さわかみファンドへの質問状

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

さわかみファンドへの質問状

恐らくご本人は覚えていらっしゃらないと思いますが、私が澤上篤人さんにはじめてお会いしたのは10年前の1997年6月20日の大雨の日。九段下のホテルでお会いしたのを今でも鮮明に覚えています。当時の澤上さんは前身のさわかみ投資顧問を立ち上げたばかりでした。

 あれから10年経ち、さわかみ投資顧問はさわかみ投信になり今では2500億円を運用する巨大な日本株ファンドを運用する会社になりました。澤上さんとはマネックス入社後もファンドの販売をさせてもらおうと何回も足を運びましたが、いつもニコニコしながら断られ続けました。残念ながら今でも、マネックス証券では販売していません。

 そんなさわかみファンドを丸ごと特集した日経マネー6月号が明日発売されるようです。一足早く手元に届いた最新号を見ると43ページに渡る別冊付録が付いています。「株が下がってもなぜかゴキゲン さわかみファンドって何だ!?」というタイトルの冊子は読み応え充分。澤上ファンもそうではない方にも参考になる情報が詰まっています。

■アクティブファンドの付加価値
 さわかみファンドがインデックスに対して超過リターンを実現しているのは2つの理由が考えられます。銘柄選択と投資のタイミングです。特に後者の投資タイミングについては、受益者(投資家)との強い信頼関係がキャッシュ比率を高めることを可能にしており、下げ局面で積極的に投資を行うことで買いコストを引き下げることに成功していると思われます。類似ファンドとのシャープレシオ(運用の効率性を示す指標)の比較では安定した運用が実現していることがわかります。

※シャープレシオを詳しく知りたい方はマネックスの説明をどうぞ
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2007/news704d.htm
 通常のアクティブファンドは投資家のお金が入ってくると相場の状況に関わらず投資をしていかないと上昇してしまった時に「買わないリスク」を持つことになってしまいます。さわかみファンドの場合、月次報告書のグラフを見ると過去においては、3割近い資金を現金として保有し次の投資タイミングを待っていたこともあります。

さわかみファンドの月次報告書
http://www.sawakami.co.jp/html/sawakami-hokoku.html

 このような辛抱強い運用というのは運用者の力量と共に受益者の理解が無いと実行するのは難しいのが現実です。

■インデックス化の懸念
 もう一方の銘柄選択については運用手法については見えない部分も多く、銘柄の選択効果でどの位インデックスを上回るリターンが実現されているのかはわかりません。日経マネーで指摘されているのはさわかみファンドが組み入れ銘柄を350銘柄程度まで増やした結果、運用成績がインデックスとあまり変わらなくなってきているという懸念です。

 インデックスファンドに比べコストがかかる運用をしているのですから、プラスアルファのリターンを長期的に実現していかないと受益者の支持は得られません。広範に分散されたポートフォリオからどのようにして市場平均を上回ることができるのかは今後注視していく必要があります。

 またさわかみファンドは実質的な運用責任者は息子さんの澤上龍さんに移りつつあるようですが、ファンドマネージャーの交代は運用スタイルの一貫性が保てない可能性が出てきます。ここもこれからの確認項目です。

■澤上さんへの質問を募集
 実はそんな澤上さんと来週24日に雑誌の対談をさせていただくことになりました。さわかみファンドの話だけではなく、日本人にとっての資産運用とは、過去の投資における教訓、投資学習の必要性、など色々なテーマで自由にお話したいと思っています。

 このコラムを読んでいただいている方の中にもさわかみファンドに投資をされている方は多いと思います。普段直接聞くことの出来ない疑問、質問をしっかり聞いてまたご報告させていただきたいと思っています。

 もし澤上さんに質問をしたい、という方がいらっしゃれば来週月曜日までにメールをお送りください。すべての質問に回答してもらえるとは限りませんが、対談の時にいただいたご質問をできるだけ聞いてみるようにいたします。
質問はこちらまで
mailto:feedback@monex.co.jp

今回の話のまとめ---------
●高い信頼感から現金比率を高くできるのがさわかみファンドの強み
●さわかみファンドにもいくつかの懸念材料がある
●せっかくだから澤上さんに質問をしてみよう

ではまた来週・・・。

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