日経平均が8000円を割れた頃、どうして買わなかったのか?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

日経平均が8000円を割れた頃、どうして買わなかったのか?

 先週も書きましたが、相場の転換点をピンポイントで当てるのは、投資のプロであっても極めて困難な作業です。相場を予言した、と誇らしげに語る人の話も良く聞いてみると、たまたま当たっただけだったり、ずっと言い続けて遂に当たっただけだったりします。

 とすれば、予想をする前にやるべきことがあるのです。下記のサイトは今週アップされた投資に関する基本的な考え方をまとめた記事です。

なぜ人は投資でストレスを抱え、損ばかりするのだろうか?
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0808/21/news013.html

 このように個人の予測は投資判断の材料としてはあまりあてになりませんが、市場全体のコンセンサスは参考になることがあります。例えば、こんな現象が起きるとそろそろ相場の転換点ではないかな、と思うヒントになるのです。
■ 現象1 マスコミが騒ぎ始める
 メディアというのはどうしても報道が後追いになりがちです。経済関係で言えば、プロのレポート→マネー誌→ビジネス誌→一般誌→テレビ、というように情報の伝わるタイミングにラグがあります。

 マネー誌やビジネス誌だけではなく、一般誌やテレビが騒ぎ始めたらそろそろ終わり、というのが経験則です。例えば新興国ファンドを一般週刊誌が毎週のように特集していたのが昨年の春ごろでした。原油やガソリンの高騰も大騒ぎになって数ヶ月、流れが変わりはじめたようです。

■ 現象2 セミナーの出席者が減る
 各地で開催しているセミナーの出席者数が減ってきたら相場の反転が近づいているという経験則があります。思い出すのは以前日経平均が8000円を割れた頃のセミナーの様子です。

 いつもは100人以上の会場に出席していた個人投資家は50名足らず。挙手をお願いしてみると、これから相場が下がるという人が全員(!)でした。値上がりすると思っている人は皆無だったのです。
 逆に日経平均が18000円台まで上昇した時にはセミナー会場は超満席。会場は熱気に溢れていました。

 賢明な投資家である皆様は、相場に関係なく、自分が知っておくべき知識を淡々とインプットし、投資に活用することをおススメいたします。

アクセスランキングベスト3 チャットdeお金の相談室【受講者限定】
http://www.monexuniv.co.jp/new/2008/3de.html

10月開講 早稲田オープンカレッジの超初心者限定講座
https://www.waseda-extension.com/o2004s/index.php?action=list&jcode=09
■ 現象3 分散投資に関する取材が増える
 雑誌の取材が増えるのも相場の反転が近い兆しだったりします。このコラムで紹介しているような長期分散投資による「資産設計」というコンセプトは、相場の上昇期には人気がありません。分散する必要がないからです。むしろ上昇時期は分散投資は資金の効率を落とします。

 相場が堅調なときには「上がるのに何で分散する必要があるの?」とセミナーの出席者から言われたことが何度かあります。最近ではさすがに分散投資も認知されてきたので誤解されることは減りましたが・・・。

 相場が低迷してしばらくすると、集中投資で損失を出して撤退した投資家が増え、集中投資への反省から分散投資への注目が高まります。そしてマーケット全体が過剰なリスク回避に傾いたときが相場の底だったりするものです。
 今月に入ってからそのような取材が増えてきました。今までFXや新興国を中心としたアグレッシブな投資が中心だった雑誌からも取材を受けるようになり、驚いています。なお、現在取材を受けている雑誌は9月に一斉に発売されます。
最新情報はこちらでご覧いただけます
http://www.monexuniv.co.jp/ 

■ まずは相場観より分散投資
 今回ご紹介したような現象は、統計的に厳密な分析ではなく、マーケット参加者の行動心理学的な側面に注目した考え方です。市場というのは、定期的に行き過ぎ(オーバーシュート)が発生するわけですが、自分の相場観と行き過ぎたマーケットのギャップが見えれば、逆バリで対応できるというわけです。
 ただし、このような相場観を持つ前に、分散投資による資産のリスク管理をしっかりとしておく必要があります。その上で、戦術的に相場観を組み入れるのが正しい順番です。

今回の話のまとめ---------
■ 相場の転換点を当てるのは難しいが、兆しを知るヒントはある
■ 世論に振り回されるのではなく、世論から市場の偏りを知る
■ 全員が総悲観になった時が、底値に近い時

ではまた来週・・・。

(本コラムは、筆者の個人的意見をまとめたもので、筆者の所属する組織の公式な見解ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp

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