外貨投資をはじめるべき3つの理由

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

外貨投資をはじめるべき3つの理由

 今週ユーロが対円で160円を超え史上最高値を更新しました。今年の後半にヨーロッパに行こうと思っているのですが、このままだとかなり節約の旅になりそうです。

 実は「資産設計塾 外貨運用編」の制作が佳境に入ってきています。膨大なデータと幅広い投資対象をまとめあげるのに時間がかかり随分予定が遅れましたが、どうやら6月には書店に並ぶことになりそうです(3月完成予定が随分遅れてしまいお待ちいただいている方には申し訳ございません)。

 今回は外貨運用に焦点を当てていますが、ナゼ外貨運用が重要なのかについて書籍のプロローグに書く予定です。出版前ではありますが先に少しだけご紹介したいと思います。日本の個人投資家が外貨運用をすべき3つの理由です。
外貨投資をすべき3つの理由
 1.投資のフロンティアを広げることができる
 2.高成長を続ける新しい市場へ投資ができる
 3.円安リスクの回避

<理由1> 投資のフロンティアを広げることができる
 現代投資理論によるとリスク・リターンの異なる投資対象に資産を分散していくことによって「有効フロンティア」が拡大し、より低いリスクで高いリターンが期待できるような投資が可能になることが数学的に証明されています。
 日本株だけではなく外国株、さらに債券や不動産など多くの資産への投資を組み合わせることで理論的にも投資対象を広げることができます。

 実際に長期で資産運用をしてみると、投資対象を広げて分散投資をしているとリスクをコントロールしていても意外にリターンが実現できる感覚に驚きます。これこそ資産設計が目指す「ストレスのかからない運用」の実現なのです。
※現代投資理論の理論的な説明をわかりやすく知りたい方は「株式投資 長期投 資で成功するための完全ガイド」(ジェレミー・シーゲル著)175ページが参 考になると思います。お奨め書籍リストに入っています。
http://www.monexuniv.co.jp/book/#stock

<理由2> 高成長を続ける新しい市場へ投資ができる
 外貨運用をするということは先進国だけではなくBRICsをはじめとする新興国への投資も含まれます。これらの国への投資はリスクも高く、資金を集中させるのは危険です。しかし一方で10年単位で見た投資の魅力もあると考えられます。経済成長に伴うリスクはありますが、成長率は日本を含む先進諸国よりも高く、高い経済成長がもたらす大きなリターンも期待できます。

 日本株のような国内投資だけではこのような新しい投資対象への投資を行うことは難しいのが実情です。投資先を分散できるというだけではなく、資本主義社会にこれから新しく登場してくる世界にも投資対象が広がるのは大きな魅力です。

<理由3> 円安リスクの回避
 為替がこれから円安なのか円高なのかは残念ながらわかりません。しかし円安と円高でどちらが困るかはわかります。円安は円の価値が下がること。世界的に見て円が他の通貨より価値を下げることですから、日本の個人投資家の円が相対的に目減りすることになるのです。逆に円高になれば円の価値が世界的に評価されることですから日本にある円資産は価値が上がります。

 つまり為替リスクについてはなったら困る円安への対策をしっかり立てておく必要があるのです。円安になっても困らないようにするには資産の一部を外貨で保有するしかありません。

 日本の個人金融資産は約1500兆円と発表されていますが、外貨資産はそのうちのわずか3%程度と推定されます。私は自分の運用資産の40%を外貨で保有することを目標にしていますが、それから比較すると現状の外貨投資はまだまだ少ないのです。

■いつ投資をしたら良いのか
 さてこのような外貨運用をはじめるべき理由が理解できたとして、次に問題になるのはいつから投資をはじめたらよいかという現実的な問題です。最近の円安傾向を見ていると「今更外貨投資をはじめても・・・」という声が聞こえてきそうです。

 確かにここから外貨資産への投資を始めるのは勇気が必要です。逆にそろそろ外貨運用は天井だから円高になるのを待ってから始めた方が良いのでは、と考える気持ちも理解できます。

 しかし為替というのは株式のように理論的な水準が計算できるものではありません。ユーロは対円で現時点では160円台ですが、この水準が適正なのかそれともまだ円安の余地があるのかを説明できる根拠はありません。購買力平価のような計算をしてもその通りになることは残念ながらあまりないのです。

 とすればここは外貨のドルコスト平均法の出番です。投資対象だけではなく時間も分散できる方法であれば長期的な視点で外貨運用を少しずつ始めることができるのです。

ドルコスト平均法 ナンピンとは異なる投資法
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/006968.html

 この水準で外貨運用をはじめるのはちょっと、という方には外貨MMFを使った1万円からの投信積立を始めることをお奨めしたいと思います。少額で始めてみて、これから円高になって自分が本格的に投資しても良いという水準になったらその時にはある程度まとまった金額を追加すれば良いのです。

 ただし円高になると怖くなって手が出ないのでやめてしまうという行動心理的な障害を乗り越えられることが前提です。多くの個人投資家はせっかく割安に買うことができる「バーゲンセール」になると投資をやめてしまう傾向にあるからです。

追伸:資産運用の極意についてはこちらのインタビューもご覧ください。http://www.monexuniv.co.jp/news_media/2007/04/post_79.html

今回の話のまとめ---------
●外貨運用を行うべき理由は3つある
●円安になっているからといって始めない理由にはならない
●時間の分散を考えて早く外貨への資産の分散をはじめよう

ではまた来週・・・。

マネックスからのご留意事項

「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧