今回の調整局面から何を学ぶか

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

今回の調整局面から何を学ぶか

 グローバルにマーケットが大きく変動しています。株価は各国で大きく調整し、為替は円高方向に振れました。これまでもこのような急速な市場の調整は繰り返されてきましたが、今回は中国やインドの株式市場の下落がきっかけで不安心理が世界に波及したという点が今までとは異なります。BRICs諸国の金融市場における存在が大きくなってきたということです。

■予想できないマーケットのタイミング
 そもそも市場経済は永遠に上昇したりすることはありません。市場の変動が大きくなって投資家が痛手を被ることは数年に1回繰り返されているのです。もしそのような変動が事前に予見できるのであればその時に対応すれば良いのでしょうが、危険性は指摘できても残念ながら時期を特定することはできないのです。

 これは地震と同じように考えるべきことでしょう。つまりいつ地震が来るかを予想するよりも、いつ来ても大丈夫なように対策をしっかりしておく方が現実的です。それにはやはり資産を分散しておくしか無いのです。

 もちろん資産を分散していてもダメージをゼロにすることはできません。しかし、1つの資産に集中して投資をしている場合に比べれば、市場の変動に冷静に対応できるのです。

 標準的なアセットアロケーションを目標に自分の資産も分散投資していますが、今回の調整局面では私自身のポートフォリオも3%程度のマイナスになりました。円高と株安が同時に発生したためいつもの調整に比べるとやや大きな動きですが、資産はそのまま何もしないで運用を続けています。

■環境が変わったわけではない
 先週と今週で世界経済に大きな変化があったのか、と言えば変化はありません。環境が変わったのではなく市場参加者のセンチメントが強気から弱気に傾いただけです。しばらくは不安定なマーケットが続くでしょうが、ポジション縮小の動きが落ち着けば再び世界経済の現状を反映したマーケットが戻ってくると思っています。

 ブラックマンデー、9.11、といった短期的な相場の調整があったときを振り返って見ると、悲観の極であったときが実は投資のタイミングとしてはベストであったということです。世の中が悲観的になっているときは過剰に売られているわけであり、いわばバーゲンセールになっている状態だということです。バーゲンがいつまで続きどこまで安くなるのかはわかりませんが、少なくともマーケットが熱狂しているときよりはお得な買い物ができるのです。人の言うとおりではなく人とは違う行動を勇気を持って行わないとそんなご褒美はもらえません。

 そう言えば昨年の6月にも日本株が調整しているときこんなコラムを書きました。歴史は繰り返しているのです。参考にしてください。

日本株の調整局面から学ぶこと
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/006933.html

■バーゲンセールよりも大切な方法
 といっても私自身はそんなバーゲンセールに参加しようとは思っていません。今まで通りのアセットアロケーションで資産運用を淡々と続けていくのが長期的には一番良い結果をもたらすと思っているからです。

 そしてバーゲンセールに参加しないもう1つの理由は資産運用にできるだけ時間をかけたくないということもあります。マーケットのタイミングをあれこれ調べるのは時間がかかるのです。そんな時間があったら、仕事やプライベートに時間を割きたいと思ってしまいます。

 資産運用は年に4回のモニタリングと年に1回のリバランスが基本。それ以外は株式のスクリーニング銘柄の確認だけでもう充分なのです。

 また追加の資金で毎月積立を続けていますが、これを市場の動きに関係なく継続しています。最終的にはドルコスト平均法によって資産を積み上げていくことができるというわけです。

■ピンチはチャンス
 例えばマネックス資産設計ファンドも2月26日の10,418円から昨日の
10,074円まで3%下がりました。こんなに下がっているけど大丈夫なの?と思うか、それともこんなに安く買えるなんてラッキーと見るかは考え方次第です。

マネックス資産設計ファンドの基準価額の推移
https://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kijunlist/guest?MeigCd=++0035020000

 しかし少なくともこれから投資をはじめようという人にとってはまたとないチャンスだと思います。少なくとも先週はじめるよりは、(結果論ですが)今週はじめた方がリターンがマイナスになる可能性は確実に低くなるからです。

■自分の危機管理プランを作成しよう
 今回のような市場の調整はこれからも繰り返されます。資産運用を続けていくのであれば、これを機に自分はどう対応するのか危機管理対策を考えてみることをおすすめします。市場の混乱がはじまってからパニックになってしまうのではなく、起きる前に対策を決めておくのです。過去から学び、学習しなければ資産運用は成功しません。

今回の話のまとめ---------
● マーケットの変動は予想するよりも対策を考えておくことが重要
● 市場のセンチメントが悪化したときが実は投資をはじめるチャンス
● マーケットは最終的には経済の実態を反映した水準に落ち着く

ではまた来週・・・。

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