2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
先週まで休暇を取って、ユーロ圏に旅行に行っていました。旅行の計画を立てた頃は、1ユーロ=170円近かったのですが、旅行中は120円台前半。円で計算すると3割近く割安になり、お得な気分を味わうことができました。
■ ブランド品は来年までゆっくり待つ
特に円高メリットを実感したのは、ブランド品を買ったときです(正確には支払っただけですが・・・)。日本で買うよりかなり割安に感じました。
ブランド品は並行輸入品との価格差によって値崩れするのを防止するために、換算為替レートを調整して、内外価格差が広がらないようにするのが一般的です。例えば1000ユーロのバッグであれば、換算レートが170円なら17万円になります。ところが今回のようにマーケットが急激に円高になると、換算レートの調整に時間がかかり、実勢値との乖離が発生します。すると日本で17万円のバッグが現地では12万円になっている、というようなことが起こってしまうのです。
レート調整のメカニズムは会社によって異なるとは思いますが、今まで円安で日本での円建ての価格を値上げしてきたブランドは、今後も円高が続けば、それを反映させた換算為替レートに調整し、円建ての価格を下げてくるのではないかと予想します。とすれば、換算レートが円高に調整されるまで、日本では慌てて買わないのが賢い購入法ということになります。
一方、投資の世界では今回の円高を外貨投資のチャンスと考える人が増えています。元々円の低金利が続いていることから、外貨投資は個人投資家に根強い人気がありますが、高金利だから外貨投資というのは、正しい考え方ではありません。
■ 高金利だから高収益とは限らない
先物為替マーケットを見ると、高金利の通貨は将来安くなるように為替レートで調整されています。例えば、金利差が5%ある2つの通貨の1年後の為替レートは高金利通貨の方が5%安くなるのです。つまり理論的には、高金利は為替レートによって相殺されてしまうのです。
高金利なのにもかかわらず金利差が為替で調整されなければ、高金利通貨に投資をして先物で為替レートを決定してしまうことで利益を上げることができてしまうから、これは当然です。
実際の将来の為替レートがどうなるかは先物レートとは異なりますが、少なくとも
「高金利≠高収益」
であることは理解しておくべきでしょう。
■ 外貨投資は円安リスクの保険と考える
外貨投資の目的は高金利や為替益ではありません。円安リスクの回避が目的です。
今回のような円高局面では円の購買力が向上し、日本で円資産を中心に生活している人には大きなメリットがあります。自分の保有している通貨の価値が上昇することは良いことなのです。一定比率の円資産を持ち、円で収入を得ている限りにおいては、円高に備えて何かをするという必要はないのです。考えるべきなのは相場が逆に円安に振れたときどうするか、です。
円安になれば円の購買力が低下します。ユーロを例に取れば、再びユーロ高になって1ユーロ=170円あるいは200円という時代が来ると、円資産だけしか保有せず、円で収入を得ている人には大きな打撃です。このような状況になったとき困らないようにするのが外貨投資の大きな目的なのです。
つまり外貨投資とは為替で利益を上げたり、高金利で金利収入を目的にするものではなく円安から資産を守るために行うものと認識すべきです。
■ 為替レートは予想できない、だから・・・
最近、個人投資家の方からこれから為替は円高ですか?円安ですか?と質問されることが多くなりました。残念ながらこれは誰にもわからないことです。ただ、相場の予想はできなくても円高と円安のどちらが困るか、は誰でもわかります。とすれば、困った時のための準備は早くしておくことです。
外貨投資は平時から少しずつ始めておいて、将来のリスクに着々と備えるようにすべきです。今後もしさらに円高になれば、さらに外貨比率を積み増す、逆に今後円安になってもリスクをある程度回避できる。そのような考え方で外貨投資を始めておくのが良いでしょう。
外貨資産を保有していない人はまず始めてみることを検討してください。小額から計画的に外貨投資ができる初心者の方向けの商品がマネックス証券で購入可能です。
外貨投資の初心者の方に この商品から始めるのが基本です
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/guest/G600/trt/gaika_mmf/feature.htm
外貨投資の経験者の方に こんな本を読んで勉強してみましょう
http://www.monexuniv.co.jp/service/book_dvd/index.html#book6
今回の話のまとめ---------
■ 日本でブランド品を買うのは慌てない方が良いかもしれない
■ 外貨投資は円安から資産を守るために行うもの
■ いつ円安になっても良いように平時から外貨投資を継続する
ではまた来週・・・。
(本コラムは、筆者の個人的意見をまとめたもので、筆者の所属する組織の公式な見解ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp
3つの力で自分をパワーアップせよ!「内藤忍の「好き」を極める仕事術」http://www.amazon.co.jp/gp/product/406282096X?ie=UTF8&tag=monexuncojp-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=406282096X
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