勝間和代さんと橘玲さんの投資手法の違いと共通点

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

勝間和代さんと橘玲さんの投資手法の違いと共通点

 個人の資産運用の世界にはたくさんのプロフェッショナルな方がいらっしゃいますが、目からウロコの情報を提供できる方はそれほど多くはいません。そんな中で明確な主張を持ち、独自の視点を提供している方、ということで思い浮かぶのが、橘玲さんと勝間和代さんのお二人です。

 橘さんは海外投資を楽しむ会の創立メンバーとして活躍され、海外投資に関する著作も多数出しています。もう8年近いお付き合いになりますが、井上陽水を思わせるような不思議な雰囲気の方です。穏やかな語り口ですが、その内容は切れ味鋭く、まさに「賢者」です。

 勝間和代さんと言えば、最近はテレビにも進出している書籍累計販売部数150万部というベストセラー著者ですが、先週ひょんなきっかけからお仕事をご一緒させていただき、その時にマネックス・ユニバーシティの特典動画にもご出演いただきました。

「勝間和代氏が語る投資の極意(対談)」【受講者限定】の詳細はこちらhttp://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2008/news808d.htm
【プレゼント】誰でも応募可!「勝間さんサイン&メッセージ付き5冊の本」http://www.monexuniv.co.jp/new/2008/post_183.html

■ 勝間さんのキーワードは「知識」「効率」
 勝間さんとの対談で気がついたことは2つあります。1つは「知識」がお金になるという視点です。金融の世界においても、例えば為替の手数料が金融機関によって異なること、リスクの取りすぎは逆に資産を減らしてしまうことになりかねないこと、など知識(金融リテラシー)を持つことによってお金を殖やす智恵を得ることができます。

 そしてもう1つの「効率」という視点は、金融においては手間とコストを比較するのが効率である、という意見です。

 というわけで、彼女が自分の資産運用に使っているのはインデックスファンドがメイン。それを積立でどんどん購入していく。個別株式にも投資されているようですが、自分で分析できる範囲で、とのことでした(詳しくは動画をご覧ください、かなりユニークです)。

■ 橘さんのキーワードは「金融2.0」「人的資本」
 一方の橘玲さんは、著書でも触れているように海外ETFという商品によって日本の個人投資家にも「金融2.0」が実現したと語ります。海外の証券会社に口座を開設し、そこから自由に海外ETFを購入する。海外ETFが世界のマーケットへの窓になっているという考え方です。

 そしてもう1つが「人的資本」の発想です。これは金融資産だけではなく、自分自身も金融価値を生み出すものとして金融資産を合わせて管理する考え方。毎月会社から円で給料をもらうビジネスパーソンは、自分自身が定期収入をもらえる円の債券のようなもの。とすれば、自分自身という円の債券を持っていることになり、資産運用は株式を中心にすべき、となります。しかも日本に偏っている人的資本を考慮すれば、海外株式の比率を高めた運用が結論となります。
 このような考え方を実践するツールとして世界中のETFを効率的に使い倒そうという発想なのです。

橘さんの書籍「黄金の扉を開ける賢者の海外投資術」
http://www.monexuniv.co.jp/service/book_dvd/index.html#book6

■ 投資がもたらすものはお金、そして自由
 私自身の資産運用はどちらかと言えば勝間さんに近いのですが、橘さんの考え方を否定するつもりもありません。橘さんも根底にあるのは世界分散投資のインデックス運用であり、現代投資理論に基づいたロジカルな考え方であるからです。

 お2人の方法の一番の違いは投資にかける時間です。勝間さんは効率重視。つまり投資にかける時間をできるだけ短くして「時給を上げる」発想です。一方の橘さんは投資を楽しむという視点を持っています。といっても意味の無いリスクを取って効率性を落とすのではなく、知的好奇心を満たすために世界中の最高水準の投資対象を探求しているのです。

 しかし、よく見ると実はお2人の投資には共通するものがあるのがわかります。それは、自分のことは自分で決めたいという「インディペンデント」なスタンスです。自分のお金をどうするのかも自分で判断する。そしてその結果を自分の責任として受け入れる。そのために必要な知識を身につけているのです。
 投資に必要な金融の知識を持ち、自分の意思決定に基づいて投資を行うことによって、得られるものはお金だけではありません。誰にも依存せず、人生を自由に設計できることができるようになる。これが投資で得られるもう1つの大切なものなのです。

今回の話のまとめ---------
■ 勝間さんは投資を知識と効率から考える
■ 橘さんは投資を人的資本とグローバルな好奇心から考える
■ 投資がもたらすものはお金だけではない

ではまた来週・・・。

(本コラムは、筆者の個人的意見をまとめたもので、筆者の所属する組織の公式な見解ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp

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