ファイナンシャル・プランナーの存在意義

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

ファイナンシャル・プランナーの存在意義

先月日本ファイナンシャル・プランナーズ協会神奈川支部でお話をさせていただきました。継続研修の一環として500名以上のファイナンシャル・プランナー(FP)の方が集まり3時間近くのセミナーになりました。
http://www.kanagawa-jafp.jp/kaiin/info/index.html

●運用のアドバイスはタダが当たり前の国
 セミナー終了後の懇親会にも出席させていただきましたが、参加されているFPの方々は本当に金銭教育に熱い思いを持っているのを感じることができました。

 とは言え、現実にはFPの資格を取っていても独立FPとして仕事をしている人はそれほど多くないようです。ビジネスとして成り立つFPというのは日本ではまだ少ないのが現状です。ナゼ日本ではFPに対するニーズが高まらないのでしょうか。

 お世話になっているFPの方にお話を伺ったところFPの使命は、お金全般のコントロール、一定の収入や資産額のもとでの満足度の最大化、金銭的不安の解消などであるということでした。それにも増して資産をどうやって運用したら良いのかという大きな疑問を解消してあげることと思います。

 日本人には資産運用を学ぶ機会がなかなかありません。ほとんどの個人投資家は何となく株を買い、見よう見まねで投資をはじめるのです。投資が科学的なものではなく経験や勘でやるものだと考えているのです。

 あるいは投資に関する相談はFPではなく銀行や証券会社の窓口で無料で受けられると思っています。

 しかし金融機関の窓口でのサービスは資産運用のアドバイスというよりは個別商品のマーケティングになっていることが多いのではないでしょうか。FPの役割はこのような金融機関の立場ではなく、個人投資家の側に立って真のアドバイスを行うことではないかと私は思います。

●当事者と傍観者
 FPが真に個人投資家の側に立ったアドバイスをするためには、自らが実際に商品を購入し、メリット・デメリットについて理解をしている必要があります。自分でやっている人の言葉には説得力があります。それは自己資金でリスクを取って投資をはじめることでFP自身が傍観者から当事者になるからです。
 FPが当事者として投資を本気ではじめれば、そこから得られる経験と知識を個人投資家にフィードバックすることができるようになります。

 人から聞いた受け売りの知識をまとめて説明するだけでは当事者にしかわからない本当に必要な知識は得られず、個人投資家から本当に役に立つ、と言われるFPになることはできません。

●金持ちFP、貧乏FP
 料理研究家の中にはカリスマ主婦と呼ばれる人がたくさんいます。なかには衆議院議員選挙にまで出馬するほどの人気の人もいます。その人気の理由は自分もそんなふうになってみたいという憧れの存在になっているからです。
 不健康な医者には誰も健康相談はしませんし、家庭生活が崩壊している人に家族のことを相談したりしないでしょう。それと同じであまり裕福に見えないFPに、投資の相談をしようとはあまり思わないものです。

 つまり自らのライフスタイルから成功体験を語るFPが必要とされているのです。

 自分がやっているスタイルを相手に教え、マネをしてもらう立場になれば一気に投資家啓蒙は進みます。FPの世界でそのような憧れられる人が現れれば、と思います。憧れのFPとは投資に成功し、お金を有効に活かして人生を豊かに過ごしている人です。自分が資産運用を通じ人生の成功者でなければ説得力がありませんし、カリスマFPとして憧れの存在になることもできないでしょう。
●FPが立つのは金融機関側?それとも投資家側?
 私はFPの資格も持っていない金融機関の人間です。個人投資家の立場からのアドバイスを目的にこのコラムを書いていますが、給料をもらっている金融機関のメリットも同時に考えなければならない立場にあります。つまり、知らず知らずのうちに会社の利益の偏った方向に進む危険性が無いとは言えません。
 独立したFPは金融機関という販売側ではなく個人投資家の側に立った仕事をすることができます。個人投資家を啓蒙するだけではなく、マネックス・ビーンズを含め金融機関の商品や情報サービスが個人投資家の利益になるのかどうかを厳しくチェックする。そんな頼もしいFPが出現しないのでしょうか。
 ファイナンシャル・プランナー(FP)の存在意義は個人投資家のお金に関する技術的、精神的サポートを自らの経験に基づき行うことにあるのではないかと思っていますがどうでしょうか。是非、見識あるファイナンシャル・プランナーの方のご意見を聞いてみたいと思っています。

今回の話のまとめ---------
●FPの立場は金融機関側ではなく個人投資家側
●FP自身が自分の投資成功体験を持てば説得力を持つ
●カリスマFPが出現すれば啓蒙を通じ個人投資家に大きなメリットがある
ではまた来週・・・。

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