マネックスFXのレバレッジは何倍が良いのか? ★★★☆☆

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

マネックスFXのレバレッジは何倍が良いのか? ★★★☆☆

 8月は個人投資家にとっては厳しい月でした。いわゆるサブプライムローン問題で一時的に急速な円高が進みました。米ドルで見ると、6月に1ドル=124円台だったのが、一時111円台までと約10%の急速な円高です。他通貨でも米ドル以上に変動した通貨があり、円の全面高になりました。

 外貨投資、特にマネックスFXのような為替保証金取引で外貨の買いポジションを保有し、スワップ金利を受取る投資をしていた方の中には、保証金の維持率が急低下した結果、強制ロスカットでポジションをクローズさせられたケースも多かったのではないでしょうか。レバレッジを高めにしていた場合、ハイリスク・ハイリターンの取引になり、そのリスクは増大します。

マネックスFXの保証金維持率について復習しておきましょう
http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G1600/fx/rule.htm

■ レバレッジを意識する
 レバレッジとは保有金額の何倍ものリスクを取ることです。例えば、マネックスFXでは10万円の保証金で1万ドルの買いポジションを取ることができます。1ドル120円として、10万円で1万ドル=120万円のリスクを取ることができます。つまり、10万円の資産で120万円のリスクを取ることができますから、12倍のレバレッジがかかっていることになります。

 マネックスFXの場合、ロスカットレベルが50%だとすると、12倍のレバレッジがかかっていると、ドルの買いポジションで1円円高になると1万円の損失になります(1万ドルのリスクを取っているからです)。この時点で10万円の保証金は9万円になります。5円より円高になると、保証金が5万円を切って維持率も50%を下回りますので、強制的にポジションを閉じられてしまいます。これが強制ロスカットです(ちなみにロスカットレベルは20%から50%まで設定することができます)。

 果たして個人投資家にとってレバレッジはどの程度にしておくのが良いのでしょうか?それを考える材料としては為替の変動率が必要です。

■ 為替の変動率
 為替がどの位変動するのかという変動率は計測時期によって変動します。過去データで調べてみると、米ドル、ユーロ、などの主要通貨では概ね10%前後になっていることが多いようです。最近は変動率は低下傾向にありますが、今回のように何かのイベントによって、変動率が急に高まることは想定しておく必要があります。

 統計学の正規分布を前提に考えると、変動率(標準偏差)の2倍以内に収まる可能性が95.4%となります。実際の為替の変動は、正規分布とは違った分布になり、確率も低くなる可能性が高いと思いますが、まずはこの標準偏差の2倍を変動幅と想定してみます。その場合、変動率が10%程度であれば、為替の変動はその2倍の20%程度と考えておけば良いことになります。

 つまりドル円なら1ドル=120円としてプラスマイナス24円、ユーロ円なら1ユーロ=160円としてプラスマイナス32円を想定することになります。

 実際に20%の変動が起こった場合、レバレッジが12倍かかっていると、2つを掛け合わせた240%までのマイナスが発生する計算になります。実際にはロスカットレベルがありますので、その前に強制ロスカットされてしまいますが、レバレッジ12倍では、想定される変動の範囲内で強制ロスカットの可能性が高いことがわかります。

 レバレッジ2倍なら40%、3倍なら60%、4倍なら80%・・・というように変動可能性にレバレッジ比率をかけると最大で元本(保証金)がどこまでマイナスになるかを概算することができます。

■ レバレッジは何倍が良いのか
 私の個人的な意見としては、トレーディングで短期売買をする人でなければ、レバレッジは3倍程度が限界ではないかと思います。

 20%の為替変動が発生し、レバレッジが3倍なら60%の損失が発生することになります。これもかなり大きな変動ですが、ロスカットレベルが30%レベルに設定されていれば、耐えられる水準だと感じるからです。

 レバレッジは何倍が良いか、は個人のリスク許容度や他の資産の保有状況、市場の変動率の変化など様々な要因から決まるものですが、今回説明したような考え方でご自身に適切と思われるレバレッジの倍率を検討してことをおすすめします。

今回の話のまとめ---------
■ レバレッジ取引
■ 変動幅を想定して耐えられる水準を逆算する
■ 個人的見解ではレバレッジは3倍までが限界

ではまた来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見とは必ずしも一致しません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp

・・・外国為替保証金取引に関する重要事項・・・・・・・・・・・・・・・
□リスク
【価格変動リスク】
・取引対象である通貨の価格(外国為替相場)の変動の影響等により、お客様の 想定と逆の方向に外国為替相場が変化した場合には、差し入れた保証金(当 初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
【信用リスク】
・外国為替保証金取引は、当社とお客様との間の相対取引であり、当社はお客 様との取引についてカバー取引を行うことから、お客様は当社およびカバー 取引先(マネックスFXの場合には株式会社外為どっとコム及び住友信託銀行 株式会社、マネックスFXproの場合にはデンマークのサクソ銀行(SAXO BANK A/S))に対する信用リスクを負うこととなり、当社およびカバー取引先の業 務、財産状況等の信用状況の変化により、差し入れた保証金(当初元本)を 上回る損失が生じるおそれがあります。
【金利変動リスク】
・外国為替証拠金取引では、売却している通貨と買い付けている通貨の金利差 調整額(スワップポイント)の受払いが日々発生しており、スワップポイン トを支払うことにより損失(元本欠損)が生じるおそれがあります。スワッ プポイントは、取引対象である通貨の市場金利を反映するため、市場金利が 変動すれば、スワップポイントも変動します。

□手数料等
・マネックスFX
取引通貨数量1,000〜9,000の場合には1,000通貨あたり100円の、同1万〜100万の場合には同50円の手数料がかかります。
・マネックスFXpro
取引金額(取引通貨数量×取引為替レート×円換算レート)の0.1%の取引手数料がかかります。

□委託保証金(為替保証金)
・マネックスFX
取引通貨の為替レートに応じて1,000通貨あたり5,000円〜20,000円の為替保証金が必要となります。
・マネックスFXpro
取引数量×中間レート(売りレートと買いレートの仲値)×5%の為替保証金が必要となります。

※為替保証金として預託できるのは全額現金のみとさせていただきます。※当社ではお客様の損失を一定の範囲に抑えるための措置(ロスカットルール) を設けていますが、外国為替相場の急激な変動により、差し入れた保証金 (当初元本)を上回る損失が生じることがあります。

□その他
・当社は、お客様から預託を受けた為替保証金の金銭について、住友信託銀行 株式会社への預金・同行を受託銀行とする金銭信託以外の金銭の信託により、 当社の固有財産とは分別して管理しますが、お客様が保証金として差し入れ る金銭は、投資者保護基金の補償対象ではありませんので、お客様は上記の 信用リスクを負うことになります。
・為替保証金取引は、少額の委託保証金(為替保証金)で多額の取引を行うこ とができ、取引額が委託保証金(為替保証金)を上回る可能性があります。 取引額の当該保証金に対する比率(レバレッジ比率)は、マネックスFXの場 合には最大約15倍程度(149.99円で約定した場合)、マネックスFXproの場合 には約20倍程度となります。
・当社は、各通貨ペアごとにオファー価格とビッド価格を同時に提示し、お客 様はオファー価格で買い付け、ビッド価格で売り付けることができます。ビッ ド価格とオファー価格は、インターバンク市場の取引レートを参考に決定さ れます。オファー価格とビッド価格には差額(スプレッド)があり、オファ ー価格はビッド価格よりも高くなっています。
・金融商品取引法第37条の6の規定の適用はなく、クーリング・オフの対象と はなりません。
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