海外ETFで地球をすっぽり包み込む2つの方法

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

海外ETFで地球をすっぽり包み込む2つの方法

最初に業務連絡です。

<業務連絡> 誰でも参加できる海外ETFオンラインセミナーのお知らせ9月8日(月)の夜10時からマネックス証券の海外ETF特別オンラインセミナーを開催します。こちらはマネックス証券に口座をお持ちでない方も参加できます。基本的な内容です。詳しい内容は下記ご案内画面からご確認ください。

【特別セミナー】内藤忍の「資産設計塾」 海外ETF編
(勝間和代さん、橘玲さん、澤上篤人さんは出演しません・・・)
https://seminar.monex.co.jp/public/seminar/view/942

 以上業務連絡でした。

 先週のこのコラムでは、海外ETF(米国)とインデックスファンドの使い分けについて説明しました。

海外ETFとインデックスファンドの戦略的活用法(バックナンバー)
http://lounge.monex.co.jp/column/shisan/

 海外ETFは手数料体系から考えても、商品ラインアップから考えても、まずは「世界の株式市場をすっぽり包み込む」ためのツールとして活用するのが良いのではないかと思います。世界経済の成長と共に自分の資産も成長させる長期インデックス運用のツールです。

 では、54銘柄あるマネックス証券の取扱い商品の中からどのような組み合わせをすれば、グローバル株式インデックス運用が可能になるのでしょうか。
マネックス証券で取り扱っている米国ETFの全銘柄リスト
http://www.monex.co.jp/ServiceInformation/00000000/guest/G2700/gaikstk/stocklist.htm

■ カン・チュンドさんの方法
 今週対談させていただいた、カン・チュンドさんは、3本の海外ETFを使って世界の株式市場をカバーする方法を提案しています。具体的には、

 アイシェアーズ S&P 500インデックス・ファンド(IVV)
 アイシェアーズ MSCI EAFE インデックス・ファンド(EFA)
 アイシェアーズ MSCI EAFE エマージングマーケット インデックス・ファンド(EEM)

の3本です。つまり、IVVでアメリカの株式インデックスを、EFAでアメリカ以外の先進国(日本含む)の株式インデックスを、そしてEEMで新興国の株式インデックスを組み入れるという方法です。

 EFAはアメリカ人が自国以外の株式(アメリカ人にとっての外国株式)に投資をするための商品です。この3本で投資先が被ることなく、きれいにグローバル分散投資が完成します。後は、この3本の比率をどのようにブレンドしていくのかということになります。

■ 私の方法
 私はカンさんとは少し違った考え方です。一番の違いは日本株式を外国株式と別のアセットクラスとして認識し、別々に管理するという発想です。同じ3本でグローバル投資を完成させていますが、使う商品は違います。海外ETFを2本、それに国内のETFを使います。

 アイシェアーズ MSCIコクサイインデックス(TOK)
 アイシェアーズ MSCI EAFE エマージング マーケット・インデックス・ファンド(EEM)
 上場インデックスファンドTOPIX (1308) 国内ETF

 この方法は日本株+日本以外の先進国株+新興国株、の組み合わせできれいにグローバル分散投資が完成します。

 比率を調整する時に、日本株とそれ以外の株式の比率を変えることができる点がカンさんの方法とは異なる点です。EFAは日本とアメリカ以外の先進国株式が混在しているので、調整がややこしいのです。

 2つの組み合わせ方法の詳しい内容にご興味ある方は、対談動画を制作しましたのでそちらをご覧ください(カンさんの歯切れの良い説明をご覧いただけます)。

海外ETFをカン・チュンドさんと対談で語る【受講者限定特典動画】
http://www.monexuniv.co.jp/new/2008/etf_1.html

■ TOKの流動性
 私の方法の場合、問題になるのがTOKの流動性です。TOKは日本の投資家のために作られたインデックスに連動する商品であるため、投資家が限定され、売買高が他の商品に比べ、低くなっています。その点を、確認してみました。
 結論から言うと、売買が出来なくなってしまうような流動性の問題は発生する可能性は低いが、売値と買値のスプレッドが大きくなると取引コストに影響することがわかりました。ただしそのコストがどの位になるかはマーケット環境によって変わりますから、単純に数値化することはできません。

 ただしTOKにも値付けをするマーケットメイカーが存在し、また現物株式との裁定が働く(現物より安くなるとTOKを買って現物株を売る人が出てくる)ことから、マーケットを乖離した価格で取引されることは考えにくいということです。

 日本株を世界の株式市場の時価総額と同程度保有するという方法であれば、カンさんの方法を使い、株式の10%~15%程度を日本株にすることになります。しかしそれよりももう少し日本株の比率を増やすのであれば、上記の点に留意しながらTOKを使って国内ETFと比率を調整できる方法が良いでしょう。

■ 釣りと海外ETFの共通点
 いずれにしても海外ETFは1年2年の相場変動に一喜一憂する人には向かない商品です。カンさんが釣りに例えて書かれているように、海外ETFとは、
「釣り場に居続ける」・・・長期でずっと投資し続ける
「世界の海で魚を釣る」・・・グローバルに分散する

ことで投資の最適化を実現する、つまり長期分散投資のための商品なのです。
今回の話のまとめ---------
■ 海外ETFは世界株式をラップするという発想で使う
■ 3本の商品で新興国を含めて分散投資
■ 海外ETFは釣りと同じの感覚で気長に使う商品

ではまた来週・・・。

(本コラムは、筆者の個人的意見をまとめたもので、筆者の所属する組織の公式な見解ではありません。また、掲載銘柄を個別に推奨するものでもありません。個別銘柄への投資判断はご自身で行って頂きますようお願いいたします。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp

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