ファイナンシャルプランナーの時代は来るか?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

ファイナンシャルプランナーの時代は来るか?

先週の土曜日に日本FP協会埼玉支部の継続研修に講師として参加いたしました。快晴の休日にもかかわらず、900人近いFPの皆様にお集まりいただき、2部構成で合計3時間にわたり講演をさせていただきました。

 今回は埼玉だけではなく、近県の群馬、栃木、東京、千葉、さらには大阪からもたくさんの方にお越し頂いたとのこと。FPの皆様の熱気に圧倒されました。その後、夕方からは懇親会もあって、たくさんの現役FPの方と情報交換をさせていただき、さらに熱いエネルギーをたくさんもらうことができました。
 日本も気がつけば高度経済成長期の資産を稼ぐ時代から蓄積された資産を活用する時代へ変わりました。持っているものをいかに有効活用するか。資産運用は益々必要とされるスキルであることを実感しました。

 資産運用は車の運転に例えられますが、運転のスキルをマスターするのに自動車教習所が必要なように、資産運用にも「お金の運転」の方法を教える人が必要です。マネックス・ユニバーシティもEラーニングやセミナー、あるいは書籍を通じて資産運用に必要なコンテンツを提供しています。

【Eラーニング】今話題の「筋トレから学ぶ、投資成功術」限定動画
http://www.monexuniv.co.jp/new/2008/post_175.html

【セミナー】メンバー限定 竹川美奈子氏にメールとチャットで質問できるhttp://www.monexuniv.co.jp/service/seminar/
※上記セミナー等では、セミナーでご紹介する商品等の勧誘を行うことがあり ます。

【書籍】シリーズ累計10万部のあの本に加え、おススメ書籍が40冊以上
http://www.monexuniv.co.jp/service/book_dvd/index.html
 
 しかし、資産運用とは個別性の強いものです。自分の資産運用に関して、パーソナルなアドバイスが欲しいというニーズは強いのです。多くの人を対象にしたものではなく、一人一人に対面で資産運用サービスを提供できるのはFPしかいないと思います。今回、FPの皆様とお話をしてその考えはさらに強くなりました。

■ 4つの機能
 では、具体的に資産運用に関するどんなパーソナルなサービスがあったら価値を感じるでしょうか。私自身、個人投資家としての立場から、下記の4つの機能を考えてみました。

1.資産運用のプランニング機能
 最初に何からはじめて良いのかわからない方に、具体的なプランをオーダー メイドで作成する機能です。

2.資産運用の管理サポート機能
 実際に運用が開始されてからの定期的な資産運用状況の管理をサポートする 機能です。リバランスの方法や運用方針の変更に伴うアセットアロケーショ ンの変更にも対応していきます。定期的なチェックによって効率的な資産運 用ができます。

3.資産運用の情報提供機能
 金融商品の知識、規制や税制の変更、をはじめマクロ経済の情報、海外を含 めた金融に関する最新情報など、個人では難しい情報収集をサポートする機 能です。

4.資産運用のメンター機能
 資産運用を長期で続けるためには、相場下落時などストレスのかかった時に 途中でやめないことが必要です。FPが精神面でメンターのような機能を担う ことによって続けられる投資家が増え、長期の成果につながるようになるの ではないかと思います。

 そして、この4つの中で一番必要なのは個人的には資産運用の精神的なサポート機能ではないかと思っています。プラン作成や管理サポート、それに情報提供も重要ですが、自分である程度はやることができます。例えば、プラン作成は書籍を読めば可能ですし、管理することは几帳面であれば自分でできるのです。情報収集もセミナーや勉強会で最新情報を知ることはある程度まで可能です。

 ところが資産運用のメンタルコントロールというのは、一人ではできません。スポーツ選手がコーチによって成果が変わってくるように、資産運用もメンター機能によって成果が変わるのです。

 特に昨年後半以降のような相場環境ではその役割がさらに高くなっています。土砂降りの雨で困っている時にこそ傘が必要になります。そんな時に適切な精神面でのアドバイスを提供することには大きな価値があるのではないでしょうか。

■ ファイナンシャルプランナーの時代は来るか?
 懇親会で日本FP協会の監事の方からお聞きしたのですが、FPは日本に約17万人いるということ。しかしほとんどが企業内での資格として取得されている方で、実際に個人に対する資産運用アドバイスを中心としたコンサルティングを業とする独立系FPは数百人程度だそうです。

 MBA(経営学修士)や証券アナリストといった資格と同様に、金融機関などでは、FPも会社から取得を推奨される資格になっているケースが多いようです。しかしそんな名刺や履歴書に書くための資格としてのFPではなく、真に個人投資家にパーソナルなサービスを直接提供できるFPが質量ともに増えれば、彼らのアドバイスによって個人マネーの動きは変わります。

 そのような動きが広がるためには、サービスの提供側のレベルアップだけではなく、需要と供給を効率的にマッチングさせるインフラも必要です。なぜなら、FPに対価を払っても相談したいと考える個人投資家は増えている一方、どこに相談して良いのかわからないという声が多いからです。

 今後個人の資産運用マーケットが拡大していく中で、ファイナンシャルプランナーの時代は来るかどうかは、そんな2つの要因によるのではないか。これが今回の埼玉での経験から到達した、私の結論です。

今回の話のまとめ---------
■ FPには4つの機能がある
■ その中でもメンター機能が重要
■ 独立系FPが増え、マーケットが広がれば個人のお金の流れは変わる

ではまた来週・・・。

(本コラムは、筆者の個人的意見をまとめたもので、筆者の所属する組織の公式な見解ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
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