2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
先週のこのコラムでさわかみファンドの澤上さんへの質問を募集したところ、30通以上のメールをいただきました。ありがとうございます。それ以外にもお会いした方からコラムのことについてコメントをいただいたり、澤上さんの人気の高さに改めて驚きました。
さわかみファンドへの質問状
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/007872.html
今週火曜日の午後、さわかみ投信のオフィスで対談してきました。話が盛り上がり当初の予定を30分もオーバーしてしまいましたが、相変わらずの澤上節をじっくり聞かせていただき勉強させてもらえました。
当日は皆さまからいただいた質問をすべてプリントアウトして持参し、澤上さんにも「こんなにたくさん質問が来ています」と見ていただきました。たくさんのご質問を書いている方も多く、残念ながらすべての質問をお話する時間はありませんでしたが、共通するご質問には回答していただきました。
(来月20日に発売される「日経マネー」にも対談内容が掲載される予定です)
■運用体制について
皆様のご質問の中で一番多かったのが、ファンドの運用体制に関してです。拙書「資産設計塾」82ページでも指摘させていただきましたが、澤上さんご自身がこのファンドの最大のリスク、とは良く言われることです。今後このファンドが成長を続ける中で将来どうなるのかは気になるところです。
さわかみファンドは現在アシスタントマネージャーを含め4人のファンドマネージャーで運用する体制になっています。澤上さんご自身は現在は日々の運用の意思決定には直接関与していないようです。世代交代を意識的に進めている印象を受けました。
ファンドマネージャーの交代というのはファンドの運用において最も難しい部分です。新しい運用体制が果たして今までと同じパフォーマンスを実現できるのかはこれからの実績を見なければわかりませんが、少なくとも澤上さんお一人に負荷がかかってしまうリスクに対し対策を講じはじめたようです。
■世襲について
もう1つ多かったご質問は世襲に関してです。実はファンドマネージャーの中に澤上さんの長男の澤上龍さんがいらっしゃいます。お会いすることはできませんでしたのでどんな方なのかはわかりませんが、世襲はすべきでは無いのではという厳しい意見もあります。これに対する澤上さんの意見はこうです。
「ファンドマネージャーとしての資質、すなわちたくさんの情報の中から不要なものをそぎ落とし、将来から今を見るという充分な能力があり、運用を安心して任せられる最適任者が現状では澤上龍だと判断している。世襲は良くないという批判は、今後の実績で判断して欲しい、と申し上げたい。」
ちなみに息子としての龍さんをどう思うかお聞きしたら「頑固で自分の美学を持っている。良い意味でわがままな性格は自分とそっくり。」とのことでした。
資産運用は結果が数字になって現われます。3年後、5年後に実績を出せなければ、受益者から厳しい批判(解約)を受けることになります。そこまで理解した上での選択なのだろうと思います。
■インデックスは意識しない
運用成績についても質問がありました。最近の数字がインデックスに近づいているという批判です。これについては構成銘柄を見ればインデックス運用などするつもりはまったくないことがわかるはず、と澤上さんは言います。
ファンド規模が大きくなってきたことが運用成果の悪影響を与えていないか、という点も1兆円くらいまでなら何の制約もなく運用できる、と明快に否定していました。
運用成績は長期で判断しなければなりません。現在発売中の日経マネー6月号の資料ではここ2年の運用成果はインデックス並ですが、それが果たして運用体制の変化による付加価値が低下しているためなのか、それとも一時的なものなのかはもうしばらく様子を見る必要があるでしょう。
■日本株だけではなく将来は債券、外株も
現状のポートフォリオを見ると日本株と現金で運用されていますが、将来は債券や外国株を組み入れることも考えているようでした。
お話を聞いていると澤上さんが目指しているのはリスクを取って極端に高いリターンを実現することではなく、サラリーマンが安心して資産を預けられるような信頼できる運用だと感じました。インデックスを常に意識しながら運用している多くの日本株ファンドとは考え方が異なるようです。
■ネット取引への対応を
さわかみファンドは直販でしか購入できません。しかもネット対応していませんから忙しいサラリーマンには不便です。資産を簡単にネットで管理できる仕組みは提供しないのですか、と質問するとその点は多くの投資家から要望が出ており社内で検討しているとのことでした。
もし将来さわかみファンドがネット対応をするようになれば、マネックス証券で販売しなくても、マネックス証券の画面上でさわかみファンドの残高も合計して資産残高を表示することが技術的には可能になります。
運用成績はもちろん重要ですが、資産運用を長期で続けるためには手間のかからない仕組みを作ることが大切です。ネットで自分の資産を一覧したいというニーズは強いと思います。
運用の結果とお客様サービスへの徹底的なサービスに特化し圧倒的な支持を受けてきたさわかみ投信。ネットへの対応もきっと近いうちに実現してくれると期待しています。あとはこれからの運用成績をしっかりウォッチしていきましょう。
今回の話のまとめ---------
●さわかみファンドの運用体制の変化とリターンへの影響は要ウォッチ
●日本株だけではなく将来は他のアセットクラスも組み入れる可能性がある●ネットへの対応ができれば利便性の問題も解決される
では良いゴールデンウィークを・・・。
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