2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
まだ完全に不安要素が払拭されたわけではありませんが、ようやくマーケットも落ち着きを取り戻しつつあるようです。今回の相場で再確認できたことは前回も書きましたが、日々の相場を追いかけることよりも万が一の時に備える「分散投資の重要性」です。
この相場で個人投資家がやるべき3つのこと
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/008524.html
分散投資を実践していたからといって損失が無かったわけではありません。円高と株安によって、資産を株式、債券、不動産(REIT)の内外資産に分散していてもリターンはマイナスになりました。ただしそれは過去のデータからは例外的な出来事ではなく、資産を分散させていても、損失が発生することはあるのです。ただし、分散投資によって変動を想定の範囲内に収めることができれば、長期で運用を続けることができます。そして過去データを10年単位で見てみると、投資の成果が実現しているのです。
資産を分散させ、長期で運用を続けるメリットが確認できるなら、次に考えるべきことは、どのように資産を分散させるか、です。
■ 自分で出来ないならまずは人にやってもらう
分散投資の配分比率を自分で決められるなら、自分で実践すればよいのですが、始めようと思っていても、具体的な方法がわからない。そんな時に活用すべきなのがバランス型ファンドです。1つの投資信託の中に内外の株式、債券など様々な資産が組み入れられ、通常1万円から分散投資をはじめることができます。資産配分比率をファンドが決めてくれるお任せ運用を少額で実践できるのです。
自分で分散投資を実践したい方は拙書をご覧ください。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4426774047/503-8087972-6287950?v=glance&n
■ バランスファンドの3条件
バランス型ファンドを選択する場合、個人的には3つの条件を満たす必要があると思っています。それは、
<バランスファンドの3条件>
信託報酬が1%以下
販売手数料がかからない(ノーロード)
組み入れファンドはインデックス運用
です。昨日、この条件を満たす3ファンドの担当者の方にお集まりいただき、「3ファンド徹底比較座談会」を動画収録しました。こちらはマネックス・ユニバーシティのEラーニングコンテンツを修了された方全員に配信する特典動画です。
その3つのファンドと担当者は
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
(セゾン投信 代表取締役 中野さん)
SBI資産設計オープン
(住信アセットマネジメント 橋本さん)
マネックス資産設計ファンド
(DIAMアセットマネジメント 岸浦さん)
の皆様。私が司会を務めました。
当日の撮影風景と主なテーマ
http://www.monexuniv.co.jp/news_media/2008/01/20080125.html
この動画は今からEラーニングに申し込み、コースを修了すれば、ご覧いただける予定です(マネックス証券に口座をお持ちの方はEラーニングも無料で受講できます)。
http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G800/mu/mc_index.htm
■ マニアックな質問で理解を深める
質問の中にはマニアックなものもありました。例えば、リバランスのタイミングについて。マネックス資産設計ファンドとSBI資産設計オープンでは、コンセプトは似ていますが、リバランスの方法は大きく異なることがわかりました。 前者はイボットソン・アソシエイツ・ジャパンのアドバイスによって年に1回のリバランス、後者は当初設定している配分比率から一定の比率乖離した場合に、リバランスを行う仕組みになっています。
またファンドの中に日本債券を組み入れることについても議論がありました。現状は3ファンドとも組み入れられていますが、他の資産との相関を考えると組み入れることに意味があるというコメントもありました。
さらに外国株の中で新興国の組み入れを行うかについて(現状ではセゾン投信のファンドのみ組み入れ)、REITは組み入れた方が良いのか、今後の信託報酬の引き下げについて、など内容は深く盛りだくさんです。
■ 競争が商品を磨く
金融商品には特許や著作権がありません。ある運用会社がヒット商品を作ると、他社が横並びで似たような商品を設定するというのは珍しく無いのです。実際、あるネット証券も今年の3月に似たようなコンセプトのバランス型ファンドを販売することを昨日発表しています。
クリエイティビティが無いと言ってしまえばそれまでですが、個人投資家にとっては選択肢が増えるのは良いことです。意味のある競争によって金融商品のクオリティがさらに磨かれるようになって欲しいと思います。
自分で分散投資をするのもバランス型ファンドを活用するのも一長一短があります。いずれの方法でも良いと思いますが、次の大きな相場変動が来る前にしっかりと対応しておくことが重要だと思います。過去データから見ても、今回のような相場の急変動は数年以内にまた繰り返される可能性が高いからです。
今回の話のまとめ---------
■ 相場変動の荒波に飲み込まれないために必要なのは分散投資
■ 分散投資にバランス型ファンドを活用するなら商品内容を確認すること■ 将来繰り返される相場変動に今から自分の資産を対応させておこう
ではまた来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見とは必ずしも一致しません。)
マネックスからのご留意事項
「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。