2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
自分の人生がいつ終わるのか考えたことがありますか?誰でもいつかは自分の人生に終りが訪れます。縁起でもないことですが、もしかしたらそれは明日かもしれません。
しかし現実には人間はいつ自分がこの世を去るのかを知ることができません。その結果、自分の人生が明日終わると思っている人はほとんどいません。多くの人は人生はまだまだ長いと思って毎日を漫然と過ごしています。そんな人にとっては時間というものは無尽蔵にあるただのものという認識です。しかし時間のコストはゼロではないのです。
それは資産設計においても同じです。
●長期運用には時間が必要
資産を殖やすためには時間が必要です。
72の法則という有名な法則があります。これは72÷金利(%)で資産が2倍になるのにかかる時間がわかるというものです。例えば年間平均7%で資産を運用できれば72÷7≒10年。つまり10年で資産は2倍になるという計算になります。
7%の運用というのはそれほど非現実的なものではありません。しかし同じ成果(資産倍増)を1年で出そうと思えば年間100%で運用しなければならず、これは極めて大きなリスクを取らないと実現できません。
熟成したワインが短時間で造れない無いように資産も短期間で大幅に殖やすことは極めて危険で実現性の低いことなのです。
●自分の時給を考えてみよう
拙書「内藤忍の投資成功ノート」では人生の時間価値(時給)を自分で計算できる方法を紹介していますが、やってみると自分の人生の時間価値が意外に大きいことに驚きます。
資産運用に長い時間をかける人がいます。例えば週末に一日かけてチャートの分析や個別企業の業績を調べている人。毎日残業で疲れて帰ってきてからパソコンを家で立ち上げ翌日の注文方法を考えている人。勉強してから投資をするのは良いことですが、果たしてそれでどの位の投資成果が上がっているのでしょうか。
例えば1週間に6時間投資に時間を割いている人は年間約300時間を費やしていることになります。それによって30万円の(インデックスを上回る)利益だとしたら時給は1000円です。
人生の時間価値と比べて投資の時給が低いのであればそれは時間という有限の資源を非効率に使っていることになります。
●人生は死刑囚と同じ
死刑囚の人は毎日どんな気持ちで過ごしているのでしょうか。今日が人生最後の一日かもしれないと思いながら毎日を悔いなく真剣に生きているのではないかと想像します。辛いかもしれませんが密度の濃い人生です。
実は人生とは誰にとっても死刑囚と同じものだと思います。誰もがいつかは人生を終える、そしてそれがいつなのかわからない。ただその切迫感が死刑囚の人より薄いだけです。
もし人生が有限であることをもっと認識できれば毎日の時間の価値をもう少し認識できるのではないでしょうか。
例えば毎朝起きたときにこう考えてみたらどうでしょうか。
「もし今日が人生最後の日だったら後悔しないだろうか」
時間との付き合い方の何かが変わるきっかけになると思います。
●今より早い時は無い
時間は今より殖えることはありません。自分の時間は時と共に物理的には減っていきます。しかし時間を効率化することによって自分の精神的な時間は殖やすことができるのです。
自分がやっている資産設計は時間と成果を考えてどうでしょうか。あるいは今日からはじめるべきことを明日に先送りしていませんか。
時間は流れていきますが、それでもこれからの人生では今が一番早いのです。時間のコストを考えるのであれば今日が最後の一日と思ってやるべきことを早速はじめてみることです。それは資産設計だけのことではなく人生すべてに当てはまることです。
今回の話のまとめ---------
●時間はコストゼロではない
●長期運用には時間が必要
●物理的な時間は減っても自分で時間は殖やすことができる
ではまた来週・・・。
マネックスからのご留意事項
「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。