リターンだけではなくリスクも考える

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

リターンだけではなくリスクも考える

 先週末の4月16日に東京の赤坂プリンスホテルでマネックス資産運用フェアが開催されました。予想を上回る2000人以上の方にご来場いただき資産運用の様々なコンテンツを紹介することができました。
 今回のテーマは投資信託と債券。

債券は世界銀行のブースで「マネオク」の説明を行いました。
マネオクのくわしい説明はこちら。
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new/news6044.htm
 また投資信託は下記運用会社7社がブースを出展しました。

HSBC投信
フィデリティ投信
日興アセットマネジメント
JPモルガン・アセット・マネジメント
T&Dアセットマネジメント
DIAM(興銀第一ライフ・アセット・マネジメント)
第一勧業アセットマネジメント

熱気あふれる会場の写真はこちらでご覧いただけます。
http://www.monexuniv.co.jp/2006/04/post_26.html

 投資信託の選び方は3つのポイント、すなわち哲学、実績、手数料を考えるのが鉄則ですが、今回のファアはそれぞれの会社の運用哲学を直接運用会社の担当者から聞くことができる貴重な機会であったと思います。

●実績は騰落率だけではわからない
 ところで投信選択3つのポイントのうちの2つめの「実績」に関しては誤解があるようです。過去の騰落率、つまりリターンだけに注目するケースが多いのです。例えば昨日(4月20日)の日経新聞に投信ランキング2006という記事が掲載されていますが日本株で残高100億円以上のファンドの1年間の上昇率で順位を付けています。

 国内株中心の投信上昇率ランキングということで105.9%の上昇を実現したファンドがランキングの1位に入っていますが、これがベストのファンドと判断することにはどうも違和感を感じます。

●同じグループで比較しないとわからない
 ファンド同士を比較する場合、同じ土俵で競争しているファンドを比較しないと意味がありません。例えば日本株のファンドとグローバルな株式ファンドを比較しても、国語と算数の点数を比較するようなものであまり意味がないのです。

 また日本株のファンドといってもまた運用する対象が分かれます。同じ日本株であってもバリュー、グロース、中小型株といったカテゴリーによってその実績は変わります。日本株の中でもグループ分けしてその中での相対的な比較をした方が精緻な比較ということができます。

 さらにファンドのサイズの問題もあります。純資産残高(運用している資産金額)が10億円以下になっている場合、償還されるリスクがありますから避けた方が無難です。しかし日経新聞の記事では最低残高を100億円としており、例えば80億円のファンドは最初から対象外になってしまっています。

●シャープレシオが合理的
 騰落率というリターンだけではなく、リスクも考慮した評価としてはシャープレシオを使うのがプロの世界では一般的です。

 リスクとはリターンのブレのこと。例えば確実に5%のリターンが得られるファンドと10%と0%で半々の可能性があるファンドでは期待リターンは同じですが後者の方がブレが大きくリスクが高くなります。

 シャープレシオとは過去のリターン(正確にはリターンから無リスクリターンを引いたもの)をリスク(標準偏差を使います)で割ることによって同じリスクに対してどのくらいリターンがあったかの比率を計算します。

 この方法ならリスクを抑えながらリターンを効率的に実現できたファンドが大きな数字になります。ハイリスクハイリターン型の商品が上位に並んでしまうという事態を防止できるのです。

 例えばモーニングスターのWebでは個別のファンドのシャープレシオを調べることができます。シャープレシオを見ればリスクを効率的に取っているかどうかがわかります。
http://www.morningstar.co.jp/index.asp

●シャープレシオも完璧なものではない
 シャープレシオが合理的といってもこれはあくまで過去の実績に基づく評価です。相場環境が変われば将来はわからないのも事実です。例えば最初に出てきた日経新聞で1位にランキングされたファンドも実は基準価額が2,962円まで7割近く下がったこともあるファンドです。騰落率で比較するとどの期間を使うかのタイミングで評価が大きく変わるのと同様、シャープレシオも期間の取り方によって大きく異なる数値になります。

 とは言え、投資信託の評価はリターンだけではなくリスクも考えるべきでありファンド購入の前にチェックしておく重要な指標の1つです。

今回の話のまとめ---------
●投資信託の実績は騰落率だけではわからない
●違う運用対象の投資信託を比較しても意味がない
●シャープレシオでリスクを勘案したリターンを調べよう

ではまた来週・・・。

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