投資信託の信託報酬を払わない方法

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

投資信託の信託報酬を払わない方法

 ご存知の方も多いと思いますが投資信託には大きく2つの手数料がかかります。買ったときに支払う販売手数料と保有している期間に応じてかかる信託報酬です。最近は販売手数料のかからない「ノーロードファンド」が増えてきました。インデックス運用に使うことのできるインデックスファンドの場合、ネット証券ではノーロードが常識になりつつあります。

 一方の信託報酬はファンドによって比率が異なります。例えばマネックス証券で販売している日本株のインデックスファンドであれば、例えば日経225ノーロードオープンは0.84%、インデックスファンドTSPは0.546%となっています。
 もう1つインデックス運用を行う商品があります。東証などに上場している投資信託、ETFです。最低購入単位はTOPIX型や日経225型の場合、18万円程度とインデックスファンドより大きくなります。また金額を指定して買うことができない、積立ができない、といったデメリットがありますが、信託報酬に関してはインデックスファンドより有利です。

 ETFの信託報酬は概ね0.1%〜0.2%程度となっており、日興アセットマネジメントが運用する上場TOPIXは0.0924%と0.1%を切る水準です(ただしこの商品は最低投資単位が約180万円と大きいのが難点です)。

東京証券取引所のETF銘柄一覧
http://www.tse.or.jp/rules/etf/meigara.html

 例えば信託報酬が年率0.5%違えば単純計算でも10年で5%になります。長期でファンドを保有してインデックス運用を行おうという場合、これは無視できないコストになります。

■リレー投資が日本株のインデックス運用の必勝パターン
 保有コストは低いがドルコスト平均法ができないというETFの欠点を補う方法として5年前のこのコラムで「リレー投資」という方法をご紹介しました。
インデックスファンドとETFの使い分け
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/002332.html

 これはインデックスファンドで1万円ずつ積立をして、ある程度の金額まで積みあがったら解約して、ほぼ同額のETFにスイッチする方法です。信託報酬を引き下げ、その分リターンが向上することが期待できますが、さらにETFにはコストを引き下げる方法があるのです。それは貸株サービスを活用する方法です。
■貸株サービスで信託報酬を実質無料化する
 貸株サービスとはマネックス証券が提供しているサービスで、マネックスに預けている株式をマネックスに貸出し、貸株金利を受け取ることができます。実はこのサービスは株式だけではなくETFやREIT(不動産投信)も対象になるのです。

貸株サービスの概要
http://www.monex.co.jp/StockLending/00000000/guest/G1900/lend/index.htm
 貸株金利は変動しますが、現在は年利換算で0.35%。信託報酬が0.2%のETFであっても貸株サービスの対象にすれば、ネットで0.15%の金利の受取りとなります。ETFの信託報酬を貸株サービスによって実質無料(現状であれば差し引きでプラス)にすることが可能です。

■リスクもしっかり認識する
 貸株サービスにはいくつかの注意事項があります。まず信用取引口座を開設している方など、利用できない場合がありますので条件確認をしてください。
 次にリスクについてです。証券はマネックス証券に貸し出されることになります。保管振替機構での管理にならず、分別管理や投資者保護基金の保護対象となりません。マネックス証券に対する信用リスクを取っていることになります。また貸株期間中は株主優待や株主総会での議決権などの権利を受けとることができません。ETFへの投資の場合、株主優待はありませんから、あまり問題にならないでしょう。

 配当金は税引き後の相当額を雑所得として受け取ることができます。ただし配当所得でないため配当控除の対象となりませんので注意が必要です。

 また貸株サービスを利用しているときでも売買は自由ですし、貸株サービスはいつでもやめることができます。

■完璧な商品は存在しない
 このように貸株サービスはメリットの多いサービスですが制約もありますし使い方によってはリスクもあります。私自身は今まで書いたような方法、つまりインデックスファンドで積立→貸株サービスとETFの組み合わせ、で日本株のインデックス運用を行っていますが、何だか不安だ、という方は無理に活用する必要はありません。金融商品は納得した上で活用することが大切です。
 残念ながら完璧な金融商品というのは世の中に存在しません。メリットもあればデメリットも存在するのです。金融商品・サービスの選択はプラス・マイナスを認識した上で自分で判断していくものなのです。そのために必要な材料をこれからも提供していきたいと思っています。

今回の話のまとめ---------
■日本株のインデックス運用はリレー投資が基本
■コスト面で有利なETFは貸株サービスによってさらにコストを下げられる■運用方法の選択はリスクを確認して自分で最終判断

ではまた来週・・・。

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