BRICsファンドの使い分け

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

BRICsファンドの使い分け

4月6日の夜、青山にあるブラジルレストランコパ東京でHSBCブラジルオープンのセミナーが開催されました。
http://www.monexuniv.co.jp/2006/04/hsbc_brazilian_night.html

 手前味噌になりますが、このセミナーはマネックス・ユニバーシティが企画・運営を行いました。マーケティング部の土屋がアイディアを出し料理からバンドの手配まで準備を担当。シュラスコ料理、HSBC投信の早高さんによる講義、そしてnaomi&goro with 中島伸行によるボサノヴァの生演奏と楽しく投資を学べるイベントになりました。

●ブラジルの可能性
 セミナーでの説明でブラジルの実像が見えてきました。HSBC投信によれば、ブラジルはBRICsの一角として将来性の高い国の1つです。成長のカギとなる広大な市場を持っているからです。例えば世界のGDP上位15位以上の国々で人口が1億人以上、国土が250万平方キロメートル以上になっているのはブラジル、ロシア、インド、中国と米国だけです。21世紀はBRICsとアメリカが世界の中心になる可能性があるのです。

 ブラジルはかつてはインフレの国というイメージがありましたが、1999年のブラジル通貨危機から回復し、経済は急速に健全化しています。海外からの信認も増し、ブラジルの通貨レアルもここ数年上昇しています。

 そしてブラジル株式市場も魅力的な投資対象に見えます。PERが低く配当利回りが比較的高いからです。単純に比べることはできませんが、PERは平均10倍前後、配当利回りは5%台と他のBRICs諸国と比べても突出しています。

      PER     配当利回り
ブラジル  10.5倍    5.3%
ロシア    9.3倍    1.0%
インド   23.8倍    1.1%
中国    14.3倍    1.6%
(2006年3月末時点)

●BRICsオープンとの使い分け
 BRICs諸国へファンドを使って投資をしている方から良く聞かれるのは「BRICsオープン」と「ブラジルオープン」などの各国のファンドのどちらに投資したら良いのか、という質問です。

 BRICsオープンは絶対リターンの追求が投資の目標です。例えばBRICsすべての国に短期的に消極的な投資スタンスの場合、現金の比率を増やせるようになっています。運用ルールでは最大投資比率が50%まで下げられます。また投資する国も2ヶ国まで減らせるようになっています。つまり極端な例ではファンドの50%を現金、25%が中国、25%がロシアといった配分も可能なのです。

 一方の中国、インド、ブラジル、の各ファンドは資金をほぼ100%それぞれの株式市場に投資します(これをフルインベストメントと言います)。市場全体に投資妙味がないと判断してもその中で銘柄選択を行い相対的なリターンの向上を目指すのです。そして目標はそれぞれの市場のインデックスに対する相対的なリターンです。

 ファンドの運用目標と投資制限については不安な人は目論見書で復習しておきましょう。

●BRICsオープンの現状
 BRICsオープンのファンドの運用レポートは毎週更新されていますが、これを見るとHSBCグループのBRICs4ヶ国に対する見方を推測することができます。http://www.monex.co.jp/pdf/fund2/M664.pdf
(PDF形式)

 この中のHSBC GIF BRICフリースタイルの国別投資割合を見るとキャッシュが15.1%と比較的高く、国別の配分では中国、ロシアが高く、ブラジル、インドについては低くなっています。

 2月末のデータなので現状の見通しとは一致しないかもしれませんが、HSBCはBRICs全体に関してやや警戒的(キャッシュが多い)、国別では中国とロシアを相対的に魅力的(配分比率が高い)と考えていることがわかります。

●自分で配分するか、HSBCにやってもらうのか
 残念ながらまだロシア単独のファンドはありませんが、それ以外の3カ国はそれぞれのファンドを自分で配分比率を決めて売買することは可能です。つまりBRICsオープンへの投資は投資先の銘柄選択だけではなく4ヶ国への配分比率までHSBCに任せるということ。それぞれの国別のファンドを買うのは銘柄選択はHSBCにお願いして、配分比率は自分で決めるということになります。

 注意しなければならないのはBRICsオープンはもし100万円投資していても極端なケースでは50万円は現金になっている可能性もあるファンドだということです。国別のファンドなら常に原則フルインベストメントですからファンド保有金額イコール投資金額になります。

 どちらの運用方法にも一長一短があります。最終的には自分の投資の目的に応じて使い分けをすべきです。

今回の話のまとめ---------
●BRICs諸国には将来の大きな可能性がある
●ブラジル株式の魅力は低い株価収益率と高い配当利回りにある
●BRICs投資は投資の目的によってファンドの使い分けをしよう

ではまた来週・・・。

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