生命保険についても考えるときがやってきた

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

生命保険についても考えるときがやってきた

 先週お知らせした拙書「【新版】資産設計塾」はお陰様で好調な売れ行きで、発売1週間で増刷が決まりました。お買い上げ頂いた皆様、ありがとうございます。

「【新版】資産設計塾」の一番詳しい説明
http://www.monexuniv.co.jp/service/mailmagazine/backnumber/mubookshelf/2008/123.html

 今回の新版では資産運用とは直接関係の無い商品も2つだけ解説しています。1つは住宅ローン(214ページ)、そしてもう1つが生命保険(216ページ)です。
 その生命保険ですが、先日ライフネット生命の副社長の岩瀬大輔さんと対談する機会がありました。ライフネット生命は日本初の生命保険会社の資本が入っていないネット専業の保険会社です(マネックス・ビーンズ・ホールディングスも出資しています)。

<限定特典動画>目からウロコの保険塾(岩瀬さんとの対談です)
http://www.monexuniv.co.jp/mcnews/2008/post_160.html

■生命保険の種類は3つ
 対談で知ったことは、複雑な生命保険もシンプルに整理すると3つに分類できるということです。それは

 死亡保険 死亡した時に保険金を受取れる
 医療保険 病気になった時に保険金を受取れる
 貯蓄保険 保険の形をした資産運用商品

 そして世の中にある様々な保険商品とはこの3つの機能をミックスさせた複合商品、と考えれば頭の中がすっきりすることに気がつきました。

 多くの日本人が入っている保険とは、死亡保険に年金型の貯蓄保険が組み合わさり、さらに医療保険の特約がついた商品です。このようなパッケージ商品の場合、手間がかからず便利ではありますが、これでは頭がすっきりしないので、本当に必要な保険なのかどうか真剣に吟味しなくなってしまう危険性があります。

■シンプルにならないのは特約のせい
 自分がどんな保険に入っているか、正確に覚えている人はほとんどいないと思います。保険とは自分に不幸があった時の商品なので、誰しもあまり考えたくないことなのがその理由だと思います。

 そしてもう1つの理由として、特約の存在があると思います。特約とはアイスクリームのトッピングのようなもので、基本の保険に追加され、複雑になってしまった結果、自分の保険が見えにくくなってしまうのです。

 特約というと無いよりあった方がトクなのかな?と思いがちですが、特約分のコストはしっかり保険料に上乗せされているのです。自分にとって必要性の低い特約はわかりにくいし、ムダであるという2重の意味で必要ないということです。

■資産になる保険、ならない保険
 資産設計の観点からすると、株式や投信と同じように資産として考えてよい保険は上記の3分類で言えば貯蓄型の保険だけです。死亡保険と医療保険は不慮の事態に備える商品であり、資産形成が目的ではないからです。

 だからと言って死亡保険や医療保険が不要というわけではありません。保険料と保障内容を比較しながら自分に必要なバランスの取れた保障内容のものにしっかり加入しておくべきです。

 一方の貯蓄保険は他の運用商品との比較が必要です。コスト、流動性、税金、リスクといった観点から投資商品としての魅力があるかどうかを冷静に判断する必要があるでしょう。

■保険の見直しはリターン向上の特効薬
 本コラムを読んでいる方におススメしたいのは、保険について2つのムダが無いか、を再検討することです。2つのムダとは

ムダの可能性1 不必要な保険に入りすぎていないか
ムダの可能性2 コスト高の保険に入っていないか

 自分に必要な保険だけを選択し、同じ保障内容なら低コストの商品を選ぶことです。前述のライフネット生命は死亡保険と医療保険のシンプルな商品構成。特約を一切つけないことで、わかりやすくコストを下げた商品を提供しています。

ライフネット生命のネット上での簡単見積もり
http://www.lifenet-seimei.co.jp/plan/index.html

 生命保険は毎月支払うもの。わずか数千円のコストの差でも長期で見れば100万円単位の差になってきます。ネット生保が立ち上がってきたことで、生命保険についても考えるときがやってきた。そう思います。

今回の話のまとめ---------
■ 複雑な保険も3つに分解してシンプルに考えることができる
■ 必要な保険を考えて、低コストなものに加入しよう
■ 保険の見直しはリターン向上の特効薬

ではまた来週・・・。

(本コラムは、筆者の個人的意見をまとめたもので、筆者の所属する組織の公式な見解ではありません。)

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