低さと買って外貨を保有したときの毎日入ってくる金利(スワップ金利)にあります。

1000通貨あたりの取引手数料は100円以下。つまり6銭〜10銭ということになります。ドルで考えた場合、10銭というのは通常の外貨預金の1円、米ドルMMFの為替手数料25銭(マネックス・ビーンズ証券の場合)と比べてかなり格安になります。さらにユーロ、豪ドル、ポンドといった通貨になるとコストの格差はかなり大きくなります。コストが低いので期待リターンは高くなります。
もう1つのスワップ金利も他の外貨商品に比べ魅力的といえます。例えば、5月13日現在豪ドルの買いスワップ金利は1万豪ドルあたり一日123円となっています。金利水準が変わらなければ、1年では123円X365=44,895円となります。1万豪ドルは円貨で82万円程度ですから金利にすると5%以上になります。同じ計算をドルですると金利は32,120円になりますから1万ドル(約105万円)に対するリターンとしては3%程度です。

他の外貨商品に比べるとコストが低く、金利が高い効率性の高い商品であると言えます。

●コントロールできるリスク
マネックスFXのリスクが高いと言われるのはレバレッジがかかっているからです。レバレッジとは少ない金額で大きな取引ができるということです。

米ドルで考えてみましょう。例えば為替保証金が1万円なら1000ドルの為替のリスクが発生します。1000ドルは約11万円(1ドル110円換算)ですからレバレッジは約11倍という計算になります。この場合1円円高になると元本の約10%が無くなってしまいます。比率でみると10%は大きいですが、損失した金額で言えば11万円の外貨預金をした場合と同じということができます。

つまり11万円で米ドルの運用する場合、11万円で外貨預金にするのと、1万円の為替保証金取引で11万円分の為替リスクを取って残り10万円は普通預金にするという組合せを比較するとリスクは実はほぼ同じです。このように外貨を買ってそのまま長期で保有すれば「手数料の安い外貨預金」としてこの商品を活用することができます。

私もポンドや豪ドルでこのような運用をしていますが、外貨預金よりははるかに効率的な資産運用ができていると思います。ちなみに1万ポンドのポジションで現在毎日250円程度の金利収入があります。

保有している金額すべてを保証金にして取引すればリスクはレバレッジ効果で大きくなりますが、一部だけを保証金として取引すればリスクは自分でコントロールできるのです。(この説明は薄めて飲むカルピスを想像しながらだとイメージしやすいと思います。カルピスがマネックスFX、薄める水が普通預金です。)

●危険な商品とは?
マネックスFXはレバレッジの考え方を理解しないでリスクを取りすぎれば、確かに危険な商品といえるでしょう。画面の使い方には少し熟練が必要です。しかしきちんと理解した上で説明したような外貨預金の代替のような使い方をすれば手数料、金利など有利な面があり決して危険な商品とは思いません。
例えば、自動車も使い方によっては凶器になります。しかし運転の技術を知っていればとても便利な文明の利器です。教習所に通って使い方をマスターすれば役に立つものです。使い方を知らない人が使うと危険だからといって、誰にも使わせないというのは現実的ではありません。

為替保証金取引も同じです。金融の世界では本当に危険な商品とは「不当に手数料が高い商品」「商品内容が理解できない商品」「自分でリスクコントロールができない商品」であると思っています。マネックスFXは危険な商品には該当しない、むしろコストが低い分使い方によってメリットがある外貨運用手段です。

マネックスFXを「リスクを限定した外貨預金的使い方に限定して活用すれば、外貨預金より安全な商品」と言ったらまたあのファイナンシャルプランナーの方に叱られるのでしょうか。

今回の話のまとめ---------
●マネックスFXはレバレッジの概念を理解することが重要
●マネックスFXは外貨預金代替のような使い方をすれば効率的な商品
●危険な商品とは自分で使いこなせない商品のことである

マネックスからのご留意事項

「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

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