2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
金融商品は次々と新しいものが出てきます。であるからこそ投資の勉強は継続しなければすぐに時代に取り残されてしまいます。でも新しいから、売れているから、というだけの理由で何となくすすめられて商品を買ってしまうということはありませんか?金融商品は投資の目的によって何を選ぶかが変わってくると思うのです。
●資産設計する人に毎月分配型投資信託は必要か?
毎月分配型投資信託というのがヒット商品のようです。これは主に外国債券に投資をするファンドで毎月決算をして年金のように安定した分配金を支払うようになっている商品です。
海外の金利は日本に比べて高いですから金利収入が例えば4%あれば毎月分配すると12で割れば毎月0.33%くらいにはなる計算です。10000円で33円ということになりますから、税金や手数料などのコストを考えなければ1000万円で毎月3万円以上のお小遣いということで年配の方には人気のようです。
しかし外貨に投資していますから円高になれば元本は減少しますし、金利が上昇すれば債券価格は下落します。このような元本の変動リスクがありながら毎月安定した分配金を支払うというのはどこかおかしい気がします。また分配してしまうと複利で資産を殖やそうという資産設計はできなくなります。要するに元本の増減ではなく目先の手取りを重視する人のための商品なのです。
マネックス・ビーンズ証券でもこのような商品を本格的に販売した方が良いのでしょうか。
●元本確保型投資信託でリスクを限定できるのか?
元本確保型というのもリスクを限定したい人には売れていると言います。これは運用期間を例えば5年間というように設定して5年後には元本が目減りしないで戻ってくることを確保しているのがセールスポイントになっている商品です。
このタイプの商品の運用手法はさまざまですが、一般に5年後に100で償還される割引債を20%から30%割引で購入し、残りの資金で高いリターンを目指す運用を行うようになっています。万が一残りの資金の運用に失敗しても割引債が満期になれば元本は確保されるという仕組みです。
元本確保といってもこの場合は外貨での元本が確保されているだけで円高になれば元本は確保されません。また中途解約すると目減りすることがあります。さらに販売時の手数料や信託報酬などのコストを積み上げると本当に元本が確保されるかどうかは疑問です。これも資産設計をする上では必要ないと思います。
マネックス・ビーンズ証券でもこのような商品を販売した方が良いのでしょうか。
●販売手数料のかかるインデックス投信の存在意義は?
インデックス型の投資信託は運用の基本になる重要な商品です。例えば日本株の運用をするのであればいきなり自分で銘柄選択をするよりも、1万円から購入できるインデックスファンドでまずは運用するのが特に初心者には良いと思います。
インデックスファンドを選択する時のポイントは販売手数料がかからない商品にすることです。例えば日経平均に連動するインデックス型投信であれば運用の成績はそれほど大きな差はありません。どのファンドも日経平均に限りなく近い運用成果になります。とすれば後はコストの問題になります。販売手数料がかからないノーロード型の投資信託を選択すれば投資のリターンはコストが低い分確実に向上します。
外国株式でもノーロード型のインデックスファンドは存在します。例えばトヨタアセット・バンガード海外株式ファンドは日本以外のグローバルな株式市場に1万円から分散投資できるノーロードのファンドですが、販売手数料はかかりません。
スーパーで買い物をするときに同じものが安い値段で別の店に売っている事を知っていればそちらで買うのが普通です。金融商品も同じ品質ならば安いものを買うのは当然です。販売手数料のかからない商品があるのにわざわざ手数料を払う必要はありません。
マネックス・ビーンズ証券で販売しているインデックス型投資信託はすべてノーロード化すべきではないかと私は思っています。
●金融商品選択術
売れているからというだけで何となく買うのではなく自分にとって本当に必要な商品なのか、自問してから購入しなければ投資の本来の目的が達成できなくなってしまいます。またコストはリターンに直接的に影響するものですから無駄な手数料は少しでも節約していきましょう。
どんなに良い商品でも万人に受け入れられるものはありません。自分の目的に合った商品選択をしなければ期待した成果は得られないのです。
今回の話のまとめ---------
●毎月分配型、元本確保型商品は資産設計には使う必要はないと思う。
●インデックス型投資信託は販売手数料のかからないノーロードが有利と考え られる。
●万人に合った金融商品は存在しないと思われる。自分の投資目的から商品選 択をしよう。
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