2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
日本の株式市場は好調です。昨年末に11,488円であった日経平均は昨日の終値で14,080円まで上昇しました。この前まで12000円が上限だと言っていたのが遠い昔のように感じられます。
特にここ半年の上昇は大きくYahooファイナンスのデータを使って計算すると4月末から10月末までの6ヶ月間で23.6%の上昇となっています。月別で見ても5月以降毎月上昇していることがわかります。特に8月、9月の上昇は大きく株式市場に資金を置いておけば資産を大幅に殖やすことができました。
<日経平均の月別の上昇率>
10月 0.24%
9月 9.35%
8月 4.32%
7月 2.72%
6月 2.73%
5月 2.43%
●インデックスに勝てない理由
しかし、セミナーなどで個人投資家の方に株式投資をしている人の話を聞くとあまり儲かっていないという人が意外に多いのです。市場全体が上昇しているのですからインデックス運用をしていれば2割以上はリターンが取れているはず。ところがあまり浮かない顔をしているところを見るとインデックスよりも低いリターンしか実現できていないということなのでしょう。
インデックスに勝てない「カモにされる側」の投資家は個人投資家の半分以上もしかすると8割近くいるのかもしれません。ナゼなのでしょうか。
●売買を繰り返す
売買を繰り返して収益を積上げようとする、あるいは安いところでうまく買って高いところで売り抜けようとする。このような取引をしていると肝心なところで収益機会を取り逃がす可能性があります。タイミングを考えすぎてしまうと逆に失敗してしまうということです。
「敗者のゲーム」(チャールズ・エリス)で紹介されている米国の例と同じことが日本の株式市場でも言えるのです。。
例えば10月末までの6ヶ月間の毎日の日経平均の変動率を計算し、上昇率の高いベスト10日のリターンを合計すると19.5%になります。逆に同じ期間のワースト10日で計算すると-11.6%になります。6ヶ月の平均で23.6%ですからわずか10日間で80%以上のリターンを稼いでいることになるのです。この10日間を逃してしまうとせっかくの上昇相場に乗ることができません。
●銘柄選択の失敗
銘柄選択に失敗するとリターンを得られなくなります。インデックスが上昇している時でも下落している銘柄は存在します。銘柄選択の戦略なくして個別銘柄に投資を行ってもインデックスを上回るリターンは実現できません。
それなら無理をしないでインデックスファンドが良いのではないかと思います。例えばインデックスファンドTSPなら販売手数料のかからないノーロードファンドで低コストの日本株運用が可能です。
●株式は大人になってから
私は銘柄選択による株式投資を否定しません。実際、自分自身の個人金融資産の中で日本株式の銘柄選択で50銘柄以上に投資をしています。しかし自分の投資方法を確立するまではインデックスファンドとETFを中心に日本株の運用を行っていました。つまりインデックス運用中心で「市場に参加する」ことを優先していたのです。
これからの日本株式市場がどうなるかはわかりませんが、個人的には強気に見ています。そのような前提に立てば、最悪なのはどれに投資をしていいのか銘柄を選べないからわかるまで投資をしないという意思決定です。
相場は自分の都合には合わせてくれません。自分が投資判断ができる、と思った時に今のような上昇相場が続いているかはわかりません。大切なのは個別の銘柄ではなく市場の方向性です。
株式は大人になってから、でも子供だからといって何もしなくて良いわけではありません。
上昇相場はオリンピックと同じです。参加することに意義があるのです。
今回の話のまとめ---------
●株式が上昇しても投資をしていなければ資産は殖えない
●銘柄選択できないから投資をしないのでは失うものがある
●インデックスファンドなどを活用し市場に参加することが重要
ではまた来週・・・。
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