BRICsファンドの実践活用法

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

BRICsファンドの実践活用法

遅ればせながらマネックス・ビーンズ証券でもBRICsオープンの販売を開始することになりました。社内調整に時間がかかり遅れてしまいましたが、ようやくゴーサインが出ました。

http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new/news510d.htm
ご存知無い方のために解説するとBRICsとは今後高い成長が期待でき、人口・国土の規模が大きいブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の4ヶ国の頭文字を取ったものです。

●インドオープン、チャイナオープンとどちらにしたらよいか
マネックス・ビーンズ証券ではHSBC投信のチャイナオープン、インドオープンの2本のファンドを既に販売開始しておりますが、どちらもファンド残高の上位に入る人気ファンドです。

中国株、インド株に投資をするファンドは多数設定されていますが、BRICsに投資をまとめて行うファンドは本ファンドが唯一です。

これらのファンドに既に投資をしている方はチャイナオープン、インドオープンと今回販売開始するBRICsオープンのどちらに投資をしたら良いのかという疑問を持たれると思います(私も同じ疑問を持ちました)。

既存の2ファンドと今回のBRICsオープンには大きく2つの違いがあると考えています。投資対象と投資目的の2つです。

●投資対象
当然のことながら投資対象は異なります。BRICsファンドの最大の魅力はブラジルとロシアでプロが選んだ銘柄に分散投資ができることです。

どちらも中国やインドに比べ馴染みの無い国ですが、ブラジルは天然資源や農産物を世界各国へ輸出する国です。鉄鉱石、コーヒー、砂糖、葉タバコなどは世界でトップクラスです。1990年代は高インフレが続き通貨も不安定でしたが近年経済のファンダメンタルズが大きく改善し、通貨も上昇してきています。
ロシアも経済は大幅に改善してきています。財政の健全化と外貨準備の増加によって国際的な国の信認が高まり、豊富な天然資源にも注目が集まっています。原油は世界の埋蔵量の11%、天然ガスは世界の埋蔵量の22%を占めるとされ、資源価格の高騰が追い風になっています。

これらの国は自分で投資することは極めて困難ですし、銘柄の選定も情報が少なくファンドを通じて投資をするのが現実的です。運用実績のあるHSBCグループが投資の意思決定をするBRICsオープンは個人投資家には投資機会の提供という意味でも価値があります。

●気がつきにくい投資目標の違い
BRICsオープンがチャイナオープン、インドオープンと異なる2つ目の点は投資の目標です。

チャイナオープン、インドオープンにはベンチマークと言って、投資の結果を比較する指標が設定されファンドマネージャーはこのベンチマークを上回る運用成果を目標にしています。基本的にはファンドの資金は解約用にリザーブしてある数%を除き株式の購入に回されます。つまり原則常に「フルインベストメント」になっているのです。

一方のBRICsオープンはトータルリターンの追求が投資の目標となっています。このファンドの場合は例えばBRICsすべての国に短期的に投資妙味が無いという判断になると現金の比率を増やし投資比率を意図的に落とすことがあるということです。ファンドの運用ルールでは最大投資比率が50%まで下げられるようになっています。また投資する国も最低2ヶ国まで減らせるようになっています。常に4ヶ国に投資が行われるとは限らないのです。

ベンチマークのある運用とベンチマークの無い(絶対リターンを目指す)運用という大きな違いがあることには意外に気がつかない人が多いと思います。
●BRICsファンドの概要
ファンドの概要についてまとめておきましょう。
BRICsオープンはルクセンブルグにあるHSBC GIF BRIC ファンド(外国投信)と国内にあるマネープールファンド(資金待機用の国内投信)の2つのファンドに投資をするファンドオブファンズ形式の国内ファンドになっています。原則として為替ヘッジは行ないません。11月11日から販売開始になります。現在の基準価額は9417円(11月2日現在)となっています。

●BRICsファンドの実践活用法
この商品は資産設計の観点からはどのように位置付けたら良いのでしょうか。一時的にキャッシュ(現金)比率が高まるという点ではフルインベストメントを行うチャイナオープン、インドオープンに魅力がありますが、何と言ってもロシア、ブラジルに長期的に投資をしておくことができる魅力には勝てません。
実践活用法としてはドルコスト平均法で買ってみたいと思っています。インドオープン、チャイナオープンと共に3本まとめて少しずつ積立できれば便利かなと思っていたのですが・・・残念ながら当初は積立の機能がありません。一日も早く1万円からの積立ができるようになることを期待しています。これには個人投資家の皆様からのご意見が一番のサポート材料になるでしょう。

今回の話のまとめ---------
●BRICsオープンの最大の魅力はブラジル、ロシアへの投資が可能になること●フルインベストメントにならない可能性もあることに注意
●積立でドルコスト平均法ができればベスト

ではまた来週・・・。

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