投資が社会貢献であることをもっとダイレクトに感じる方法

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

投資が社会貢献であることをもっとダイレクトに感じる方法

 投資の最大の目的は資産を自分の人生に必要な金額まで殖やすことですが、投資で得られるものは資産の増加だけではないと思っています。

 まず、投資をすることで資産と共に自分も成長できます。お金について真剣に考え、経済やマーケットについて知識と経験を重ねることは、金融リテラシーを高め、自己成長することにつながるのです。

 そしてもう1つ、投資で実現できるものは社会貢献です。例えば、株式投資された資金は、企業の資金調達源となり、経済活動に使われ、新しい価値を生み出す可能性があります。それが社会にプラスのものであれば、その企業の価値が高まり、株式価値の上昇を通じて投資家の利益になるのです。つまり、投資のリターンとは、社会に価値が生み出されたことに対するご褒美と考えられます。お金は私有財産であると同時に、社会的な存在でもあるのです。

■ 社会貢献と投資を結ぶ様々な試みがありますが・・・
 社会貢献ファンドとして、エコファンドというのが一時期人気を集めました。しかし、このような投資信託に投資しても自分が希望する投資先に資金が投資されるとは限りません。どの会社に投資されるのかはファンドマネージャーが決めるからです。

「エコファンド」で社会貢献できるのか
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/006332.html

 もう1つの社会貢献投資としてソーシャル・ベンチャーも以前にご紹介しました。社会的な意義は大きく、自分の興味のある分野に関わることができる仕組みですが、日本においてはまだ規模が小さく、一部の熱心な人たちの世界に留まっています。一般の人にとっては参加のハードルが高いというのが現状です。

SRIファンドで社会責任投資ができるか?
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/005119.html

■ プロジェクトベースで社会貢献できる投資
 最近、見つけた新しい社会貢献投資が、プロジェクトベースで募集されるファンドを使う方法です。セキュリテというサイトでは、農業、マイクロファイナンス、森林再生などのテーマで資金調達したい事業者と個人投資家を結ぶ動きが始まっています。

慈善活動ではなく、事業で成し遂げる社会貢献
http://www.securite.jp/

 例えば、農業ファンドの出資者には、田植えと収穫ツアーへの参加(旅費は参加者負担)、生産されたお米の送付(無料)や割引購入などの特典があります。投資したお金がどのように使われているのかをビンビンに感じることができるのです。

 また、このサイトは一般の人の参加のハードルを低くして、気軽に関わりを持てるような工夫がなされています。投資家として参加しなくても、SNSの仕組みを活用してコミュニティを作り、興味を持っている人同士で情報交換できるようになっているのです。

 ただしこのファンドは投資信託ではなく、匿名組合契約という仕組みです。仕組みや商品性について投資信託とは異なるものですから、自分でしっかり確認する必要があります。

 セキュリテのようなプロジェクトベースの投資というのは分散投資の対極にある投資方法です。その主たる目的はリターンよりもむしろ社会貢献や参加できることができるライブ感にあります。

 投資には時間と手間とストレスをなるべくかけないようにするというのが資産設計の考え方です。「投資は目的ではなく、人生の夢や目標をかなえるための手段」だからです。今回ご紹介したのは、それとは逆に投資対象に積極的に関わって、投資自体が目的の一部になっている「手間を楽しむ投資」です。

(今回ご紹介した商品および会社に関しては、投資の勧誘や推奨をするものではありません。投資に当たっては、それぞれの商品のリスクを確認され、ご自身のご判断で意思決定を行っていただきますようお願いします。)

今回の話のまとめ---------
■ 投資はリターンが得られるだけではなく、社会貢献にもなる
■ 新しい投資商品は仕組みやリスクをしっかり確認する
■ 投資が「手段」なのか「目的」なのかを認識するようにしよう

ではまた来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp/

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