海外ETFとインデックスファンドの戦略的活用法

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

海外ETFとインデックスファンドの戦略的活用法

 マネックス証券でも米国株式の取扱いが始まり、従来の香港に上場している海外ETFに加え、選択肢が広がりました。海外ETFというと低コストというイメージがあります。確かに年間にかかるマネジメントフィーは国内のインデックスファンドの信託報酬に比べて低くなっているケースが多いのですが、それ以外のコストも含め、検討するとどうなるでしょうか。

外国株式から債券、商品、不動産まで・・・米国ETFの全銘柄リスト
http://www.monex.co.jp/ServiceInformation/00000000/guest/G2700/gaikstk/stocklist.htm

■ 米国ETFと国内インデックスファンドのコスト比較
 例えば、

1)TOK(アイシェアーズ MSCIコクサイインデックス)と年金積立 インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)

2)EEM(アイシェアーズ MSCI エマージングマーケットインデックス)と年金積立 インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式

はどちらも同じ運用成果を目的とするインデックス運用を行なう商品です。1)の例で米国ETFとノーロードのインデックスファンドを比較してみましょう。

■ 購入時・売却時にかかるコスト
 年金積立 インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)はノーロードのインデックスファンドですから、購入時にはコストはかかりません。解約時には、手数料ではありませんが信託財産留保金が0.3%かかります。

コストの説明ページ
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0035110000

 一方、米国ETFの売買にかかるコストは、円とドルの交換にかかる為替手数料(購入時25銭、売却時25銭、合計50銭)、と売買手数料25.2米ドル(売買それぞれ、税込み)になります。さらに微少ですが、売却時にSEC Fee(米国証券取引委員会に支払われる現地取引手数料)も取られます。

コストの説明ページ
http://www.monex.co.jp/ServiceInformation/00000000/guest/G2700/gaikstk/commission.htm

■ 保有期間中にかかるコスト
 保有期間中にはどちらも日割りでフィーがかかります。TOKのマネジメントフィーは年率0.25%、年金積立 インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)は0.8820%になります。米国ETFのフィーがまとめて書いてあるページがあると便利なのですが、変更される場合があるので、運用会社のウェブで最新情報を確認するのが正確です。

■ 投資金額と保有期間でコスト比較の結果は変わる
 例えば縦軸に1回の購入金額、横軸に保有期間でマトリックスを作ると、どのくらいの金額でどのくらいの期間保有するかによってコスト的にどちらが有利かを比較することができます。

 上記の手数料を前提にTOKと年金積立 インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)を比較したシートを作成してみました。すると、運用期間を10年とした場合、10万円前後が分かれ目になりました。つまり1回の購入金額が10万円より少ないときは国内インデックスファンド、それより大きく10年以上保有するなら米国ETFを使った方が低コストということになります。逆に100万円を越える金額になると1年程度の短期保有でも米国ETFの方がコスト面で有利になる計算結果になりました。

 これは、上記2つの商品の概算です。商品の手数料によって変わってきますので、前提条件が変わることに注意してください。スプレッドシートを使えば簡単に計算できますので皆さんも作ってみてください。

 私が作った計算シートやその解釈に関しては、海外ETFの第一人者、カン・チュンドさんにマネックス・キャンパスの受講者動画に出演していただく際にも教えていただこうと思っています。こちらはマネックス証券口座保有者は無料でお申込み可能ですのでご興味ある方はお早めにどうぞ。

海外ETFをカン・チュンドさんと対談で語る【受講者限定特典動画】
http://www.monexuniv.co.jp/new/2008/etf_1.html

■ リレー投資が現実的活用法
 商品によっても異なりますが、買付金額があまり少額の場合は、米国ETFよりもインデックスファンドを活用すべきです。米国ETFは定額積立ができませんからドルコスト平均法の活用という面からもインデックスファンドに軍配があがります。

 しかし海外ETFには保有期間中のコストが低いという優位性があります。これを活用しないのは勿体無い話です。

 となれば、海外ETFとインデックスファンドの使い分は「リレー投資」をするのが、現実的な活用法だと思います。この方法は日本株のインデックスファンドとETFの例で、以前に説明していますので参考にしてみてください。
リレー投資のご案内(バックナンバー)
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/002332.html

 例えば先進国の外国株式投資なら、まず年金積立 インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)で積立を開始。10万円まで残高が到達したら、解約してほぼ同じ金額でTOKを買付ける、という方法です。

<緊急企画のお知らせ>
9月8日の夜10時からマネックス証券の特別オンラインセミナーで海外ETFについて1時間お話する予定です。こちらはマネックス証券に口座をお持ちでない方も参加できます。詳しい内容は下記ご案内画面を確認してみてください。限定300人です(事前申込み不要。当日の21:40分からの先着になります)。
【特別セミナー】内藤忍の「資産設計塾」 海外ETF編
https://seminar.monex.co.jp/public/seminar/view/942

今回の話のまとめ---------
■ 米国ETFは管理コストの低い、資産設計に使える商品
■ 米国ETFは取引金額が小さいと売買時のコスト比率が上がってしまう
■ インデックスファンド→米国ETFのリレー投資が戦略的活用法

ではまた来週・・・。

(本コラムは、筆者の個人的意見をまとめたもので、筆者の所属する組織の公式な見解ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp

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