外国株式投資をはじめる時の具体的商品はどれが良いのか

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

外国株式投資をはじめる時の具体的商品はどれが良いのか

 「金融機関のキャンペーンには気をつけろ!」

 と、以前マネックスメールに書いたことがあります。一見有利に見える特典がコストを含めた手取り金額で計算すると、メリットの無いケースが多いからです。

バックナンバー 金融商品のカラクリ(カラクリその1をご覧ください)http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/005243.html

 マネックス証券が現在やっている投資信託販売手数料キャッシュバックキャンペーンは好評のようです。これもキャンペーンですが、単なる手数料の期間限定の値下げですからカラクリはありません。ただし手数料の節約に気を取られて、投資タイミングを集中させすぎないように注意してください。

7月25日までのキャッシュバックキャンペーン概要
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2008/news8065.htm
 実はこのキャンペーンに合わせて、30万円でポートフォリオを作るというコーナーがあり、資産配分例をご紹介させていただきました。内藤式標準的アセットアロケーションで具体的商品を組入れたのですが、この中で悩ましいのは外国株式に使う商品です。

30万円でポートフォリオを作る
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2008/news8072_02.htm

■ <定番>トヨタアセット・バンガード でいくか、それとも・・・
 外国株式は資産全体の20%を目安にしていますが、コストを考えるとインデックス型の投資信託からはじめるのが合理的な選択肢でしょう。

 その代表的定番商品がトヨタアセット・バンガード海外株式ファンドです。インデックスファンドの組み合わせ(ファンド・オブ・ファンズ)なので市場全体の方向性に沿った運用が期待でき、最低投資単位は1万円。米国欧州・新興国にバランス良く投資され、販売手数料がかからないノーロードファンドです。

 一方で、新しい外国株式インデックスファンドも登場しています。年金積立シリーズは外国株式だけではなく外国債券もありますが、低コストでインデックス運用が可能になる商品です。

 例えば年金積立 インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)は先進国の株式インデックスであるMSCIコクサイに連動した運用成果を目指す商品。もう一本の年金積立 インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式は、新興国の株式インデックスであるMSCIエマージング・マーケットに連動した運用成果を目指す商品です。この2本はトヨタアセット・バンガードに比べ、保有期間にかかる信託報酬が低いのが魅力です。

 ただし問題が2つあります。1つは先進国と新興国に分かれているため、自分で比率を決めて2本のファンドを買う必要があること。そしてもう1つは、新興国(エマージング)株式の方は販売手数料が1.05%かかることです。

■デメリットはメリットに変えられる
 年金積立 インデックスファンドシリーズを使うときに発生する2つの問題ですが、考え方によってはメリットと捉えることもできます。

<デメリット→メリット その1>
 自分で比率を決めて2本買わなければいけない
 →先進国と新興国の比率を自分で決められる

 トヨタアセット・バンガードでは新興国は5%の配分です。インデックスで見ても新興国には10%程度の配分になりますし、GDPで比較すると新興国は30%の比率になります。新興国の長期の成長を期待するのであれば、先進国:新興国比率を7:3程度にすることも「あり」でしょう。

<デメリット→メリット その2>
 新興国(エマージング)株式は販売手数料が1.05%かかる
 →保有期間が長くなれば信託報酬が低い分、トータルコストは低くなる
 例えば先進国と新興国の比率を7:3にして、年金積立シリーズで組み合わせると、平均販売手数料が0.315%、平均信託報酬が0.886%(加重平均概算)となります。1年間保有すれば、トータルコストはトヨタアセット・バンガード(2007年実績で保有コスト約1.27%)より低くなります。

 さらに今回のキャンペーンを利用すれば、ノーロードで買えますから、販売手数料の負担が無くなり、コスト面ではさらに有利になります。

 外国株式投資の次のステップとしては、アクティブファンドや海外ETF、さらには個別銘柄投資を行う方法などが応用編としてありますが、まずはこのように先進国と新興国を低コストでバランス良くカバーすることから始めるのが、資産設計の王道です。

今回の話のまとめ---------
■ 外国株式はインデックス運用の投資信託が基本
■ 先進国と新興国の比率はしっかり調整しておく
■ 手数料キャッシュバックはコストを下げるが、投資タイミングも考えて
ではまた来週・・・。

(本コラムは、筆者の個人的意見をまとめたもので、筆者の所属する組織の公式な見解ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
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