2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
人間は毎日生きているうちに何となくやっていることがたくさんあります。もしかしたら投資もその1つかもしれません。お金を殖やしたいという動機で始めたとは思いますが、その後は何となく続けているという方も多いのではないでしょうか?
投資をするのは、それによって実現したい夢や目標があるからです。必要の無いお金を手に入れるために無理をしてリスクを取る必要はありません。ところが、何のためにいくら必要かを突き詰める作業は知らないうちに忘れてしまったりするものです。
夢や目標のために「いつまでにいくら必要か」は正確にわかるわけではありません。でも、考えてみることには価値があります。それは、例えば会社の経営でも、現実には思い通りに行かないことが多いのですが、経営計画を立てた方が経営がうまくいくのと同じです。
■ 本当に必要なものは時間と共に変わってくる
人生に必要なものを考える上で、もう1つ知っておくべきことは、時間と共に夢や目標が変わってくるということです。それは最近読んだ本から感じました。
『死ぬときに後悔すること25』 (アマゾンのページに遷移します)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4884748522?ie=UTF8&tag=monexuncojp-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4884748522
終末医療の専門家のお医者さんが書かれた本で、1000人以上の患者さんが、人生の最期に何を後悔しているのか、をまとめたものです。読み終わって感じたことは、人生の最期に必要なものはお金によって買えないものが多いということでした。
書籍で紹介されている、旅行で思い出のある場所を再訪したいとか、健康で楽しく食事をしたい、故郷に帰ってみたい、というような「人生でやっておきたかったこと」であれば、実現にそんなにお金はかかりません。
それよりも不必要にお金が残ってしまうと、残された家族が仲たがいしてしまう。お金があることによる弊害さえあるのです。
今まで生きてきた人生を振り返った時に後悔しない人生とは、結局周囲の人を大切にし、大切にされ、楽しく健康に、一生懸命に生きる、といった極めて平凡で真っ当なところにあることがわかりました。それはライフスタイルに関係なく、どんな人であってもある程度共通するものです。
私を含め多くの人は自分の人生がいつ終わるのかについて、真剣に考えるのを避ける傾向があります。考えることが怖いし、縁起が悪いとさえ思ったりするのです。
しかし、もし自分の人生がもうすぐ終わるとしたら・・・と想定して、限られた時間で何をしたいかを考えてみると人生の優先順位が変わってくる可能性があります。そのことは知っておいて損はありません。
■ 投資は人生の質を高めるためにある
投資はQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高めるために必要なもの、そう思って投資教育の仕事をしていますが、投資をどのように活用していくかは、それぞれの人生によって変わってきます。
今回思ったことは、資産の金額と人生の満足度には必ずしも相関が無いということ。その上で、後悔しない人生を実現するための投資を考える必要があるということです。結論が見つけにくい困難な作業かもしれません。でも、正面から向き合うことで、個人投資家の皆様にも何か得られるものがあるはずです。
楽しい、3連休をお過ごしください。
<お知らせ>
8月2日に大阪でパネルディスカッションがあります。マネックス証券松本大とこれからの投資に関して、2人でお話させていただきます。先着順でお申し込み受付中です。
『マネックスの10年とこれからの投資』
https://seminar.monex.co.jp/public/seminar/view/1220
今回の話のまとめ---------
■ 投資によってお金を殖やすのは目的ではなく手段
■ 時間が無限だと思っている時と有限と知った時の夢・目標は違う
■ 後悔しない人生のための優先順位を考えよう
では、また来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp/
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