2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
銘柄選びでやってはいけないこと
先週末8月20日の日経新聞資産運用面に個人投資家の調査結果が掲載されていました。例えば来年の3月までの日経平均の見通しは高値が17,000円〜18,000円、安値は14,000円以上が最も多いという結果です。7月中旬の調整時の水準と4月につけた年初来高値の水準のボックス圏での動きが当面続くと見る個人投資家が多いということがわかります。
そして今後保有したい、または買い足したい銘柄もランキングされています。集計結果は次のようになりました。
<人気銘柄ランキングベスト10>
1.トヨタ自動車(1)
2.キヤノン(7)
3.ソフトバンク(38)
4.ホンダ(8)
5.ソニー(12)
6.三菱UFJフィナンシャル・グループ(2)
7.東芝(34)
8.武田薬品(9)
9.日産自動車(11)
10.三菱商事(17)
名称の最後の( )内の数字は時価総額のランキングです。今後保有したい人気銘柄は実は時価総額の大きな有名な会社ばかりであることがわかります。
●マネー誌で取り上げた銘柄に投資をすると・・・
一方プレジデント(2006.9.4.号)ではマネー誌の取り上げた銘柄の値動きについて検証をしています(45ページ)。「日経マネー」「マネージャパン」「ダイヤモンドザイ」の3誌の4月発売号で推奨している個別の銘柄について均等額で投資をしたと仮定した場合のリターンをTOPIXと比較しています。
短期のしかも1回限りの結果ですから数字を鵜呑みにはできませんが、大型株が中心の「日経マネー」が最も良い結果ではありましたが、3ヶ月後の数字は3誌ともTOPIXを下回る結果になっています。
●人と同じは安心?
6月のこのコラムで市場平均を上回るために必要なのは「ジャック天野」だと書きました。世間の常識の逆を行く天邪鬼でなければ市場平均を上回るアルファを得ることはできないということです。
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/006950.html
とすれば次のような方法は銘柄選びでやってはいけないことになります。 ・有名な銘柄に投資する
・人の言うなりに投資する
・応援したい会社に投資する
なぜなら結果として他の投資家と同じことをしていることになってしまうからです。有名な会社は機関投資家のようなたくさんのプロが分析しています。その会社に関する情報は価格に織り込まれ、株価はほぼ適正な水準です。人の言うなりに投資をすると、遅れた情報を元に投資をすることになってしまいます。また応援したい会社は他の投資家も応援したい人気の銘柄です。と言うことは既に買われてしまった割高な銘柄になっている可能性があります。
●バリュー株投資は逆バリ投資の1つ
私自身、個人金融資産の運用は「標準的なアセットアロケーション」を基本に分散投資しています。そして約30%を配分している日本株のほとんどは個別銘柄を自分で選んで投資しています。いわゆるバリュー投資を実践し、業種を分散させた複数の銘柄を中長期で保有する方法を続けています。
銘柄選択方法は拙書「資産設計塾」(P.214)でくわしく解説していますが、マネックスの勉強会でも好評だったバリューサーチ投資顧問の考え方を参考にしています。
バリューサーチ投資顧問
http://www.value-search.co.jp/
分析してみると割安と判断される銘柄にはジャスダック市場などに上場するいわゆる新興市場銘柄が多く含まれます。名前を聞いたことが無いような無名の会社が多いのが特徴です。日経新聞の調査結果に出てきた有名銘柄とは対極の結果です。
何らかの理由で売られすぎた結果、企業本来の価値よりも株価が低くなっている銘柄に投資すれば、将来株価が本来の価値に近づく時にリターンを得られます。株式の銘柄選択で大切なのは「良い会社」を選ぶことではなく「値上りする会社」を選択することなのです。それは誰もが知っている会社よりあまり知られていない会社であることが多いのです。
人の話や雑誌や新聞からの情報を鵜呑みにして銘柄選択しても恐らくうまくいきません。なぜなら投資とは人の後をついていくのではなく人の半歩先を歩かないと成功しないからです。
だから自分なりの独自の投資方法が確立できないのに何となく銘柄を選んで投資をするのはやってはいけないことなのです。
今回の話のまとめ---------
●投資とは差異の中に価値を見つけ出す作業
●投資で成功するには人の半歩先を歩くのが重要
●自分なりの投資手法が確立しないのに銘柄選択しても成功しない
ではまた来週・・・。
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