2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
今年、分散投資を実践していたら・・・
マネックス・ユニバーシティのホームページ
http://www.monexuniv.co.jp
でお知らせした通り、日経CNBCの番組に本日出演しました。TOKYOマーケットExpress「投資の極意を学べ!!夏期集中講座!」という番組です。
http://www.nikkei-cnbc.co.jp/program/marketex/guest.asp
毎日のマーケットの最新情報を提供する番組ですが、今週は投資に対する中長期の手法について特集を組んでいます。いつものように資産設計について、アンカーマンの直居さんとお話させていただきました。
昨年の日本株式は40%以上の上昇となりました。多くの個人投資家が株式市場に参入しましたが、その後の相場は必ずしも好調とは言えない状況です。年初からまだ8ヶ月足らずですが、市場の動きを見ていると投資対象によってリターンに大きな差が出ていることがわかります。番組の中で紹介したデータで説明しましょう。
●昨年末を100とすると・・・
インデックスで比較してみます。インデックスとは例えば日本株ならTOPIX、外国株式ならMSCIコクサイといった市場全体の動きを大まかに示している指数です。昨年末を100として数値化してみるとそれぞれのアセットクラス(日本株、外国株といった各カテゴリー)の8月中旬まで直近のリターンは概算でこうなります。
日本株式インデックス 約5%の下落で95
日本債券インデックス 約2%の下落で98
外国株式インデックス 約6%の上昇で106
外国債券インデックス 約4%の上昇で104
流動性資産はほぼ変わらず
では昨年(2005年)1年間のデータと比較するとどうでしょうか。以前このコラムでイボットソン・アソシエイツ・ジャパンのマネージング・パートナーの小松原さんが作成したデータを紹介しました。昨年1年のリターンはそれぞれ次のようになっていました。
日本株式インデックス 45.2%の上昇で145
日本債券インデックス 0.8%の上昇で101
外国株式インデックス 24.7%の上昇で124
外国債券インデックス 10.1%の上昇で100
流動性資産 0.001%でほぼ変わらず
バックナンバーはこちら
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/006568.html
市場環境が1年で大きく変わっていることがわかります。特に日本株の動きは昨年とは様変わりです。
●新興市場株式はかなりの苦戦
日本株に関してはさらに新興市場の動きが全体と大きく異なっているのが今年の特徴です。同じインデックスであってもTOPIXに比べさらに厳しい結果になっています。
例えば日経ジャスダック平均で見ると、2005年末を100とすると先月中旬には2割以上下落し、80を割り込みました。平均で2割ですから個別銘柄になるとさらに厳しい状況が予想されます。また同じ新興市場指数であるマザーズインデックスはジャスダックよりも下落率が大きくなっています。こちらも7月中旬に年初来安値になりましたが6割近い下落です。昨年末の100万円が40万円になってしまったということです。
●「標準的なアセットアロケーション」なら・・・
ではこのような市場環境で「標準的なアセットアロケーション」による運用を行っていたらどうなるでしょうか。
「標準的なアセットアロケーション」とは、分散投資の基本形として拙書「資産設計塾」で提案している次のような資産配分です。
日本株式インデックス 30%
日本債券インデックス 10%
外国株式インデックス 20%
外国債券インデックス 20%
流動性資産 20%
この資産配分で2005年のインデックスデータで計算するとプラス20.6%になりました。
一方昨年末から直近までのデータで計算すると、2005年より大きくリターンは悪化します。しかし苦戦はしているものの約1%の上昇となり、プラスのリターンが確保できています。また最もマイナスが大きくなった6月でもマイナス3%以内に損失を抑えることができました。
データはインデックスの数字であり、取引コストや手数料などを考慮する必要がありますが、分散投資による運用の安定は大きな魅力です(テレビで使用したグラフでお見せできないのが残念です)。
●「標準的なアセットアロケーション」2つのメリット
このように相場変動の影響を抑えられる分散投資は精神的に安定し、ストレスがたまらないというメリットがあります。自分の資産が大きく目減りするのは誰でも嫌なもの。ブレが小さいのは精神的に楽です。
そして分散投資のもう一つのメリットは手間がかからないこと。銘柄選択やチャート分析といった手間とコストをかける必要がありません。分散投資を始めたら3ヶ月に1回のモニタリングと年に1回のリバランスだけでも大丈夫です。
ドキドキしないで手間がかからない。その結果として長期で続けることができる訳です。
●高値で買って安値で売らないために
日本株式も日経平均が16000円台に乗せて、落ち着きを取り戻してきたようです。こうなるとまた日本株への集中投資をはじめる人が増えてきます。そんなときこそリスクの取りすぎによる失敗を繰り返さないために、自分の資産全体の運用戦略を見直してみてはどうでしょうか。
今回の話のまとめ---------
●上昇相場は永遠には続かない
●どのアセットクラスが魅力的なのか事前に知るのは困難
●分散投資なら精神的に安定した手間のかからない長期運用が可能
ではまた来週・・・。
※2006年のデータは概算数字です。
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