金利上昇への準備をはじめよう

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

金利上昇への準備をはじめよう

「国内の金利はほとんどゼロ。だからお金はどこに預けても同じ」という時代は気がつかないうちに変わっているようです。世界的に見ても金利は上昇局面にあります。昨日の米国ではFOMCでフェデラル・ファンド金利誘導目標を5.25%で据え置くことを決定しましたが、ユーロもドルもまだ金融引き締め局面が終わったとは言い切れません。

 株式やBRICsなどの投資信託の上昇に比べ預金や債券の金利は大したことは無い、と思い込んでいるとせっかくの自分の資産に働いてもらえなくなってしまいます。今回のテーマは金利型商品の見直しです。

■ 流動性があって好分配
 例えば証券会社の証券総合口座で使われるMRFですが、マネックス証券の場合だと0.379%(6月25日現在、直近7日間平均利回り年率換算、課税前)と商品性は異なるもののメガバンクの普通預金に比べ倍近い金利水準になっています。
 証券口座を使っている方であればおわかりと思いますが、MRFは証券総合口座に入っている余裕資金を自動的に運用する商品です。いつでも解約できますから流動性も問題ありません。投資信託ですから元本保証はありませんが、大手銀行の普通預金にお金を滞留させているなら活用を検討してみてはどうでしょうか。

■ 円の債券も侮れない水準に
 また現在募集中の個人向け国債は10年・変動が初回適用利率1.01%、5年固定が1.50%となっています。1%を超えているということで人気が出ているようです。一般的には固定の1.5%の方が人気があるようですが、どちらを買ったら良いか悩んでいる方は下記を読んでみてください。

個人向け国債はどちらを買うか?
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/007985.html

 さらに本日マネックス証券から利率年1.00%(税引前)の期間3ヶ月債「個人向けマネックス債」の募集が開始されました。総額15億円ですからこのメールが届く頃には売り切れているかもしれませんが、短期の資金運用としては金利水準は魅力的です。

「個人向けマネックス債」の概要
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2007/news706t.htm
 この商品はマネックス(正確には発行体はマネックス・ビーンズ・ホールディングス)の信用リスクがありますから、そのようなリスクは債券では取るべきではない、という考え方もあります。しかし自分が使っていて、経営状況も把握できる会社の短期のリスクであれば許容できるという方にとっては検討できる商品と言えます。

■ 固定で借りて変動で運用
 次に外貨の運用です。ここでは相場観を語るのは避けますが、世界的に金利の上昇が続くと仮定した場合、どのような商品を選択したら良いでしょうか。金利上昇時の基本は

「ローンは固定で、運用は変動で」

ということになります。

 外貨金利型の運用商品としては、外貨MMF、外債、外債ファンド、為替保証金取引などが考えられますが、外貨MMFと為替保証金取引は短期金利に連動する変動金利型商品、外債や外債ファンドは基本は長期の固定金利の商品ということができます。

 商品選択としては金利の上昇局面で変動金利型の商品の比率を高め、金利がピークに近づいてきたら、変動金利型から固定金利型に商品をシフトさせていくのが良いでしょう。商品毎に残高を把握するのではなく、固定金利型商品と変動金利型商品の比率をどうするか、という視点で自分の資産配分を整理してみましょう。

 また外貨運用は理論的には円で運用する場合と期待リターンは同じです。他の資産との組み合わせによる資産運用の効率性向上効果はありますが、高金利イコール高リターンと考えるのは理論的には間違えています。市場は将来円高になるような体系で成立しています。

■ 円金利に影響される為替保証金取引のスワップ金利
 変動金利型の商品として為替手数料が1万通貨単位以上では5銭ということで、低コストの運用に活用できる為替保証金取引ですが、一点気をつけるべき点があります。それは円金利の上昇です。

 為替保証金取引は外貨の買いポジションでスワップ金利を受け取る場合、円でお金を借りて、外貨で運用していることになります。その金利差がスワップ金利になります。外貨の短期金利が上昇すればスワップ金利の受け取りは増えますが、円の短期金利が上昇するとスワップ金利の受取額は減ってしまいます。
 為替保証金取引では外貨の金利だけではなく円の金利動向にも今後は注意を払う必要があるということを覚えておいてください。

■ 金利型商品も全体のアセットアロケーションの中で考える
 「資産設計塾」などで提案している資産配分は円の債券型商品に10%、外貨の債券型商品に20%となっています。自分が決めた配分比率の中でどの商品を組み合わせるかについてリスクと金利水準そして金利動向を考えながら決めていくことが基本です。 

今回の話のまとめ---------
● 金利の収入も無視できない水準になってきた
● 金利上昇を考えるなら運用は変動、借入は固定が原則
● 金利型商品の配分比率の中でベターな商品を組み入れよう

ではまた来週・・・。

マネックスからのご留意事項

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