2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
「資産設計への道」の読者の皆様、本年も本コラムをよろしくお願いいたします。今年も皆様の投資の成果の向上にお役に立てる内容にしていきたいと思いますのでご意見・ご要望、ご遠慮なくお寄せください。
■ 有望銘柄の予想は難しい
さて、新春の本コラム恒例テーマと言えば、日経新聞の相場予想です。毎年1月3日の朝刊に専門家や経営者の1年の予想がまとめて掲載されています。昨年の1月に掲載されていた2008年の有望銘柄。新聞を保管していない方もいらっしゃるでしょうから、ご紹介しておきましょう。
1.コマツ
2.トヨタ自動車
3.三菱商事
4.信越化学工業
5.東レ
6.シャープ
7.スズキ
8.日本ガイシ、ダイキン工業
10.新日本製鉄、三菱電機
ちなみに同じアンケートは毎年行われていますので、もう一年前、つまり2007年の有望銘柄として挙げられていたのはどんな会社だったのかもご参考までに。下記リンク先からご覧いただけます。
1年前にも同じことやっています(2007年1月の銘柄はこちら)
http://lounge.monex.co.jp/column/shisan/2008/01/04.html
これを見て気がつくことは、有望銘柄というのは、値上がり銘柄ではなく優良銘柄のことであり、その顔ぶれは毎年あまり変わっていないということです。
■ 日経平均、為替の予想も難しい
次に日経平均の予想を見てみましょう。昨年の予想は、識者20人のほとんど全員が、日経平均の2008年の予想レンジを14000円から18000円に集中させていました。しかも、年前半に安値、年末に高値という方が8割でした。
また為替レートは20名中1名だけが1ドル=100円を越える円高を予想していましたが、ほとんどの方は105円から115円の水準を予想。
昨年のマーケットの混乱を予想していた人は少なくとも20名の中にはいらっしゃらなかったようです。
■ 日経新聞はナゼ経営者・有識者の予想を掲載するのか?
このような結果から、予想が外れた方を責めようというつもりはありません。それよりも不思議なのは、ナゼ日経新聞社がこのような予想を毎年掲載するのか、です。やはり読者のニーズがある企画だからでしょうか?私もそうですが、日本人は新年になるとおみくじを引いたり、今年1年がどうなるのか考えたくなるものです。投資家の1年を考えるきっかけになる記事として新春にふさわしい人気企画になるのはよくわかります。
一方で、毎年行われるこの特集は2つのことを教えてくれる点で有益です。
1つは、専門家でも相場予想が難しい、という事実です。経営の最前線で経済動向の微妙な動きを追っている経営者や、経済理論に造詣の深い学者であっても予想は難しい。時間と情報に限界のある個人投資家は、投資のためにまず何をやるべきかが見えてきます。
そしてもう1つは世の中の人が何を考えているのかを知ることができます。いわゆるマーケットコンセンサスというものです。日本を代表する企業経営者の経済見通しを比較することができます(証券会社の社長さんは常に強気バイアスがかかる傾向がありますが・・・)。相場予想を鵜呑みにするのではなく、マーケットの共通認識をしっておくことは有益だと思います。
もし、今年の1月3日の日経新聞が手元にある方は、2009年の20名の予想をチェッ
クしてみてください。ご自身の予想と比べてどうでしょうか?せっかくなら、自分の予想(その理由も)も、一緒にメモに残して1年間保存しておくことをおススメします。1年後に見たら、きっと現実との差に驚くことと思います。
今回の話のまとめ---------
■ ほとんどの相場予想は後から検証されていない
■ 専門家の予想でも当たらないことが多いので鵜呑みにしてはいけない■ 相場予想はマーケットコンセンサスと自分の相場観との差の確認に使う
ではまた来週・・・。
(本コラムは、筆者の個人的意見をまとめたもので、筆者の所属する組織の公式な見解ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp
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