2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
モーニングスターといえば、ファンド情報会社として著名ですが、日本のサイトに掲載されている「ファンドアナリストの視点」というコラムは、投資信託に関する読み応えのあるコラムが多く、思わずうなってしまうことがあります。
例えば、以前このコラムでご紹介した日本株のアクティブファンドに関するユニークな分析もその1つです。
投資信託とダーウィンの進化論(2007年8月バックナンバー)
http://lounge.monex.co.jp/column/shisan/2007/08/10.html
長期だから好成績なのか、それとも好成績だから生き残って長期で運用されているのかは、データだけからはわかりません。が、長期で運用されているファンドの中には安定した好成績をあげるものが多く、中には10年間TOPIXに勝ち続けるファンドもあるという面白い結果でした。成績の良い好ファンドの残高が少ない、つまり運用成績と残高が必ずしも一致しないということは、売れているファンドが必ずしも良いファンドではないことを示唆しています。
そして掲載されているコラムは、投資信託のコストとパフォーマンスに関してです。資産運用に関わる専門家にとって考えさせられる内容です。
コストとパフォーマンス(モーニングスターサイト)
http://www.morningstar.co.jp/fund/analyst/2008/4q/a1027.html
■ 難しいアクティブファンドの選択
投資信託のコストには大きく2つがあります。販売時に支払う販売手数料と保有期間に応じて支払う、信託報酬です。販売手数料は販売会社が受け取るもので運用に直接関係ありませんが、信託報酬は販売会社、運用会社、管理会社が受け取る報酬で信託財産から直接差し引かれるコストです。
信託報酬の高いファンド、つまり運用コストの高いファンドはフィーに見合う実績が出ているのか?実際のデータでリターンと信託報酬の関係をグラフ化してみると、2つの関係がほとんど無いという結論になっています。これは1年と5年、どちらのデータでも同じです。
信託報酬は一般にインデックスファンドの方がアクティブファンドより低くなります。そしてインデックスファンドは市場平均とほぼ同じ運用成績になるためバラツキがあまりありません。一方、信託報酬の高いファンドはほとんどがアクティブファンドです。ファンド毎の運用の巧拙によって成績に大きな差が出ることになります。したがって表示されているグラフはコストが高くなるにつれ、成績のブレが大きくなる不思議な形になっています。
この結果で見る限り、信託報酬からファンドのクオリティを判断することはできないということになります。むしろ信託報酬の低いインデックスファンドの方が商品間の差がなく安心、とも言えます。
アクティブファンドは過去の実績や運用哲学を確認するというのが一般的なファンド選択方法です。しかし、現実には過去の実績が必ずしも将来を保証しない、運用哲学を知る情報源が少ない、といった問題があり、選択は簡単ではありません。実際、優れた運用手法で高い実績を上げたファンドが、その後運用成績で低迷するということは珍しくありません。
■ まずはインデックスファンドから
わからないものには手を出さない、という原則からすれば、少なくとも最初はインデックス運用を中心に考えるというのは理にかなった方法です。
例えば、マネックス証券でもそれぞれのアセットクラスに次のような販売手数料のかからないノーロードのインデックスファンドがそろっています。
日本株式 インデックスファンドTSP
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0009050000
日本債券 STAM国内債券インデックス・オープン
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0035380000
外国株式 年金積立インデックスF海外株式ヘッジなし
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0035110000
外国債券 年金積立インデックスF海外債券へッジなし
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0055510000
不動産(REIT)STAMグローバルREITインデックス
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0035290000
アクティブファンドで、インデックスを上回る実績を長期にわたって実現しているものは確かに存在しています。しかし2000本を越えるファンドから、優れたファンドを選択するのは少なくとも投資初心者には極めて困難な作業です。
今回の話のまとめ---------
■ 個人投資家の投資信託の選択方法は合理的ではない
■ アクティブファンドの商品選択は難しい
■ 少なくとも最初は、インデックスファンドからはじめる
ではまた来週・・・。
(本コラムは、筆者の個人的意見をまとめたもので、筆者の所属する組織の公式な見解ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp
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http://www.monexuniv.co.jp/service/book_dvd/index.html#book3
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