「資産設計ファンド」を自分で作ろうとするとどうなるか?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

「資産設計ファンド」を自分で作ろうとするとどうなるか?

 長期分散投資を実践する方法には大きく2つあります。自分でやる方法と人にやってもらう方法です。前者はアセットクラス(資産の種類)毎にファンドを選択し、自分の思い通りの比率で組み合わせる、後者はバランス型ファンドを使ってファンドにアセットアロケーションもお任せする方法になります。
 このコラムの読者の方のほとんどはご自身で組み合わせて資産運用をされていると思いますが、バランス型ファンドを使う方法と比較してみるとそれぞれのメリット・デメリットが良くわかります。

 今回はネット証券のバランス型ファンドのさきがけになったマネックス資産設計ファンドをベースに、具体的な比較をしてみます。

■ まずは配分比率をチェックしてみる
 まず、マネックス資産設計ファンドの月次運用レポートで資産配分比率を調べてみましょう。月次レポートの基本配分比率を見ると、6つの資産に次のような比率で分散投資されていることがわかります。

マネックス資産設計ファンド月次運用レポート(最新分)
http://www.monex.co.jp/pdf/fund2/M673.pdf

<日本株式> 17%
<日本債券> 23%
<外国株式> 14%
<外国債券> 25%
<日本REIT> 13%
<外国REIT>  8%

■ 自分でやるときに使う商品を探してみる
 次に、自分で資産設計ファンドと同じ運用をするために必要な投信を探します。資産の種類毎にそれぞれのインデックスファンドが用意されています。販売手数料がかからず、なるべく分配金を出さないものが理想ですが(日本REITだけは毎月分配型しかありません)、現時点では、下記の商品を使うのが最良の組み合わせだと思います。数字はそれぞれの信託報酬率です。

<日本株式> STAM TOPIXインデックスオープン 0.483%
<日本債券> STAM 国内債券インデックス・オープン 0.4620%
<外国株式> STAM グローバル株式インデックス・オープン 0.777%
<外国債券> STAM グローバル債券インデックス・オープン 0.672%
<日本REIT> MHAM J-REIT インデックスファンド 0.6825%
<外国REIT> STAM グローバルREITインデックス 0.861%

 上記はすべて投資信託ですが、日本株式はETFを使えば保有期間のコストをさらに下げることが可能です。例えばTOPIX連動型投資信託(1306)なら信託報酬は0.1155%となっています。

TOPIX連動型投資信託の月次運用レポート(最新分)
http://nextfunds.jp/fund/monthly1/M1141306.pdf

 ただしETFの場合は金額を指定して買い付けることができませんし(口数買付)、売買手数料がかかるのでトータルコストには注意が必要です。

■ コストは確かに下げられるが・・・
 もしインデックスファンドを自分で組み合わせて資産設計ファンドと同じ比率にしたら、加重平均した信託報酬は0.6%程度になりますから、0.3%以上信託報酬を下げられることになります。自分で出来るなら確かにコスト面では有利といえます。

 しかし、自分でやるためにはいくつかのハードルがあります。

 まず、まとまった投資金額が必要になります。バランス型ファンドなら1万円から投資できますが、自分でやる場合は、複数ファンドを買うことはできません。毎月の積立など、金額が大きくなると全てのファンドに満遍なく買付することは現実的には不可能です。

 またメンテナンスにも手間がかかります。配分比率を調整するリバランスを年に1回程度はする必要がありますから、バランス型ファンド(ファンド内で自動的にリバランスされる)より面倒です。

 単純なコスト比較ではバランス型ファンドは不利ですが、少額でこれからはじめようという投資初心者の方にはメリットも多いのです。
 
■ バランス型ファンドに飛びつく前に
 ただしバランス型ファンドには注意点もあります。 

 バランス型ファンドは少額で手間のかからない運用ができるというメリットがありますが、比率はお任せですから自分でオーダーメイドすることはできません。決められた比率で買うか買わないかを決めなければならないのです。
 またバランス型と言ってもその組入れ比率はファンドによって随分違います。購入する前に運用レポートなどでどんな資産がどの位組入れられているのかを確認してから活用するようにしましょう。バランス型と言いながら、配分構成がリスクの高い資産に偏ったアンバランスなファンドもあります。

 自分でやる方法と人にやってもらう方法、どちらを選ぶかは簡単には決められないことがおわかりいただけたと思います。自分にとって、どちらの方がメリットがあるかを冷静に考えて決めることが大切です。

※週末はお客様感謝DAYで大阪へ参ります。
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2008/news8127.htmマネックスメール読者の皆様にお会いできるのを楽しみにしています。

今回の話のまとめ---------
■ 分散投資は自分でやる方法とファンドを使う方法がある
■ 自分でやればコストは下がるが、手間がかかる
■ バランス型ファンドの場合、配分比率は必ず確認する

ではまた来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp/

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