貸株サービス 使う理由、使わない理由

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

貸株サービス 使う理由、使わない理由

マネックスメールをしっかり読んで勉強しているような「賢明な個人投資家」であっても「貸株サービス」と言われてピンと来る人は少ないかもしれません。名前くらいは聞いたことあるけど何だかよくわからないサービスだな、というのが多くの人の感想ではないでしょうか。

 貸株サービスとは株式を貸株市場で運用して貸株金利を受け取ることができるサービスですが、マネックス証券独自のサービスであることから何だかよくわからない、手続きが面倒なのではないか、と理解されていないのが現状です。
 「資産設計塾 実践編」(188ページ)でも紹介していますが私は自分の資産運用にこの貸株サービスを積極的に活用しています。ただはじめる前にリスクを認識してから活用するかの判断をすべきと考えます。

●先にリスク/デメリットを認識しよう
 資産設計の基本は「リターンではなくリスクから考える」ことです。リスクを知っていれば、残りはメリットと考えられるからです。最悪の事態に何が起こるかは事前にチェックするのが鉄則です。では貸株サービスには果たしてどんなリスク/デメリットがあるのでしょうか。

まず株主としての権利に関するリスクです。

 貸株サービスを利用すると、貸出した株券の所有権はマネックス証券に移転します。つまり権利確定日(決算日等)を越えると株主優待、議決権などの権利を失うのです。株主優待が目的の場合、もらい損ねないよう株主優待対象銘柄を権利確定日の前だけ貸株対象から外す、あるいはそのような銘柄は貸株サービスの対象外にする、といった対応をしなければなりません。

 また配当金も受け取る事はできません。ただしこれは配当金相当額として配当金相当額がマネックス証券から支払われます。例えば1,000円の配当があった場合、配当金は10%源泉徴収されて900円となりますが、貸株サービス利用の場合、配当がもらえない代わりに貸株金利に900円が配当金相当額として追加されることになります。ただしこれは雑所得です。

 もう1つのリスクはマネックス証券の信用リスクです。貸株サービスを利用するとマネックス証券の信用リスクを負うことになります。例えば貸株サービスを利用中にマネックス証券が倒産した場合には、投資者保護基金による保護対象にはならず、一般債権者になります。

貸株サービスの注意事項を詳しく知りたい場合はこちら
http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G1900/lend/caution.htm

 逆に貸株サービスのメリットについてもマネックス証券のホームページで確認しておきましょう。売買に制限が無く、申込むだけで株式に貸株金利がつくという利便性は意外に知られていないものです。
http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G1900/lend/index.htm

●使うべきか使わないべきかの意思決定プロセス
 貸株サービスを使うべきか使わないべきか?判断するための意思決定は次のような3段階に分けて考えれば良いのではないでしょうか。

<プロセス1> 信用口座を持っているか?
信用口座を開設している人は貸株サービスを残念ながら利用できません。持っていない人だけがプロセス2に進みます。

<プロセス2> リスク/デメリットを認識しているか?
今回説明したようなリスクをしっかり認識することが必要です。メリットばかりを聞いて後から「こんなはずでは・・・」と思わないためにもまず詳細をしっかり理解することが大切です。リスクについて納得できるならプロセス3です。
<プロセス3> メリットがリスク/デメリットより大きいか?
プロセス2で確認したデメリットより貸株金利を受け取るメリットが大きいと判断できるか、が最終ポイントです。

 3つのプロセスをクリアできたら、活用すれば良いのです。納得できなければ無理に使う必要はありません。

●申込方法
 申込には郵送の手続きが必要です。申込書類に必要事項を記入の上郵送すると手続き完了後にサービスが開始します。
http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G1900/lend/order.htm

 なお貸株サービス登録完了後、すべての株式が自動的に貸出されますので貸出対象銘柄を確認することを忘れないようにしましょう。貸株金利は毎月まとめて翌月の10日に自動振込み貸株サービスの金利はログイン後のアセットレビューの貸株通帳で確認できます。株式が金利を産むのは何だか不思議な気もしますが、毎月の受取金額を見るのは楽しいもの。
http://www.monex.co.jp/visitor/shohin/kashikabu/index.html

 貸株サービスは何となくやったことが無いという人が多いのですが、食わず嫌いになる前に使う理由、使わない理由をクリアにしておきましょう。

今回の話のまとめ---------
●有名なサービスが良いサービスとは限らない
●新たにはじめる商品・サービスはリスクから考える
●デメリットとメリットを比較して最終判断する

ではまた来週・・・。

マネックスからのご留意事項

「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

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