明日からの5連休に読む7冊の書籍のご案内

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

明日からの5連休に読む7冊の書籍のご案内

今年のゴールデンウィークは、例年とは少し違った雰囲気です。10日以上の超長期のお休みの方も多いようですし、高速道路料金の値下げもあって国内の車での移動は大混雑になりそうです。そして心配なのが新型インフルエンザ。海外旅行の予定を変更という方もいらっしゃるかもしれません。

 今回は、連休に読書をしようという方のために書籍のご紹介をしようと思います。私が読んだ本の中からのセレクションであることをご容赦いただき、皆様におススメできる書籍を何冊かピックアップしたいと思います。 

■ 金融危機について理解を助けてくれる本
 金融危機については、スピードが早く、ゆっくり振り返る余裕がなかったという方も多いと思います。今までの出来事をコンパクトにまとめて整理し、これからの金融を考えるヒントになるような書籍があると助かります。そんな書籍が次の2冊です。

「金融大崩壊」(水野和夫著)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/414088276X/monexuncojp-22/ref=nosim

 既に少し古い本になっていますが、綿密な分析に基づく、説得力のある本です。1995年から米国を中心に金融経済が実体経済を上回るスピードで拡大し、その動きが崩壊したのが金融危機の原因であるという見方をわかりやすく説明しています。

 これからについては米ドルを中心とした通貨体制の終わりを予想し、アメリカの個人中産階級が消滅する、と悲観的な見通しです。見通しに関しては異論があるかもしれませんが、筆者の長期的で鳥瞰的な経済の見方は参考になります。

「世界経済危機 日本の罪と罰」(野口悠紀雄著)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478007934/monexuncojp-22/ref=nosim

 最近読んだ、経済危機の解説本では一番明快かつ具体的に分析されていると思いました。経済危機の原因が金融工学の発達にあるのではなく、プライシング機能を格付機関に依存したことにある、といった一般的な誤解をわかりやすく解説しています。為替、不動産、原油、食料品、と幅広いエリアをカバーし、日本経済への処方箋も提案しています。

 資産運用に関しても第7章で解説していますが、「事態が落ち着くまで定期預金で運用して待ち、落ち着いてから、成長する国・セクターへの分散株式投資を考えればよい。」とまとめています。ただし、事態が落ち着くのはいつなのか?
は明言されていませんでした。
 
■ 長期投資の基本について学べる古典
 長期投資の古典的名著は何回も読み返し、その度に自分の投資の手法について振り返る機会にしています。下記の3冊の翻訳書は、どれも本がボロボロになるくらい読み込んだ書籍です。

「株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド」(ジェレミー・シーゲル著)http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822244660?ie=UTF8&tag=monexuncojp-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4822244660

 200年以上にわたる米国のデータを分析。長期投資の強みを歴史から実証しようとしている本です。テクニカル分析や行動心理学も取り上げていて、投資に関する幅広いテーマが取り上げられている大作です。

「敗者のゲーム」(チャールズ・エリス著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4532350689?ie=UTF8&tag=monexuncojp-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4532350689

 長期インデックス投資派の人であれば、必ず読んでいると言っても良い古典的名著。改訂版でデータも新しくなりました。私自身も投資に関して最も大きな影響を受けた書籍の1つです。こちらも米国のデータが中心ですが、日本の個人投資家にとっても充分に参考になります。

「ウォール街のランダム・ウォーカー」(バートン・マルキール著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4532352606?ie=UTF8&tag=monexuncojp-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4532352606

 もう30年以上にわたって読み継がれているプリンストン大学経済学部長のマルキール氏の代表作です。博士は5月のセミナーに来日される予定になっていますが、こちらも大人気のようです。

マルキール氏講演『不透明な時代に勝つための投資術』(セミナーのご案内)https://seminar.monex.co.jp/public/seminar/view/1160

■ 証券投資に直接関係ない本 <番外編>
 証券投資には直接関係のない本も2冊ご紹介しましょう。

「不況の教科書」
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4063781186?ie=UTF8&tag=monexuncojp-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4063781186

 先週発売になったムックです。勝間和代さん、小宮一慶さん、土井英司さん、といったビジネス書の世界の人気者から、伊藤元重さん、吉本佳生さん、など経済学者の方まで25人のトピックスが掲載されています。私も72ページからこれからの投資法についてインタビューを掲載していただきました。

「失敗に学ぶ不動産の鉄則」(幸田昌則著)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532260310/monexuncojp-22/ref=nosim

 実は、先週このコラムで取り上げた実物不動産投資はかなり大きな反響を頂きま
した。

証券投資をする人は、なぜ不動産投資をやらないのか?(バックナンバー)http://lounge.monex.co.jp/column/shisan/

 そこで不動産にご興味ある方にはおススメしたいのが幸田氏の新書です。不動産
市場への見通しは2つに割れていますが、幸田氏はこれまでどちらかと言えば悲観的な見方でした。「低金利は不動産の売り時」「不況は不動産の買い時」という通常とは逆の見方から不動産との付き合い方を教えてくれます。

他にも見逃している価値ある書籍がたくさんあるのではないかと思っています。ご存知の方は是非ご紹介ください。そして、楽しく有意義なゴールデンウィークを
お過ごしください。

今回の話のまとめ---------
■ ゴールデンウィークのまとまった時間で読書をしてみよう
■ 投資関連では、最近のマーケットに関する本と「古典」を読んでみよう■ 証券投資に直接関係ない本も視野を広げるのに役立つはず

では、また来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp/

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