割安で買って割高で売ることがナゼできないのか

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

割安で買って割高で売ることがナゼできないのか

日経平均は本日前場で14392円まで上昇し、1月上旬の水準まで戻ってきました。それに伴い、個人投資家の資金が日本株式に戻ってきているという報道も聞かれるようになりましたが、これから投資しようにもすでに日経平均は3月につけた安値11787円からは、2割以上上昇しています。

 結果から言えば押し目は買い、になった訳ですが、そのように相場タイミングをうまくとらえ、下がったところで買えるようにするにはどうしたら良いのでしょうか。今回で言えば、3月の安値水準で果敢に買い出動できるかどうかです。

 例えば、マネックス・ユニバーシティの限定動画に出演いただくことになっている春山昇華さん(ベストセラー『サブプライム問題とは何か』の著者)は3月に日本株は購入チャンスと発表し、ご自身でも投資をされたようです。特典動画ではそんな相場の判断方法について語っていただく予定です。

春山昇華が語る、2008年後半グローバル経済の行方(講座修了者限定動画)http://www.monexuniv.co.jp/new/2008/level1_5.html

 しかしこのような冷静な判断は誰でもできることではありませんし、春山さんでさえ、いつでもこのような完全な予測ができるとは限りません。

 それに多くの人はマーケットが大きく下落して過剰に売られ割安になっていると思っても、実際にはなかなか実行することはできないものです。それは定期的に開催しているセミナーの参加者を見ているとわかります。株価が上昇してくると出席者が増え、下がると出席者が減るという「マーケット連動型」になっています。これは行動心理学で説明することができることですが、感情的に取引すると誰でもこのような高値掴みのワナに陥ってしまうものです。
 もし高値つかみをしてしまってその後身動きが取れなくなってしまう、という状態になるくらいなら、定期積立で買い付けを行なう方がマシということになります。

■ ドルコスト平均法のメリットと限界
 定期積立と言えば、投資信託です。毎月決まった金額を投資していくことでドルコスト平均法には平均購入単価を下げるメリットがあることは、このメールの読者の方でしたらご存知だと思います。

ドルコスト平均法のメリット
http://www.monex.co.jp/FundOrderConfirmation/00000000/guest/G600/tsumitate/tsumitatetoha.htm

 マネックス証券のサイトで積立に使われている商品のランキングがあります。これを見ると積立でも人気があるのは、インデックス型のファンド、新興国の株式市場に投資をするファンドが多いことがわかります。

積立に使われるファンドベスト10
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2008/news803q.htm
 また新興国の株式市場でインデックス運用を行う新ファンドも登場するようです(申込手数料は1.05%ですが・・・)。MSCIエマージング・マーケット・インデックスの動きに連動する投資成果をめざすファンドです。

年金積立インデックスファンド海外新興国株式
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0055520000

 高値で買ってしまう失敗は防げますし、下がったところで投資をやめてしまう失敗も防げるドルコスト平均法ですが、万能ではありません。最安値で買うことはできませんし、最終的に価格がさらに下がってしまえば、投資しない方が良かったということになってしまいます。大失敗しない方法ということです。
■ 時価総額インデックスにも潜む問題
 またインデックス運用という手法自体の構造的問題も指摘されています。一般のインデックス運用においては時価総額に基づいて計算された比率で投資先への配分比率を決定します。時価総額が企業の根源的な価値を正確に示していることが前提になっていますが、これは現実的な仮定とは言えません。株価というのは投資家の期待によって大きく変動するからです。時価総額比率で配分を決定すると、割高なものを高い比率で組み入れ、割安なものを低い比率で組み入れてしまう可能性があるということです。

 このような問題点に対しては効率的なインデックスとして時価総額だけに頼らない計算方法によるインデックスの開発など新たな試みがはじまっています。これについては、また機会を見てまとめてみたいと思います。

 割安で買って、割高で売ろうとしても、現実には様々な制約があります。しかしそんなベストな投資ができないとしても、あきらめるのではなくベターな方法を続けていくことが最終的な結果につながるのだと思います。批評しているだけでは何も変わりません。3年前の関連コラムもよろしければどうぞ。
独身主義にピリオドを!(バックナンバー)
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/006448.html

今回の話のまとめ---------
■ 株価の上昇を確認してから投資をはじめるのでは半歩遅れ
■ タイミングを捉えようと失敗するよりはドルコスト平均法
■ インデックス運用も万能ではない

ではまた来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見とは必ずしも一致しません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp
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1回10分 「資産設計塾外貨投資編」を音声で学ぶことができます(無料)http://www.monexuniv.co.jp/service/podcast/
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※「年金積立インデックスファンド海外新興国株式」に関するリスク・手 数料等に関しては、『10 リスクおよび手数料等の説明』をご覧ください。-----
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