2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
本コラムの2005年3月18日に「自分のお金ではじめた」株式投資について書きました。その後の運用状況について報告してみたいと思います。
2005年3月18日のバックナンバーはこちら
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/005744.html
当初3週間足らずの運用で同じ時期のTOPIX上昇率を11%以上も上回る上々の滑り出しでした。その後3銘柄を売却していますが、大半は保有したままです。現状はどのようになっているでしょうか。
●株式投資は最後にやる投資
そんな1年後の投資結果について話をする前にこれから資産運用をはじめようという人に申し上げたいことがあります。それは「株式投資は最後にやる投資」であるということです。
投資の初心者が最初に陥るワナがこの「投資=株式投資」と思い込んでしまうというものです。そして個別銘柄を選択するのに好きな銘柄、知っている銘柄から入ってしまう失敗です。
好きな銘柄、知っている銘柄に投資をしなさいとアドバイスする「マネー専門家」もいますがそれで実績が上がるほど株式投資は甘いものではありません。銘柄選択投資が成功したかはインデックスを上回ったかどうかで判断できます。例えば昨年1年間自分で銘柄選択して株式運用した人はインデックスであるTOPIXの上昇率約45%よりも高いリターンを実現できなければ成功したとは言えません。インデックスファンドを買った方が高いリターンになるからです。
果たしてどの位の人が成功したと言えるのでしょうか。
●アセットアロケーションが基本
資産運用においては銘柄選択をいきなりはじめるよりもまずはアセットアロケーションに力を入れるべきです。私自身も個人金融資産の約3割を日本株式に配分しています。そしてそのうちの大半は自分で選択した現物株式に投資をしています。
つまり
アセットアロケーション → 銘柄選択 → 投資タイミングという順番で意思決定をしているのです。最初から銘柄選択、投資タイミングを考える方法ではなく、資産設計の基本に忠実な方法です。
しかし多くの個人投資家は銘柄選択と投資タイミングだけに時間を割いています。このような方法ではどうしても株式に対するリスクを取りすぎることになり、長期的なリターンに結びつけるのが難しくなります。
●人のやらないことをやる
では銘柄選択の話を進めましょう。私が現物株式で投資している日本株は知らない、無名、地味な会社がほとんどです。具体的な銘柄はこのコラムには書けませんが1年前の3月1日に購入した11銘柄(拙書「資産設計塾 実践編」参照)については割安感の薄れたと判断したものは売却し現状8銘柄を保有しています。これは独立系の投資顧問会社バリューサーチ投資顧問の松野社長が開発した分析手法を応用した方法です。
バリューサーチ投資顧問
http://www.value-search.co.jp
直近までの11銘柄のリターンは平均で57.6%です。これは同期間のTOPIXのリターン38.8%を約20%上回る数字です。実際には現在の価格以上で既に売却している銘柄が3つありますので、25%近いリターンの差になりました。
結果が出ているからといって、この方法が絶対に成功するという保証はありません。このような投資手法以外にも様々な銘柄選択法があります。ここで申し上げたいことは人がやらない方法でなければ人より優れたリターンは実現できないということです。
皆がやっている方法を真似しても、その方法で発掘された銘柄は既に他の人が買ってしまっています。皆がやるから、最近流行っているから、という理由で投資しても成功しない理由がおわかりいただけると思います。
もし自分の銘柄選択手法が確立していないのであれば無理に銘柄選択をする必要はありません。まずはアセットアロケーションをしっかりと行うだけで十分です。自分で銘柄を選ぶアクティブ運用の難しさを理解した上で、自分の独自の方法でリターンをあげられる自信がついたら個別銘柄選択をはじめれば良いのです。
今回の話のまとめ---------
●株式投資は最後にやる投資
●アセットアロケーションが運用の基本
●皆がやっていることを真似しても投資は成功しない
ではまた来週・・・。
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