年初にやるべきは相場予想よりも仕組み作り

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

年初にやるべきは相場予想よりも仕組み作り

新年明けましておめでとうございます。本年も、このコラムをよろしくお願いいたします。

 毎年このコラムで年初に取り上げるテーマは専門家の昨年の予想の検証です。今年も昨年1月3日の日経新聞に掲載された新春予想の振り返りを行ってみたいと思います。手元にある1年前(2007年1月3日)の新聞を見ると、いつものことながら年初に心に刻むべき投資の心がまえ、を再確認することができます。
■ 2007年1月3日の有望銘柄の1年後
 2007年年初に経営者20人が選んだ有望銘柄の1年前(2006年12月末)と直近(2007年12月末)の株価を手計算した結果は次の通りです(配当除)。

<2007年1月の有望銘柄の騰落率>
有望銘柄 1年前 直近 騰落率
トヨタ 7,960 6,040 ▼24.1%
キャノン 6,700 5,200 ▼22.4%
信越化学 7,970 7,020 ▼11.9%
コマツ 2,415 3,040  25.9%
新日鉄 684 692  1.2%
松下 2,375 2,315 ▼2.5%
シャープ 2,050 2,010 ▼2.0%
本田 4,700 3,750 ▼20.2%
三菱UFJ※ 1,470 1,047 ▼28.8%(※株式分割を考慮)
三菱商事 2,240 3,060 36.6%
武田 8,170 6,570 ▼19.6%

 同じ2007年1年間の市場全体の動き(TOPIX)は▼12.2%となっていますから、上記11銘柄で見ると、市場平均を上回った銘柄が6銘柄、下回ったのが5銘柄、と銘柄選択の参考には結果的にならなかったことがわかります。

 また市場全体の動きについても日経平均の高値安値の予想は年末に18,000円から20,000円という予想が多く、年末にかけて15,000円台を予想した人は2人だけでした。日本株の昨年1年の動きは経営者の予想でさえも超えたところにあったということです。

■ 為替レートはほぼ予想通り
 次に為替レートですが、例年通りこちらはドル円だけの予想です。年央、年末共に110円から115円のレベルに予想が集中していました。実際の相場は一時的に1ドル=120円を超える円安もありましたが、年間を通じて見ればほぼ予想通りの結果ということができます。為替相場はここ数年変動幅が小さくなってきています。奇をてらわない予想をすれば的中させやすいとも言うことができます。

■ 予想に左右されない資産運用戦略の仕組み作りを
 毎年同じ分析をやっていて確認できること、それは経営者であっても、相場の予想を的中させることは難しいということです。予想は当たらない要因は2つ考えられます。

 1つは様々なバイアスです。例えば、証券会社の経営者であれば、株価が上昇することを期待します。輸出企業の経営者であれば、円安を期待します。このような「期待バイアス」によって、予想の数字が歪んでしまう可能性があります。また有望銘柄も「値上がりする会社ではなく良い会社」が選ばれてしまうと投資対象としては必ずしも有望では無くなってしまいます。

 そしてもう1つは、相場の予想自体がそもそも極めて難しいものだということです。経営者だけではなくエコノミストや株式評論家と言われる方々でも予想は困難な作業です。また一度予想が当たったとしてもそれを継続していける人は極めて稀であるということです。

 つまり繰り返し書いていることですが、年初予想とは世の中の人がどんな予想をしているのかを知る参考程度にしかならないということです。

 とすれば、2008年にまずやるべきことは、

「相場予想に左右されない資産運用戦略を続けるための仕組み作り」

だと思います。短期的な相場の変動や予想意見に振り回されない一貫した投資スタンスが将来の成果の最短距離になるからです。そのための1つの方法として、昨年ご紹介したのが「資産設計による仕組み作り」です。

資産設計の仕組み作り(バックナンバー)
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/008437.html

 今年も皆様の資産運用のリターン向上のために情報提供を続けていきます。ご意見、ご要望、ご感想など何なりと下記メールまでお寄せください。本年もよろしくお付き合いください。

mailto:muinfo@monex.co.jp

今回の話のまとめ---------
■ 日本株の有望銘柄を見つけるのは経営者でも難しい
■ 予想は鵜呑みにするのではなく、市場の期待として捉えよう
■ 相場予想に左右されない資産運用戦略を立てよう

ではまた来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見とは必ずしも一致しません。)

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