日本株ファンドの選び方

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

日本株ファンドの選び方

株式市場で運用する方法には3つあるということは繰り返し書いてきました。市場連動にするインデックス運用、自分で銘柄を選ぶアクティブ運用、そしてファンドマネージャーに運用してもらうアクティブ運用です。この3つを市場の効率性と自分の銘柄選択能力を考えて使い分けるのが合理的な投資判断ということになります。

 その中で3つ目のファンドマネージャーに運用してもらうアクティブ運用とは投資信託を活用するということです。銘柄はファンドマネージャーが選択してくれる訳ですが、個人投資家はファンドマネージャーを選択する必要が出てきます。3000本以上あると言われる投資信託をどうやって選択すれば良いか?これは奥の深い話です。

●投資信託は選ぶのが難しい

 拙書「資産設計塾」では投資信託の選定基準として、哲学・実績・手数料という3つの条件を挙げています(75ページ)。哲学とは一貫した運用の方針があること、手数料とは販売手数料と信託報酬の水準です。実績とは過去のパフォーマンスですがどの期間で数字を取るかによって結果が大きく変わります。あまり短期間でリターンを比較しても意味がありません。また市場平均(インデックス)などのベンチマーク(基準)との相対値で見るのも原則です。日本株のファンドが30%上昇してもTOPIXが同じ時期に40%上昇していたらパフォーマンスとしてはあまり芳しくないということになるからです。

 日経新聞の3月5日に「国内株投信選択のポイントは?」という記事が掲載されていました。2000年2月以前から運用している、つまり運用期間が6年以上あって残高が200億円以上あるファンド27本をランキングしたものです。

●27本のうち9本 
 6年間のTOPIXのリターンはマイナス3.4%。この市場平均値を上回ったファンドは次の9本だけでした。リターンに大きなバラツキがあります。

アクティブバリューオープン 130.7%
さわかみファンド 91.5%
ダイワ・バリュー株・オープン 71.6%
大和住銀日本バリュー株ファンド 46.8%
IBJITMジャパン・セレクション 42.6%
ノムラ・ジャパン・バリュー・オープン 29.6%
メリルリンチ・アクティブ・ジャパン 15.2%
利益還元成長株オープン 4.0%
スーパートレンドオープン 1.0%

●バリュー投資が強い

 大きく分けて前半が下落局面、後半が上昇局面。3年単位で分けて分析すると面白い結果が見えてきます。上位ファンドは特に突出したリターンですが、上位4本のファンドはすべてバリュー株ファンドです。また5位のIBJITMジャパン・セレクションは坪田ファンドマネージャーが割安株と成長株の投資タイミングを考えるというマルチタイプの運用です。

 グロース(成長)型のファンドは後半の3年はTOPIXを上回るリターンのものも増えていますが、前半3年ではTOPIXの下落率(▼53.7%)を下回るリターンのものが多くなっています。一般にグロース型のファンドは下落局面に弱いという傾向が出ていると言えます。

 ちなみベストの9本の中でマネックス証券が販売しているのは
IBJITMジャパン・セレクション
メリルリンチ・アクティブ・ジャパン
利益還元成長株オープン
の3本です。

さらにマネックス証券では3月31日(金)より大和投信のダイワ・バリュー株・オープン(愛称「底力」)を販売開始の予定です。
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new/news6037.htm
これで9本のうち4本がカバーされることになります。

●さわかみファンド

 さて投資信託の品揃えに関して書くと必ず話題になるのがさわかみファンドです。マネックス証券のお客様が取扱いを強く希望しているという声は澤上社長にしっかり届いています。と言うのはマネックス証券にいた6年前から何度も足を運びお願いを続けているからです。

 そんな時の澤上さんの答え決まっています。「マネックスで売るのもいいよー。でもその代わり他のファンドは販売やめようね。だって本当に良いファンドが1本あれば他はいらないじゃない。」といつもの澤上節です。

 ファンドマネージャーのリスク分散が必要というマネックスの主張は澤上さんにはまだ受け入れられていただけないようです。

 投資信託の選択は本当に難しいものがあります。ファンドもバリューファンドだけではなく小型株、グロース株、インデックスと様々なものに分散させることが投信活用のキモだと思っています。そしてもちろん3つの選択基準を常に意識していくことが前提です。

今回の話のまとめ---------
●投資信託はプロに任せる運用を実現できる商品
●哲学・実績・手数料で選択することになるが現実には難しい
●投資信託も複数銘柄に投資し運用手法・対象を分散させることが重要

ではまた来週・・・。

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