資産運用の仕組み作り ★★★☆☆

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

資産運用の仕組み作り ★★★☆☆

7月後半からマーケットは大きく動きましたが、そんな中で再確認できたことは、資産運用で成功するかどうかの分かれ目は「投資の才能の有無」ではなく「資産管理ができるか」 だということです。自分の資産全体がどんなリスクにさらされているかを管理できれば、今回のような相場でも予想外の大きな損失を被ることは防止できます。そしていずれマーケットが正常化すれば、経済の成長に応じたリターンが期待できるようになるのです。

 そんな「資産管理」を長期で続けて、途中で投げ出さないためには、資産管理の方法に手間がかからない仕組み作りが重要です。相場が下落して思うような運用成果が実現できない時でも、手間のかからない仕組みを作っておけば、何とか続けることができます。そして後から振り返れば、止めなくて良かったという結果になるだろうからです。

■ 資産の時価評価とリスク量
 資産の管理というとまずやらなければいけないのが資産全体の時価の確認です。今の価格で評価したら自分の資産全体はいくらになっているのか。特定の銘柄だけに注目するのではなく全体で増えたか減ったかをチェックすることです。

 通常の株式や投資信託は資産金額を把握するだけで十分ですが、為替保証金取引のようなレバレッジ取引の場合、保証金の金額と実際に取っているリスクの金額が異なってきます。自分の資産額の数倍のリスクを取ることができるからです。

 このようなレバレッジ取引を含めた資産の管理は保有資産額とリスク量という2つの数字で自分の資産を管理する必要が出てきます。

 例えばマネックスFXなら10万円で1万ドルのリスクが取れます。1ドル115円とすると、10万円で1万ドル=115万円のリスクになります。資産が10万円しかないのに、リスク量としては115万円になり、12倍のレバレッジがかかっていることになります。

 この場合時価としては保証金の10万円ですが、リスクは115万円の外貨資産として管理しておく必要があります。このリスク額をそれぞれの資産で計算し、6つの資産の種類(アセットクラス)に分類しておけば、自分の取っているリスクがどのくらいなのかを把握できます。一方で資産がどの位殖えているのか、は全体の時価から知ることができるのです。

■ 資産は管理すると殖える
 過去のデータで検証すると、例えば拙書「資産設計塾」で提案したような標準的なアセットアロケーション(日本株式30%、日本債券10%、外国株式20%、外国債券20%、流動性資産20%)で10年間運用を続けると、いつ運用をはじめてもプラスのリターンが実現できたという結果が出ています。

 インデックスを使った過去データでの検証ですから、これから運用して同様の成果が出る保証はありませんが、10年間といった長期で資産を管理できる方法を確立できれば、銘柄選択などを行わないインデックス運用を中心とした方法でも、資産を殖やせる可能性があることを示唆しています。

 つまり資産運用の成果が出るかどうかは、淡々と10年間管理を続けられるか、にかかっているのです。

■ 最強の仕組み作り
 時価とリスク量の管理にはパソコンが便利です。表計算ソフトにそれぞれの金融商品の時価を入力するだけで、時価の合計を自動計算し、資産の種類別に分類してそれぞれのリスク量も計算するのはそれほど難しいことではありません。そしてこのデータをプリントアウトしてシステム手帳に入れておけば、自分の資産運用の状況を常に手元に置いておくことができます。

 半年ほど前のこのコラムで「資産設計手帳」というツールの提案を取り上げました。

『資産設計手帳』を作りませんか
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/007700.html

 この「資産設計手帳」のアイディアは反響が大きく、たくさんの方から様々な資産管理のアイディアをいただきました。パソコンで計算した資産状況だけではなく、ビジョンとミッションをまとめた目標管理シートや投資書籍リスト、投資理論のまとめ、といった長期の資産運用に役立つツールも合わせて手元に置いておけば、さらに資産管理の精度はアップします。

 メンテナンスに手間がかからず、いつでも簡単に見ることが出来る方法として、デジタル(パソコン)とアナログ(紙)を融合させるのが続けられる仕組みとして最強の組み合わせではないかと思っています。

今回の話のまとめ---------
■ 資産運用は才能ではなく管理で決まる
■ リスク管理と資産の時価をしっかり管理しよう
■ 続けられる仕組みを作るのが確実

ではまた来週・・・。

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