人のお金、自分のお金

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

人のお金、自分のお金

投資に関する本は世の中に溢れていますが、反論を恐れずに言えばそのほとんどは役に立たない、むしろ害になるものではないかと思っています。

●自分でやらない専門家
役に立たない本になってしまう大きな理由は自分のお金で実際に運用していないからです。有名な投資アドバイザーでも説明は明快、しかし実は自分では運用をやったことは無い、という人は意外に多いのです。

投資は理論的な勉強も重要ですが、そのような理論だけ知っていても実際の取引をやったことの無い人にはわからないことがあります。理論と経験の両方があってはじめて、投資で成功できる可能性が出てくるのです。

ある有名なテクニカルアナリストが「俺もそろそろ株式運用をはじめてみようかな」と言ったという話を聞いたことがありますが、自分でやらなくても理論だけでそれなりのアドバイスができてしまうのが金融の恐ろしいところです。
こんな人たちは、人のお金と自分のお金を別物と思っているのではないでしょうか。

●自分でやる個人投資家
一方で最近、個人投資家の方で自分の運用手法を本やBlogで紹介している人が増えています。彼らは自分のお金を実際に投資してみてその中から運用のノウハウを公開している本当の実践者ではないかと思います。人に教えることはできても自分では運用できない「専門家」の言うことより説得力があるのではないかと思います。

なぜなら人のお金の運用方法を自分が実際にやっている方法で考えているからです。

●分散投資を実践すると・・・
私はアセットアロケーションによる分散投資を提案していますが、自分の資産はどうしているのか、と良く聞かれます。7月に出した「お金持ちになる投資成功ノート」の特典として私自身のポートフォリオを公開して特典該当者の方にお送りしました。

7月末のアセットアロケーションを6つのアセットクラスで分類すると自分の資産はこのようになっていました。

流動性資産  22%(0〜20%)
日本株式   32%(30%)
日本債券   13%(10%)
外国株式   13%(20%)
外国債券   15%(20%)
その他資産   5%(0〜20%)

( )で表示した標準的なアセットアロケーションとして提案している数字と比較すると外貨資産の比率がやや低くなっています(リバランスが必要)が、ほぼこの数字にそった運用を実際に行っていることがお分かりいただけるかと思います。

自分のお金で実践して、良いと思う方法を提案するのが基本スタンスです。
●人のお金、自分のお金
アドバイスをする立場の人だけではなく、実際に運用をしているファンドマネージャーにも似たような話があります。

例えばオルタナティブ投資の1つであるヘッジファンドのファンドマネージャーは自分の運用しているファンドに自分の個人資産のかなりを投入している、といわれています。つまり本当に良いと思っている運用をしているので自分の資産もそこで運用しているのです。そこには人のお金、自分のお金という区別はありません。

●同じ船に乗る
金融の世界で重要なことは「お客様と同じ船に乗る」ことではないかと思います。例えば、運用を行うファンドマネージャーであれば自分の個人資産も合わせて運用する、アドバイスをする立場であれば、アドバイスした内容を自分の資産でも実践する。

このような方法を実践することによって、自分の言っていることとやっていることが一致し、真に信頼できる専門家へ近づくことができると思っています。
人間は緊張感が無いと安きに流れやすい動物です。「同じ船に乗る」ことによって自分の行動に対する規律がうまれます。投資家からみてもこのような規律がある方が安心できる仕組みということができます。

アドバイスを聞いたり、商品を選択する時には、「人のお金を自分のお金と同じように考えてくれる」かどうかを考えれば、信用してよいのかどうかが見えてくると思います。

今回の話のまとめ---------
●投資の話は自分のお金で本当にやっている人に聞こう
●他人のお金と自分のお金同じ土俵で運用することで規律がうまれる
●同じ船に乗っているかどうかが信頼度をみるチェックポイント

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