インデックス型バランスファンドの競争激化は朗報か?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

インデックス型バランスファンドの競争激化は朗報か?

最初に少しだけ宣伝を。「動画【月刊】マーケットの歩き方」が今週アップされました。私のインタビューに対し、マネックス証券村上尚己が、マーケットの見通しを語っているものです。
(公開直後はアクセスが集中して申し訳ございませんでした。)

 テーマは「今は現金で持つべきか、それとも投資するときか?!」

こちらから是非ご覧ください(これから毎月お届けする予定です)。
http://ondemand.nice2meet.us/?log_key=monex-2-de35_5333852639692d26c4a97bff02939ef2

 さて、年初にインデックスバトルの激化についてこのコラムで取り上げましたが、その競争がバランス型のインデックスファンドにも拡大する兆しを見せています。

運用会社のインデックスバトルが本格化する予感(バックナンバー)
http://lounge.monex.co.jp/column/shisan/2009/01/16.html

■ コモディティ化するインデックス型投資信託
 金融商品は良いものがあれば簡単にマネされて、良いとこ取りされてしまいます。特にインデックス運用の投資信託は、ある程度の資産規模とクオンツのノウハウがあれば参入でき、差別化しにくい分野です。

 バランス型のインデックスファンドで今年出てきたのが「世界経済インデックスファンド」です。「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」を意識した商品と思われます。残念ながらどちらもマネックス証券では販売されておりませんが、株式と債券が50%ずつ組入れられていること、日本を含むグローバルな地域に時価総額をベースに資産配分されていること、新興国の株式、債券にも投資できること、など共通点の多いファンドです。

世界経済インデックスファンド
http://www.sumishinam.co.jp/fund/lineup/detail/index.php?fund_id=89
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
http://www.saison-am.co.jp/fund_g/fund01.html

 現状の残高では後者が圧倒的ですが、今後の純資産額の推移がどうなるのか見守っていきたいと思います。

■ 3つのパターンに分類できるインデックス型バランスファンド
 インデックス運用のファンドを組み合わせて作る「バランスファンド」は、ここ数年良質な商品が多数設定されてきましたが、資産配分の方法は微妙に異なります。大きく分けると3つのバターンに分類できます。

(1)単純割り型
 日本株20%、外国債券20%・・・というように切りの良い数字で単純に比率を決める方法です。わかりやすいのですが、どうしてそうなるのかについては、根拠のある方法ではありません。

(2)理論型
 「マネックス資産設計ファンド」のようにリスク・リターンの想定から最適な比率を理論的に計算する方法です。モダンポートフォリオ理論をベースにした手法ですが、リスク・リターンや相関係数などの想定をどうするのかはサイエンスではなくアートの世界になってしまう限界があります。

マネックス資産設計ファンドの配分比率決定方法を知りたい方へ
http://ondemand.monex.co.jp/?action=lounge_detail&id=222

(3)マーケット連動型
 時価総額の比率など、実際の経済や市場の規模に応じて比率を自動的に決めていく方法です。インデックスという市場に任せる考え方を配分比率にも活かすわけですが、どの比率を採用するのかによって結果が変わってきます。
 どの方法にも一長一短がありますが、ファンド選定に際しては3つの方法の違いを理解することが大切です。

■ インデックス型バランスファンドの競争激化は良いことか?
 インデックス型バランスファンドが多数設定され競争が激化しているのはナゼでしょうか?

 ファンド残高を拡大しスケールメリットを狙う運用会社と投信販売に力を入れるネット証券会社の思惑が一致していることが理由の1つだと思います。
 インデックスファンドは残高が重要です。一定の規模になれば運用も安定し収益も確保できます。投信ビジネスは残高をいかに積み上げるかが勝負ですが、インデックスファンドの場合、コスト競争に勝ち残るためにも残高を他社に先がけて高めておくことが重要です。

 新しいファンドの設定で資金が流入すれば、最終的な運用ファンドになる「マザーファンド」の残高が増えることが期待できるのです。

 投資家から見れば選択肢が増えるのはありがたいことです。しかし一方で、どれを選んでいいのかわからなくなってしまう問題があります。さらにファンドが増えすぎると、将来の償還につながるリスクも高まり、投資家としては手放しに喜ぶことはできません。

 インデックス型バランスファンドの選択については、マネックス・ユニバーシティでも取り上げていきたいと思っています。ご興味ある方は毎週金曜日発行の「お金の相談室」で来週以降チェックしてみてください。

来週のお金の相談室は内藤が担当いたします
http://www.monexuniv.co.jp/service/mailmagazine/index.html

今回の話のまとめ---------
■インデックス型バランスファンドも競争が激化してきた
■ファンドの数が増えることは必ずしも良いことではない
■規模が大きな低コストインデックスファンドが日本にも根付いて欲しい 
では、また来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp/

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