2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
最近商品の値上げに関するニュースが目につきます。ティッシュペーパーやトイレットペーパーの卸売価格を7月から25%以上値上げすると発表した製紙会社があれば、外食チェーンも低価格戦略から値上げして付加価値の高い商品に移行させるケースが多くなりました。
このようなトレンドが続き、緩やかなインフレになってくると、それに対応してこれから購入するものを値上がりする前に押さえておくことが必要になります。
例えばマイホームを持っていないのに不動産価格が値上りしそうなら、居住用不動産の組み入れられたREITを購入するという方法があります。
あるいは将来外貨でお金を使うときに円安になっていたら困るのであれば外貨資産を今のうちから保有しておけば安心です。
しかしトイレットペーパーが値上がりするからといって1年分買っておいても置き場所がありません。別の方法を考える必要があります。
●商品市場への投資のメリット
原油高による生産コスト上昇が紙の値段に影響している訳ですから、原油や農作物といった商品市場に投資をしておけばよいことになります。米国のデータでは商品市場はインフレと相関が高いことがわかっています。商品指数にインフレがある程度連動するのであれば、そのような指数を買っておけばインフレヘッジに有効だということになります。
また商品指数に投資をしておくともう一つのメリットがあります。それは商品は株・債券との相関が低く、資産の分散効果を得ることができるのです。
●投資信託で商品指数に連動した投資効果を狙う
マネックス証券で6月1日から販売するニッセイコモディティファンドはニッセイアセットマネジメントが運用する商品インデックス連動ファンドです。http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new/news6057.htm
商品のインデックス指数としてはGSCI指数とDJ-AIG商品指数が有名ですが、このファンドで採用されたのはGSCI指数のエネルギーの比率を減らしたGSCILight指数というものです。
24の銘柄から構成されていますが、2006年3月末現在、エネルギーが約40%、農産物が約25%、畜産物が約10%、そして非鉄金属と貴金属で25%弱となっています。DJ-AIG指数と比べるとエネルギーの比率が高く、農産物の比率が低くなっています。原油や金、小麦といった商品全般の先物市場の動きが指数に反映されるようになるのです。
そしてこのファンドが連動するGSCI Light指数には金利が含まれています。商品先物市場で運用をする場合、保証金を入れて売買を行うことになります。例えば100のポジションを取るのに必要な保証金はその10分の1の10程度で済みます。したがって残りの90は余った資金として短期金融市場で運用することができます。ドルの短期金利は4%以上ありますから、90%が運用資金として使われると3%以上の金利を稼ぐことができるのです。
指数のリターンはこの運用益も含めて計算されますから、例え商品の商品価格が動かなくてもインデックスは上昇することがありうるということです(投資信託のコストが差し引かれますから上昇幅は小さくなります。また金利や価格の動きによってはリターンにプラスにならない場合もあります。)。
このファンドは最終的には外貨建ての有価証券に投資することになりますから為替変動リスクを伴います。円高局面ではファンドの資産価値が大きく減少する可能性があることには注意してください。
●アセットアロケーションではその他の資産
拙書「資産設計塾 実践編」では資産を6つに分類していますが、商品(コモディティ)は6つのアセットクラスの中でその他の資産に入ります。これは不動産やオルタナティブ投資などと同じように債券や株式とは異なる資産であるという意味です。商品への投資についても不動産やオルタナティブ投資同様、全資産の最大で10%程度までの組み入れが目安になります。
商品(コモディティ)やニッセイコモディティファンドに興味のある人はファンドの勉強会に参加してみましょう。さらに詳しい説明を聞くことができます。http://www2.monex.co.jp/lounge/benkyo/commodityfund.html
今回の話のまとめ---------
●値上がりしたら困るものは先に買っておく
●商品(コモディティ)に投資するとインフレにある程度対応できる
●コモディティへの投資は資産の10%まで、が目安
ではまた来週・・・。
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