2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
皆様、新年明けましておめでとうございます。
本年も皆様に楽しくお役に立つ情報をお届けしたいと思います。「資産設計への道」をよろしくお願いいたします。
さて本日「株のがっこう」が開催されました。これは親子で株や投資について学ぶ機会を提供しようという冬休みの企画です。私もマネックス・ユニバーシティの代表として2時間目の授業を担当させていただきました。
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new/news5117.htm
30名近い小中学生とその保護者の方を前にお話して思ったことは、子供の頃からしっかり投資教育を受けて長期運用をはじめれば10年後、20年後には末恐ろしい個人投資家が誕生するのではないかという確信です。彼らは20年投資をしてもまだ30歳前後。うらやましい話です。
●投資の基本は「長期」「分散」
「株のがっこう」は45分という短い授業時間でした。その中で強調したのはやはり長期で分散投資をするという「資産設計」的な投資手法です。身近な例から投資に興味を持ってもらおうということで、ケーススタディとしてマクドナルドとモスフードサービスの比較をディスカッションしてもらいましたが、銘柄を選択するには勉強して実力をつけないとうまくいかないということは強調して説明しました。
●2005年は日本株投資の年
イボットソン・アソシエイツ・ジャパンのマネージング・パートナーの小松原さんによれば昨年1年のアセットクラスのリターンは次のようになっています。
日本株式インデックス(30%) 45.2%
日本債券インデックス(10%) 0.8%
外国株式インデックス(20%) 24.7%
外国債券インデックス(20%) 10.1%
流動性資産(20%) 0.001%
※( )内の%表示は「標準的なアセットアロケーション」で提案している配分比率
またこの間米国ドルは円に対して15.2%のドル高円安になっています。つまり昨年1年で考えれば、日本株のリターンが一番良かった、そして日本株以外の資産についてもすべてプラスになったということです。
このリターンで「標準的なアセットアロケーション」で運用したら、20.6%になります。個人投資家にとってはかなり良い1年だったということになります(途中で早く売却してしまったら話は別かもしれませんが・・・)。
●株価は永遠に上昇しない
では2006年はどうなるのでしょうか。専門家の間でも日本の株式市場に強気な見方が増えています。私も個人金融資産はタクティカル(戦術的)に標準的なアセットアロケーションの30%よりは多めに配分したままです。しかし株価が一方向に永遠に上がることはありません。上げ過ぎれば調整があるし、短期の変動はつきものです。
日本株が上昇したからといってリスク、つまり変動率はあまり変わりません。1年で最悪の場合、日本株のリターンはマイナス40%になることは統計的にはありうるということです。とすれば、日本株に強気だからといってすべての資産を日本株に投資してしまうのは危険が大きすぎ、ということです。資産配分をしっかり考えて分散投資によってリスクを取ることが重要になります。
●持たないリスクと持ちすぎるリスク
株式と外貨(為替)というのが、日本の個人投資家の持つ2つの大きなマーケットリスクです。この2つのリスクとどう付き合っていくか、が資産運用の永遠のテーマです。
経済の2極化というのが話題になっていますが、個人的には賃金による格差よりも資産運用による格差が今後さらに広がる可能性があると考えています。お金がたくさんあれば幸せになれるとは限りませんが、お金が無いとできないことがあるのも事実です。株や外貨といったリスク資産を持たないリスクがあることをもっと多くの人に認識して欲しいと思います。
●長期分散投資が基本
投資は才能ではなく誰でもできる技術、つまり成功するかしないかはやる気の問題です。新年という区切りの良いタイミング。今年こそ資産運用を本格的にはじめてはいかがですか?
私自身も拙書「資産設計塾 実践編」で披露した通り分散投資で自分の金融資産を引続き運用していきます。
このコラムも丁度区切りの200回となりました。これからあと何回続けられるかわかりませんが、これからも「資産設計」によろしくお付き合いください。
今回の話のまとめ---------
●2005年は投資していれば高いリターンが実現できた
●日本株に強気であっても集中投資はリスクが高すぎる
●こんな相場のときこそ長期分散投資の基本に忠実に投資を続けよう
ではまた来週・・・。
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