2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
このコラムをお読みの方には、ほとんどいないのかもしれませんが、投資やお金というのは誤解されやすいものです。例えばこんな誤解をしている人が世の中にはまだたくさんいるのです。
<誤解1> お金を貯めてから投資をする
「どうして投資をしないのですか?」と聞くと、「投資するお金が無いから」と言われることがあります。投資はお金持ちがやることで、100万円くらいお金が貯まったら考えてみよう、と最初から思い込んでいるのです。
これは何だか変な話です。投資はお金がある人がやることではなく、お金を手に入れるためにやることではないでしょうか。お金持ちだけがすることではないのです。1万円で投資したってどうせ大したことは無い、と諦めてはいけません。今、お金持ちになっている人も最初は1万円から資産を殖やしていったのです。
1万円でも積立をすれば、将来自分が目標にしている大きな金額に到達する可能性を高められます。
投資信託の積立を続ける「仕組み」を作りました
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2009/news906c.htm
<誤解2> 投資はギャンブルと同じ
投資はギャンブルと同じというのは、正しくもあり、間違っているところもあると思います。なぜなら投資には2つの方法があると思うからです。
こんな例で考えてみましょう。例えば5人で集まって1万円ずつお金を出してジャンケンをして買った人が5万円をもらうとします。この場合、勝った人と負けた人の合計はプラスマイナスゼロです。しかし今度は5人の合計金額5万円で植物の種を買って、育てて収穫できたらどうでしょうか?収穫物が10万円で売れれば、5人で分けると全員が2万円を受け取ることができます。
前者のような投資の方法はギャンブルですが、後者の方法ならギャンブルとは違います。その違いは、成長によって新しい価値が生み出され、全体でプラスになっていることです。
このように宝くじや競馬、海外のカジノでお金を使うことと、インデックスファンドを購入することは、決して同じではありません。
<誤解3> 投資は誰でも始められる簡単なこと
確かに投資は、投資に必要なお金があれば誰でも始めることができます。しかし投資をしているということと、投資で利益を上げていることの間には大きな差があります。投資を趣味ではなくお金を殖やす手段として成功させるには知識が必要です。
知識を得るためには勉強が必要です。本を読む、セミナーに出席するといった方法だけではなく、10月からは生涯学習のユーキャンのスタートアップ講座(テキストとDVDのセット)で勉強することもできるようになりました。
【厳選】マネックス・ユニバーシティの書籍紹介
http://www.monexuniv.co.jp/service/book_dvd/index.html
【8年目】早稲田大学オープンカレッジで21回目の開講「資産設計塾」
https://www.waseda-extension.com/o2004s/index.php?action=list&jcode=09
【New!】ユーキャンがマネックス・ユニバーシティと共同開発した通信講座http://www.u-can.co.jp/course/data/in_html/1159/special.html
<誤解4> お金はたくさんあるほど幸せ
投資の目標を設定しないで続けている人がいます。あるいは、いくら必要ですか?と聞くと「取り合えず1億円」と漠然と考えている人もいます。このようなやり方ではとにかくお金を少しでも殖やそうということになってしまい、必要の無いお金のために努力をすることになってしまいます。
お金はたくさんあれば幸せとは限らないのです。実際、お金があることによって不幸になった人はたくさんいます。しかし、だからといってお金が無くても良いわけではありません。大切なのは、
「自分に必要なお金がいくらかを知って、それを手に入れること」
です。お金は幸せを手に入れるための手段であって、お金が目的になっても意味が無い。それにはっきりと気がつかせてくれたのが、以前このコラムでもご紹介した、ホスピス医の大津さんが1000人の患者さんを診て書いた書籍です。
日本人に必要なお金はいくら?ホスピス医と考える人生とお金の関係
http://www.monexuniv.co.jp/mcnews/2009/post_242.html
<誤解5> 投資をする前に自分で汗をかいて働くべき
投資というと「あぶく銭」という印象があるようです。日本では二宮金次郎(小学校に石像がありました)に象徴される、労働が美徳という考え方があります。それ自体は良いことなのですが、投資に関しては労働より劣るものという偏見があるのは問題では無いでしょうか。
しかし、自分が持っているお金という資産を有効活用することは、社会の役に立つのです。自分のお金によって、社会が成長するからです。
自分の資産を現金でしまっているのは、不動産で言えば駅前の一等地を持っている地主が更地にしているのと同じです。有効活用すれば、世の中の役に立つのです。自分の土地だから使い方は自由と言えばそれまでですが、自分の資産を活用しないことは、世の中にとってマイナスの影響になることがあるのです。
金融資産を持っている人はそれを社会に還元させて経済活動に使ってもらうこと、つまり投資を積極的に考えるべきと思います。お金というのは、自分の私有財産でありながら、経済成長の要素という意味で社会的な存在でもあるからです。
■ 誤解を解くには時間が必要
投資やお金に対する、様々な誤解を解くには、教育と情報提供が必要だと思います。特に成果が出るのに時間がかかる、長期投資のような手法は理解されるのにも時間がかかります。
マネックスが、投資教育を始めてまだ10年も経っていません。これからも粘り強く投資について考える材料とヒントを提供し、誤解を解いてもらえるようにしたいと思います。
今回の話のまとめ---------
■ 投資とお金に関して誤解している人が多い
■ お金は人生の全てではないが、お金で決まる人生があるのも事実
■ 長期投資は理解されるまでに時間がかかる
では、また来週・・・。
(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)
内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp/
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